第7話 夏休みに入りました。

 7月21日、夏休み初日。

 俺たちは悩み相談部は部室で活動をしていた。

「よし、夏の合宿に向けて、詳しいことを決めていきたいと思う!」

「「「おー!」」」

 珍しく、俺以外の部員がやる気を出している。

 いつも、これくらい部活に熱心になってくれると嬉しいんだが……

 それと結局、俺と美羽の姉ちゃんも行くことになった。


「それで、日程はどうする?」

「私は家族旅行の日以外なら」

「私はいつでもいいわよ」

「私もいつでもいいです」

「俺もいつでもいいぞ」

 さすが友達いない組、友達が少ないから予定が埋まらない……

「どうしたのよ、奏斗。そんな浮かない顔をして」

「な、何でもないよ」

 今更、俺たちは残念組だなんて言えないな。

「お盆明けとかどうですか?」

「ちょっと待って」

 そう言って、美羽がスマホを取り出した。

 どうやら、カレンダーでお盆明けの予定を見ているようだ。

「俺は大丈夫だと思う」

「私も行けると思うわ」

「美羽先輩はどうですか?」

「大丈夫よ」

 美羽の家はお金持ちだから、友達との約束より、家族との予定の方が多そうだな。

「じゃあ、あとはいつにするかだな。17日から18日はどうだ?」

「大丈夫だと思います!」

「私も行けるわ」

「私も大丈夫だと思うけど、奏斗くんは予定とか確かめなくていいの?」

「俺は大丈夫だよ。俺の家は両親の仕事柄、旅行とかあまりいけないし」

 考えてみれば、家族旅行なんて何年行っていないだろう?そんなことをふと考える。

「そっか。それで、奏斗くんの両親はどんな仕事をしているの?」

「大学の教授だよ」

「そうなんだ。何かすごいわね……美羽と希ちゃんは知っていたんだ」

 春奈が少し驚いた様子で言った。

「私はお姉ちゃんから聞いたわ」

「私は入院していた頃に聞きました」

「そっか」

「俺の話より、合宿の話を進めよう。美羽、別荘はどんな感じなんだ?」

「パパに言って許可をもらったけど、少し掃除が行き届いていない場所がいくつかあるから、自分で掃除して欲しいだって」

「了解」

「みんなで力を合わせて何か1つのことをするっていいですね!」

 希が目を輝かして言った。

「希ちゃんの気持ち分かるわ!」

 春奈が希に共感する。

「そうかな?」

 俺を含め、美羽は春奈ほど共感はしていないようだ。

「日程は決まったことだし、あっちで何をする?」

「花火!」

「バーベキュー!」

「スイカ割り!」

 美羽、春奈、希の順に要望を言った。

「お、おう」

 美羽がファミレスで集まった時より、ノリ気になっている気がする……

「奏斗先輩は何かやりことはないんですか?」

 ファミレスで集まった時にもこれに似たことを言われたな。

「じゃあ、ビーチバレー」

「「「おー!」」」

 結構、気に入ってもらえたみたいだな。

 確か、ビーチバレーはファミレスで集まった時に美羽が発案していたっけ?

「とりあえず、晩御飯はバーベキューで決定だな」

「そうだね!」

「はい!」

「そうね!」

「あとは昼食はどうしようかな?」

「あ、あの!わ、私で良ければ弁当作ってきましょうか!」

 希は顔を赤くして言った。

「本当にいいのか?」

「はい!」

 でも、一人でみんなの分を作るってかなり大変なんじゃ……

「俺たちも手伝うよ。なあ、美羽、春奈」

「「……うっ」」

「どうした?」

「わ、私はちょっと……」

「私も美羽と同じでちょっと……」

 まさか、二人とも……料理ができないなのか?

「な、何よ、奏斗!そのかわいそうなものを見る目!」

「そ、そうよ、奏斗くん!べ、別に私たちは料理ができない訳じゃなくて、少し苦手なだけよ……」

「分かった分かった」

「何も分かってないじゃない!」

「美羽の言う通りよ!そういう奏斗くんは料理できるの?」

 二人が俺を目の敵のように突っかかってきた。

「俺は人並みくらいにはできるけど」

「そ、そんな……」

「女として奏斗くんに負けたわ……」

 と言って、二人が跪く。

「奏斗先輩、気を使わなくて大丈夫ですよ」

「でも――」

「大丈夫ですよ」

 先輩への気遣いなのか、希の意思は翻ることはないようだ。

「じゃあ、昼食は希に任せようかな」

「はい!」

 そんな訳で、昼食は希が担当することになった。

 女の子の手作り弁当なんて初めてだし、楽しみだ。


「あと、伝え忘れていたことがあったけど、合宿で使う食材とかはパパが用意してくれるみたいだから、心配ないわよ」

「了解」

「ありがたいですね」

「美羽のお父さんに感謝しなくちゃね」

 美羽のお父さんが食材を用意をするんだ、品質には期待できそうだな。


「そういえば、奏斗先輩と美羽先輩はのお姉さんは何か要望とかはないんですか?」「俺の姉ちゃんは全部、俺たちに任せるって言っていたぞ」

「同じく、私のお姉ちゃんも」

「そうなんですか」

「じゃあ、私たちで奏斗くんと美羽のお姉ちゃんに楽しんでもらえるように頑張りましょう!」

「「おー!」」

 春奈と希が張り切る。

 俺としてはそこまで張り切ってもらわなくてもいいんだけどな……

「まあ、決めることはこれくらいでいいかな?」

「いいんじゃない?まあ、あとはなるようになるでしょ」

「そうね。美羽、バーベキューの器具や遊び道具はあるんでしょ?」

「バーベキューの器具はあるわよ。あと、遊び道具もそれなりに」

「なら大丈夫ね」

「じゃあ、あとは当日を待つだけですね!」

 と、希が待ち遠しそうに言った。

「みんな!体調管理には十分に気を付けて、合宿を楽しむわよ!」

 春奈が高々と手を上げる。

「「「「おー!」」」」

 こうして、俺たちの夏合宿が始まるのだった。

 

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引きこもり少女と始める学園ラブコメ カズシ @kazushi12514

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