第2話 はじめまして
シュンは、かつて日本だった土地の何処かに住んでいた。もはや土地の名前なんて残っていなく定住している人はほとんど存在しない。ところどころに町というのは存在しているけれど。
時折、車体が揺れる。
整備されてない道なき道を走っていた。今日のような走りやすい道は久しぶりだった。道路なんてのは、古代文明の遺産で旅人という職に就いている自分でも数えるくらいしかその上を走ったことがない。何処かの誰かが言っていた昔話ではそこら中に道路というのは張り巡らされて道なき道などほとんど存在してなかったらしい。
目の端に移ったものを見て、シュンはブレーキを思いっきり踏む。
ぼうっとしていたら、気づかなかったと思う。
いや、あるいはぼんやりとしていたからこそ、気づいたのかもしれない。
そこは、岩も何もなくただ少しの砂埃が舞っていて、だからこそ余計に茶色い何かを異様に際立たせていた。
何だろうあれは…
岩も何もなく、その物体の周りだけ神聖な空気が漂っていて自分が近づいていいのかさえためらった。シュンが遠目で見た時には気が付かなかったが、小さく上下に動いていた。
あれは人だ…
そうシュンは仮定すると腰にリボルバー式の拳銃を二丁確認する。アサルトライフルのセーフティを解除しそれを持つと「人」であろうものに、近づいた。
シュンは人が倒れていたり、困っていたりしたときは見過ごせない優しい心を持っていたが、その助けた人が、自分に対し銃やナイフを向けてきた場合には、あっさりと切り殺せるような残虐さも持ち合わせていた。
照準を頭に固定したまま、フードをとった。
出てきたのは銀色に光る髪、白く透き通るような肌、長い睫毛が太陽の光を光を反射していてきれいだった。見た目だけ見れば、女だということは間違いないだろうが見た目だけで判断することが危険だということは、身をもって知っていた。
「おい、大丈夫か?」
「ん…んぅ」
「おいっ起きろ」
「…………ぬぅ」
―――――?
謎の女(仮)は謎の言葉を吐いて沈黙した。
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