13.(わたし) 固まったMADOSMA / 龍を助ける
わたしは、MADOSMAの充電がどれくらい進んだか確かめようと思った。
MADOSMAを取り上げ、
わたしは充電器をコンセントから引っこ抜いた。ミニUSB端子からもはずす。MADOSMAの、充電中を示す赤ランプは、点きっ放しだ。
わたしは、久し振りに
わたしのスマホ、MADOSMA Q501Aは、充電中に固まってしまうことがあるのだ。なぜそうなるのか、本当の理由は分からない。わたしの経験では、充電中にテレビのリモコン電波を浴びると、そうなるみたい。他の場所で充電しても、固まったことはない。
普段のわたしは、失敗が身に
しかしわたしは
そう、MADOSMA Q501Aはたとえ固まっても、持ち主がバッテリーをはずして強制リセットし、付け直して再起動させることができるんだ。パソコンが固まってどうにもならなくなった時、いちかばちかでコンセントから差し込みプラグを引っこ抜くのと同じことが、スマホでできる。
美優ちゃんやあかりちゃんの
バッテリーをはずし、付け直す。背面カバーを元通りにはめる。わたしはMADOSMAの起動ボタンを長押しした。ボディがぶるんと震え、OSが立ち上がる……かに見えた。しかし、そうはならなかった。
画面全体を
「何だろう、E-BODY……OPERATING……SYSTEM……FAILURED……?」
どうしよう、こんな英語読めない!
わたしは清治おじさんの部屋に飛んで行った。本棚からぼろぼろに読み込まれた英和辞典を引っ張り出す。
E-ボディの操作システムが失敗しました。
1:ハンドラーの装置から再起動する。
2:進入している装置を再起動する。
この操作によってE-ボディが再起動することがあります。
3:E-ボディの自己破壊プロセスを起動させて、
この操作によってE-ボディは
進入している装置は撤退後に再起動されます。
入力する 戻る
わたしは、
E-ボディって、何? どうしてこうなったの? いったいどうすれば、わたしのMADOSMAは元に戻るの?
わたしは懸命に頭を働かせる。これは、あの
マイクロソフト社が、またしてもアップデートをミスしたのだろうか? E-ボディとかいう新しいプログラムが、インストール中に
まさか、あの「くれない」さんが何か悪さをしたのだろうか? それも、違う気がする。LINEのトークにウィルスが仕込まれていたなんて話、聞いたことない。もしそんなのがあったら、小学校は大パニックになってるだろう。わたしも知ってるはずだ……そう考えてわたしは、
では一体、誰が、なぜ……。
今までこんなことは、一度も起きたことがなかった。そして、ナカニシがアメリカから帰ってきた今日、初めて起きた。しかもナカニシは、ハッキングを新しい仕事に選んだと言う……これは、ナカニシが帰ってくるのを待って、彼に相談したほうがいいのではないだろうか。それが
でも、わたしは、このことをナカニシに相談したくなかった。ナカニシがロボット作りの夢を
わたしは、改めて表示文の
わたしは、ハンドラーとかいう技術者(?)には当たらないだろう。特別な装置も持ってない。だから、1:を選ぶことはない。
わたしのMADOSMAが「進入している装置」だとしたら、2:を選んだら、MADOSMAはめでたく再起動されるだろうけど、E-ボディとかいう
3:の文面が意味するものは、わたしの常識を
SCRAPPED. 廃棄。
わたしが、3:を選んだら、MADOSMAの中で何かが
静かに、音も無く、わたしは決断した。
望美ルール、その2。
わたしは、それが何であれ、廃棄なんかしない、絶対に。
そう、決めたんだ!
わたしは、MADOSMAの画面上の2:を選び、次いで「
WindowsPhoneのスタート画面が現れた。そこに、ひとつの
MADOSMAの画面が、夕焼け空のように赤くなった。
それは、日本のおとぎ話に登場する、龍の姿に似ていた。でも、どこか
MADOSMAのスピーカーが
「助けてくれて、ありがとう。君がこの端末を再起動させなかったら、ぼくはリチウムイオンバッテリーの中で、
「あなたは、誰?」
「ぼくはハッシュ。
君は誰?」
「わたしは、
これが、わたしと、E-ロボット・ハッシュの、最初の出会いだった。
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