第2話 【新婚生活】~笹原瑞希の場合Ⅱ~

 浮気した報酬として、瑞希のお仕置きを受けた夫。

全治3週間から見事に復活した。


 その退院祝いにデートをするという意味不明な瑞希のイベントが夫に突きつけられ、その打ち合わせを前日の夜に行っている。

同じ家に住んでいるのに、何故か待ち合わせから行う本格的なデートの流れ。




「明日のデート・・・忘れないでね?」

瑞希は、念を押した。


「ああ!もちろんさ」

夫は、言った。


「ちゃんと待ち合わせ場所とかも決めようよ?」

瑞希は、ノリノリだ。


「分かった!じゃあ、駅前に10時な?」

夫は、オーソドックスな場所を選んだ。


「OK!」

瑞希は快諾した。


 「じゃあ、おやすみ!」

夫は、就寝した。


「おやすみなさい。あなた♪」

       ・

       ・

       ・


デート当日・・・・・・・・・・・

 

「瑞希?・・・・・なんだ、もう出掛けたのか」

       ・

       ・

       ・

<駅前>

「あっ!あなた~★」

瑞希は先に駅前に着いてた。


「ごめん!待ったかい?」

夫は、瑞希に言った。


「ううん!今、来たトコ★(嘘・・・実は、30分前から居る)」

瑞希は、お約束のセリフを言った。


「どこへ行く?」

瑞希に聞いてみる。


「あなたと一緒に公園を歩きたい♪」

キャラと違う気がするがと思ったのだが、そんなこと本人に言ったら、ぶっ殺されるので、言葉を飲み込む夫。


「分かった、いいよ!」

夫は、言った。

       ・

       ・

       ・


少し大きめの総合公園・・・・・・・・・・


「(カチッ)イイ天気ねぇ~★」

瑞希は、”なにかのスイッチ”を入れた。


「あ、ああ(カチッ?って何の音だ??)」

なんの音?夫は、きょろきょろした。


「(カチッ)こういうトコでお弁当食べると美味しいって言うよね?」

瑞希は、また、スイッチを押した。


「あ、ああ(カチッ??って聴こえた)」

まただ!何の音なんだ???夫は、疑問に思った。


「(カチッ)ねぇ?今度は、あっちの噴水の方に行きましょうよ!!」

瑞希は、スイッチを入れた。


「あ、ああ(ま、また?)」

夫は、だんだん不安になってきた。


~帰宅後~

「ああ~楽しかった★久々のデート♪」

瑞希がそんなことを言った。


「そ、そうだな!」

夫は、安堵した。


「・・・とでも言うと思ったか?こら!(怒)」

突然、瑞希がキレた!


「な、何を怒ってるノデ!?(汗)」

夫は、瑞希の豹変に後ずさりした。


「全く・・・デート中に他の女を見るんじゃないよ!!」

瑞希は、凄く怒っている。


「なっ!何を言ってるんだ!!見てねぇよ!!!」

夫は弁明を試みた。


「見てたじゃないの!チラチラと!!ちゃんと“数えてた”んだからね!!!」

瑞希は証拠を突きつけた。


「あああ~~~!!!お前、そ、それ・・・そうか“カチカチッ”と音を立てていたのは、ソレか!!」


なんてことしやがるんだ!夫も反論した!!


「この“浮気者”がっ!!」

瑞希は、激高した。


「何だよ?ジロジロ見てたわけじゃないだろ!」


夫は、視界にたまたま入っただけだと言った。


「見てたわよ!!」


瑞希は、言い張った。


「見てねぇって!!」


夫は、断固反論した。


「2秒以上は、直視してたわ!!」


瑞希は強引に話を進めていく。


「2秒は、直視って言わねぇだろ!普通・・・一瞬じゃねぇか!!」


夫は、正論で言い放つ。



「見たのは、認めるの?認めないの??」


瑞希は、聞いてみた。


「そ、そりゃ、ちょ、ちょっとは、見たかもしれないけどさ・・」


他の女性を見たのは事実なので、そこは折れて言ってみた。


「じゃあ、認めるのね?」


瑞希は、薄笑いをした。


「み、見たのは、認めるけど・・・浮気者じゃねぇだろ?」


夫は、なにやら、危険を察知した。


「そう・・・認めたんだ。じゃあ、13回(13人の女性を)見たので、13発ね★ボキボキッ(指鳴らし♪)」


瑞希は、指鳴らしを始めて、夫ににじり寄った。


「んな―――――――!!よ、よせ!じょ、冗談だろ?」


13発も食らったら、また全治3週間かもしれない、そう思って後ずさりする。


「何よ?反省してるんでしょ??」


瑞希は、言う。


「ま、待てって!!か、軽く・・・だよな?」


夫は、確認をしてみる。


「・・・・・」


瑞希は、答えない。


「や、やめろ!!お前の13発は“命に関わる”。マジで!」


夫は、必死に抵抗を試みる。


「あたしだけを見てれば、良かったのよ!これを機会にいい教訓としてね?あ・な・た♪」


瑞希は、臨戦態勢に入った。


「わっ・・わわっ・・よ、よせ~~~~~!!!!!」


夫は、恐怖で足がすくんで、動けない。


「バキッ!(1)」


瑞希はカウントを開始。


「うっぎゃ―――――!!!」


夫は、悲鳴を上げた。


「ベキッ!(2)」


「ひぎゃ――――――!!!」


「ボキッ!(3)」


「しぎゃ―――――!!!」

        ・

        ・

        ・

13発のヤキ入れ終了後・・・・・・・・・・


ピーポー!ピーポー!ピーポー!ピーポー!(救急車)


救急病院搬送後・・・・・・・・・


「全身に20箇所の骨折・・・内臓3箇所破裂・・・奥さん?この方・・・トラックにでも轢かれたのですか??でも、タイヤの跡は、無かったようですが???」


救急病院の当直医が言った。


「い、いえ・・そ、その・・・まぁ、事故といえば、事故なんですけどね?」


瑞希は、説明に困った。


「・・・・・・うっ・・ううっ・・」


夫は、唸っている。


「し、信じられない!い、生きてる!?」


医者が驚いて言った。


「あ、あなた~!しっかりして~~~!!」


瑞希は、心配する演技をする。


「うっ・・コ、ココまでするか?ふ、普通・・・ガクッ・・」


夫は、瑞希をチラっと見て、それだけ言って静かに崩れた。



「・・・・・ご臨終です!」


主治医が言った。


「あ、あなた~~~!!!どんっ!(夫をグーで叩いた)」


「ぐふぅ!!」


夫が息を吹き返した。


「おお?生き返った!!」


主治医がびっくりした。


酸素吸入器やら、色んなチューブのようなものが夫に繫がっている。


「絶対安静ですので、奥さん、一応覚悟はしておいてください」


主治医が言った。


「はい(もう少し加減して殴れば良かったわね・・・危うく殺人になるところだわ・・・危ない・・・危ない・・・)」


 瑞希の夫は、生死の狭間にいるときに思った・・・。

これ以上、瑞希と一緒に居ると、本当にアノ世に逝ってしまうのでは?と思い、こっそり離婚届を瑞希に見せたら、退院して、すぐにお花畑が見えて、病院に逆戻りする羽目に遭ったのは言うまでもない(苦笑)


最凶主婦降臨!

第3話 【新婚生活】~小野亜矢子の場合~へつづく。







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