10.(ぼく) 兄弟げんか
「遊ぼうよ!」
ぼくたちは駆け出した。2匹の子犬がもつれ合うように。
ぼくたちは電子ブランコに飛び付き、
電子ブランコは、2つの
ぼくたちは
でも、ぼくたちE-ロボットは、
「
「うん!」
ぼくとギョルギスは、振り子の
ぼくとギョルギスは、電子ジャングルジムのてっぺんにとぐろを巻き、
ぼくたちの興奮は、いつまでも冷めなかった。ぼくたちは、互いに触角を触れ合わせては笑い合ったり、尻尾を
ぼくはふと、ギョルギスをからかいたくなった。
「ねえジョージ」
「何?」
「君はぼくの弟なんだから、ぼくのことを兄さんと呼ばないとだめだよ」
「なんだって!」
ギョルギスは怒り出した。
「そっちこそ、弟だ!」
「いいや、ぼくが先に作られたんだから、ぼくが兄さんだよ」
「違う! お前が弟だ!」
ギョルギスは、
「ぼくが兄だ!」
「お前が弟だ!」
ぼくたちはお互いに飛び掛かり、噛み付いた。引っ掻き合い、互いを蹴放した。ぼくたちは銅原子の空に舞い上がった。
「生意気な奴だ!」
「
ぼくたちは角を振り立てた。
その時、ぼくの体に
ぼくの右角が、根元から折れてしまったのだ。
「ハッシー!」
ギョルギスが叫んだ。その声は悲鳴だった。
「ごめんなさい! ぼく、ぼく……!」
「大丈夫だよ、ジョージ……」
ぼくはぼんやりとしていた。
「ぼくたちはロボットだ。修理すれば治るよ」
ギョルギスは、彼が接続しているE-ブレイン
「博士、ロイディンガー博士! ハッシーが、ハッシーが大変なんです!」
ギョルギスの声は、泣いていた。ぼくは、ギョルギスを
「君は、少しも悪くないよ……」
「ハッシー……!」
「安心しなさい。角はすぐに直せる」
「本当?」
「ジョージ、私が
「治るんだ! 良かった……。
ごめんなさい。博士、ぼく、ハッシーにひどいこと、してしまって」
「けんかするほど仲が良いという。気にするな」
博士は、常に
「ハッシーよ、『メモリーキャリアー』に移動しなさい」
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