4.(ぼく) 新しい教官ナカニシ / 初めての外の世界
ぼくのE-ボディが試作2号機に
男は、ナカニシと名乗った。
「お前は、電子回路内での
ナカニシは、にやりと笑った。
「お前の
「了解しました!」
ぼくがナカニシの笑顔を見ることができたのは、ぼくがナカニシのノートパソコンの中にいて、そのインカメラを利用できたからだ。
ナカニシは、背の高い男だった。
総じて……『
ナカニシは、ノートパソコンを折り
「では、校外学習と行こうか」
ナカニシはぼくを連れ、建物の1階から出た。さり気なく
ぼくは、ショルダーバッグの
これが、ぼくの生まれた場所か。ぼくの家か。
外から見るのは、初めてだった。
ナカニシは駐車場に向かった。白い塗装の
道路は、
「ナカニシ、あのきらきら光る、平らで広いものは何?」
「ポトマック川だ」
「ポトマック川は……ちりちり揺れながら、動いている!」
「そうだ。川は、海へと流れていく。ポトマック川は、チェサピーク湾へと向かっている」
ポトマック川の水面を、きらきらと輝かせている、これが『光』なのか。
外は、光のある世界だった。ぼくは光が差してくる方向へ、WEBカメラをパンした。
そこには、青く
「これは……『空』だ! そうだね、ナカニシ!」
「ああ、その通りだ、ハッシー」
空には、白い……『雲』が、いくつも浮かんでいた。雲……『
雲の上には、何があるのだろう?
ぼくがさらに上方にカメラをパンすると、突然、世界がぎらぎらする
「ナカニシ! あの空の向こうには、何があるの?」
「宇宙がある」
「もっと、あるんだ……」
「宇宙を見たければ、夜が来るのを待て。今は、昼という
「まだあるんだ! どこまであるの?」
「どこまでも、どこまでも、果てしなくある。この世界の果てを見たものは、俺たち人間の中にもいない」
ぼくは、
ショルダーバッグの中が、熱くなってきた。
「熱いよ、ナカニシ、焼けちゃうよ!」
電子回路にとって、熱は
「早く出して、
ナカニシは、ベル・エアを
「
ナカニシは、あきれていた。
「こいつは水冷……いや、
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