13.(ぼく) 過去: どうやって作ったのか
多くの大学や
結局、
「21世紀にもなって、
ロイディンガー博士ひとりが、元気一杯だった。望んでいた研究を、ついに実行に移せるのだから。博士の意欲の高まりは、次第に、スタッフにも伝染していった。いつまでもしょんぼりしているより、元気を出したほうが楽しいに決まっている。
博士はスタッフを
加速された電子と
さらに外側から、もう
粒子加速リング内の空間は、
ロイディンガー博士が求めていたのは、電子(
博士は、
ついに、実験が開始された。
陸軍
それまで最奥部空間に満たされていたのは、単に空気を抜かれたというだけの『一般真空』だ。それが、より徹底的な『
最奥部空間は、極めて狭い。人間の目には見えない。それどころか、銅原子10
対消滅由来真空は、1回の衝突で電子1個分しか作れない。広大な空間を設定することは、予算面では許されず、時間的には不可能なことだった。
10日後、電子と電子の衝突を試みた。互いが持つマイナス1の電荷によって反発し合い、衝突せずにすれ違っていった。ロイディンガー博士は
「対消滅由来真空の
20日後、
博士は、堂々と答えた。
「続ける」
「では、新たなスポンサーを探しなさい」
ロイディンガー博士にとってこの時期が、肉体的にも、精神的にも、経済的にも、最も苦しい時だったろう。
そして、12ヵ月目のことだった。
衝突させられたふたつの電子は、
『
『
この時、ロイディンガー博士は、深く、静かな満足感を覚えたという。それは、次なる、静かな
それからは、とんとん拍子だった。三重電子、四重電子、五重電子……いくらでも作れた。それらの電子を、日本製の
アメリカ
E-ロボットの研究・製造・訓練施設である『フォート・ナラティブ』の建設が、開始されたのだ。
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