最終話 【コンビニ店員】 ~玲奈編~

 1人目~6人目まで、5人目を除き、ロクなアルバイトが来なかった。

次が最後にしよう!そんな弱気にもなっている店長。

 まともなアルバイトが来なかったら、コンビニはやめよう。

田舎に帰って畑でも耕すとしよう。

 そう心に決めた店長は、超お嬢様学校の某女子高校を卒業した人物(7回目w)を雇い入れた。

 生徒会長を3年間やっていたというので、”ちゃんとした人物”のようだし、何より、言葉遣いがとても高貴な感じがして気品もあるし、さすがに、問題はないだろうと、確信した。

 最凶アルバイター最終話です!

ちょっとダークな仕様となっておりますが、ご覧くださいませ。


 「いらっしゃいませ~」

店長が言った。


 「いらっしゃいませ」

 「いらっしゃいませ」


・・・と言ったのは、ガタイのイイ2人の黒服たちである。


 「れ、玲奈くん?」

 「なんですの?店長さん」


 「あの人たち、何なの?」

 「もちろん私のボディガードですわ」


 「それはいいんだけど、なんで店内に居るの?」

 「それは、わたくしを守るために決まってますわ」


 「あんなとこに突っ立ってると、他のお客様に迷惑だし、みんな怖がってるじゃ

 ないか」


 「近年、コンビニ強盗が多発していると言いますし、防犯上もあそこに立たせる

 のがいいですわ」


 「必要ない、出てってくれ」


 「無駄ですわ、その者たちは、わたくしの命令しか聞きませんわ」

 「なら、命令してくれ、店から出てってくれ、と」


 「何故ですの?わたくしに何かあったら、あなた責任取れますの?」

 「取れるよ」


 「ほぅ?言い切りましたわね??」

 「もし、従業員に危険が迫ったら、それを守るのが店長の務めだしね」


 「その言葉、信じますわよ?お前たち、外で待機なさい」

 「はい」

 「御意」


・・・といって、黒服たちはお店の外に出ていった。


 「で、玲奈くん」

 「今度はなんですの?」


 「お客さんだよ」

 「ですからなんですの?」


 「挨拶だよ!挨拶!!」

 「どなたにですの?」


 「お客様に決まってるだろう!」

 「わたくしはお嬢様ですわ」


 「きみがお嬢さまだろうが何だろうが、お客様のほうが上なんだよ!!」


 「そんなことあるはずがございませんわ、わたくしよりも上の者など、お父上だ

 けですわ」


 「はあ・・・まったく、どんな教育を受けて来たんだ?きみは??頭が痛

 い・・・」


 「失礼なことをおっしゃらないでくださる?打ち首になさいますわよ」


 「打ち首って、いつの時代の人だよ、あんたは!」


 「数々の無礼は、許しませんことよ」


 「はいはい、無礼はいいから、1つ質問いいかね?」


 「なんですの?手短におっしゃってくださいます?」


 「はいはい、外に居る人たちの雇い主って、きみだよね?」

 「そうですわ」


 「あの人たち、きみの命令に逆らったらどうなるの?」

 「死刑・・・ですわね」


 「死刑ね・・・(苦笑)」


 「それがどうかしまして?」

 「いまのきみの雇い主は、私なんだよ、わかるかな?」


 「もちろん、わかりきったことですわ」

 「じゃあさ?私の言うこと聞かないと、ダメなんじゃない??」


 「どうして、わたくしが店長さんごときの言うことを聞かないといけません

 の?」


 「ごときね・・・・言ってくれるね(怒)」


 「おっしゃってる意味がまったく理解出来ませんわ」

 「意外と頭悪いんだね、きみ」


 「むっきぃ~~~!死刑にしますわよ!!」


 「むしろ、それが出来るのは、私だと思うがね、死刑ではなく、クビだけど」


 「なにを世迷言を・・・オホホホ!!γ(▽´ )ツヾ( `▽)ゞオホホホ!!」


 「キミの雇い主は?」

 「店長さんですわ」


 「雇い主の命令は?」

 「絶対ですわ」


 「・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・」


 「もう1回言うよ、挨拶して!」

 「うっ・・・・・・」


 「う・・・なんだね?」

 「うううっ・・・・」


 「そんな挨拶あったかなぁ?」

 「い、いらっしゃいませですわ」


 「ですわ、は要らない、はい、もう1回」

 「い、いらっしゃいませ・・・」


 「声が小さい!あと、ちゃんとお辞儀する!!」


ぐぐぐっ・・・(玲奈の頭を押さえつける)


 「い、いらっしゃいませ・・・(くっ・・・こいつ、絶対殺しますわ!)」


店の外にて・・・・・・


 「くくくっ・・・あれ、見ろよ」

 「くくくっ・・・いい気味だぜ!」


 「いつも威張り散らして、命令してな」

 「命令されてる気分が分かったろうよ」


 「しかし、あの店長、消されるな」

 「ああ・・・あれは、助からないな」


 「お前らもな」


 「うん?いま、何か言ったか?」

 「いや、お前のほうこそ?」


 「誰も居ないよな??」

 「ああ、俺たち疲れてるのか?」


 「かもな、いつもコキ使われてるしな」

 「おい、見てみろ」


 「おお?お嬢様が掃除をしている!!凄い光景だ!」

 「メイドにやらせろとか言ったんじゃないか?」


 「ああ、店長に頭をはたかれてるぞ!わははははっ!!」

 「俺たちの出来ないことをあの店長はやっている、神だな!」

 「ああ、神だ」


 「お前らは、死神」


 「なんだって?」

 「お前こそ、死神って言わなかったか?縁起でもねぇこと言うなよ」

 

 「言ってねーし!お前だろ?言ったのは!」

 「言ってねぇよ!」


 「う~ん・・・やっぱ疲れてるのかなぁ?」

 「そうだなぁ・・・あ、お嬢様が呼んでるぞ」

 「終わったようだな」


 「お前らも終わったよ」


 「また、何か聴こえたけど、きっと幻聴だな」

 「ああ、俺も聴こえた気がしたけど、幻聴だろ、誰も居ねぇし?」




店内・・・・・・


 「お、終わりましたわ・・・はぁはぁはぁ・・・ぜぇぜぇぜぇ・・・」

 「額に汗して働くって気持ちのいいもんだろう?」


 「ベタベタして気持ち悪いだけですわ」

 「今日は、研修で2時間だけだったね、お疲れさん、また明日」


 「に、2度と来ませんわ」

 「そういうと思ったよ、はい、これ」


 「な、なんですの?それは??」

 「2時間分のお給料だよ」


 「い、要りませんわ、そんなはした金」

 

 「確かにはした金かもしれないが、これはきみが汗にまみれて稼いだ貴重なお金

 なんだよ」


 「ふん、結構ですわ、帰りますわよ」

 「はい」

 「御意」


 「ふぅ・・・やれやれ?どこの箱入り娘さんだよ、あれは?」


 「おい、マジか?あの店長、さっきのが誰か分からないで雇っていたのか

 よっ!?」


ん?有名なお嬢さんなのかな??


 「いやいや、この都内に住んでる人間であの方知らない人なんて居ないっ

 しょ!」


 「だよな~~~小学生でも知ってるもんな~」


ほぅ?芸能人なのかな??お嬢様の?

俺、テレビ観ないからなぁ・・・う~ん・・・。


 「わたくしたちの玲奈様にあんな下等な生物がなんということでしょう!」


下等な生物って、俺のことか?(怒)なんなんだ?あの女たちは??


 「死刑ですわね!死刑!!」


さっきのバカお嬢様と同じこと言ってるよ。最近の流行なのか?


 「この店も、もう終わりかな」

 「だな」


 な、なにをわけのわからないことを言ってるんだ?あの客たちは!失礼な!!


翌日・・・・・・

 富士山中にて、身元不明の死体が2つ出た。

結構体格の良い、男性とまでは分かったがどこの誰かは不明のままだった。

 そして、コンビニの店長は行方不明となった。







 ~回想~

 「玲奈よ」

 「はい、お父様」


 「お前には今まで帝王学を学ばせて来たが、庶民のことは教えておらぬな?」

 「はい、お父様」


 「お前には、必要ないと思ったが、勉強のために、庶民の生活を体験して来なさ

 い」


 「承知致しました、お父様」


 「我がグループの末端組織に24時間営業のコンビニエンスストアがある、知っ

 ておるかね?」


 「はい、お父様」


 「そこにアルバイトとして勤務しなさい」

 「はい、お父様」


 「但し、身分は伏せて入社するんじゃ、良いな?」

 「・・・・・・・・・・はい、お父様」


 「不満かね?」

 「いいえ、お父様」


 「末端組織なら、お前のことなど、知らぬとは思うが念のためじゃ、身分を隠し

 て働くのじゃ」


 「はい、お父様」


 「では、行って参れ」


 「はい、失礼致します、お父様」





~面接時~


 「北条玲奈さん?」

 「さようですわ」


 「ほぅ?素晴らしい肩書きですね、で?うちに来た動機はなんですか??」

 「何不自由なく暮らして来たわたくしですが、社会勉強をするためですわ」


 「ふむ・・・なるほど、いい心がけですね、分かりました、採用しましょう!」

 「ありがとうございます」


 「それでは、早速明日から、来てください、初日は2時間だけ研修します」

 「わかりましたわ」





~某山中奥深く~

 「ま、待ってくれ!た、助けてくれ!!な、仲間じゃないか!」

 「お願いだ!助けてくれよ?」

 「お嬢様の命令だ、許せ、おい、やれ!」

 「ああ」

 「わかった」

 「や、やめてくれぇ~~~!ぎゃあああああああああああああ!!!」

 「い、いやだ~~~!ぎゃあああああああああああああ!!!」





~某屋敷~


 「気が付いたかね?」

 「は!?こ、ここは、どこだ??」


 「安心せい」

 「え?え?え???」


 「どうしたんじゃ?」

 「あ、あ、あ、あなたさまは、も、もしや・・・我がグループの総

 帥!!!???」


 「玲奈のことは知らんのに、わしのことは知っておるのか?」

 

 「れ、玲奈・・・って、ま、ま、まさか・・・!???北条玲奈・・・・・・・・・・・・・北条院玲奈嬢!?!?!???」


 「そうじゃ、玲奈はわしの娘じゃよ」


 「そ、そうとは知らずに、も、申し訳ございませんでした!!!ひらに!ひらに ご容赦を~!(土下座状態)」


 「おぬしをさらったのは、他でもない、あのままでは玲奈に消されるところ 

 じゃったでの、拉致させて貰った、手荒にしたが許せ!」


 「い、命を救って頂きありがとうございます!総帥!!」


 「うむ・・・じゃが、いずれ、おぬしは消される運命やもしれぬ」


 「うううっ・・・」


 「戸籍を消し、別人になる勇気はあるかね?」


 「そ、それで、命が助かるのでしたら?」


 「うむ・・・では、海外へ行き、わしの事業を手伝ってくれるか?」


 「ははっ!喜んで!!粉骨砕身の努力で勤め上げてみせます!!!」

 「よろしく頼む」


 「ははっ!(平伏)」


 「うちの玲奈に厳しく接してくれて、感謝するぞ」

 「勿体ないお言葉でございます、総帥!!」


 「では、精進したまえ」

 「はっ!(深々とお辞儀)」


コンコンっ

 「総帥、失礼致します」

 「なんじゃ」


 「あのコンビニはいかが致しましょうか?」

 「あの店は立地が良い、あのまま継続じゃ」


 「御意・・・責任者はいかがなさいます?」

 「任せる」


 「かしこまりました、総帥」

 「玲奈お嬢様の研修は、どうされますか?」


 「終わりで良い」

 「御意」


 「玲奈を呼べ」

 「はい、少々お待ちください、失礼しました」


コンコンっ・・・


 「お父様」

 「玲奈か、入れ」


 「はい、失礼致します、お父様、玲奈入ります」

 「うむ、まぁ、かけなさい」

 「はい、失礼します」


 「社会勉強はどうじゃったね?」

 「はい、お父様、大変、勉強になりました」


 「うむ、そうか」

 「引き続き、研修を行いますか?お父様」


 「お前の好きにして良い」

 「はい、お父様」


 「それから、玲奈よ」

 「はい、お父様」


 「むやみやたらに人を殺すでない」

 「・・・・・・・・・・はい、お父様」


 「以上だ」

 「はい、お父様、失礼致しました」


 「電話をくれ」

 「どうぞ、総帥」

 「席を外せ」

 「御意」


 「もしもし?」

 「どうしたんですか?こんな時間に、珍しいですね☆うふ」


 「麻美さん、コンビニでアルバイトしてたそうじゃが、目的は何じゃね?」

 「あら?目的だなんて、何もありませんわよ☆オホホホ!!γ(▽´ )ツヾ( `▽)ゞオホホホ!!」


 「玲奈の真似やめてくれんか?気持ち悪い」

 「酷いですね?クス(・m・*)クス 」


 「まぁ、詮索はせんよ、今日は別件で電話したんじゃよ」

 「なんでしょうか?”総帥”」


 「悪のドンみたいな言い方はやめてくれんか?前みたいに会長で良い」

 「あはははは♪はい、”会長”」


 「コンビニの店長もしくは、経営者をやらないかね?」

 「つまり、あのお店を買い取れと?」


 「嫌かね?」

 「嫌ですね」


 「はっきり言うね」

 「評判悪すぎですからねぇ~」


 「じゃが、不思議と売り上げはあるぞ!」

 「駅前で売り上げ無かったら終わってるでしょ?クス(・m・*)クス 」


 「まぁな」

 「ちなみにいくらですか?」


 「4000万円でどうじゃ?」

 「土地も含めてですか?」


 「いや、店だけじゃ」

 「う~ん・・・高くはないけどぉ?」


 「10年分のロイヤリティ込みじゃぞ!」

 「それは安い!」


 「じゃあ、買ってくれるかね?」

 「要らない」


 「がくっ・・・麻美さ~~~ん!」

 「だって、色々、いわく付きですもの、中々払拭は出来ないわよ?」


 「そうなんじゃが、あそこを閉店させるのは、勿体ないんじゃよ」

 「だったら、前にバイトしてた子を戻せばいいじゃない!」


 「だから、それを麻美さんにやって欲しいんじゃよ」

 「嫌で~す!」


 「くっ・・・どうしてもかね?」

 「どうしてもです」


 「こんなにお願いしても?」

 「お願いしても、ダメです」


 「3000万円では?」

 「お金の問題じゃないです」


 「くぅ・・・」

 「はっきり言って、タダでも要らないです、あの店は!」


 「そこまで言う?」

 「言います!」


 「潰せと言いたいのかね?」

 「別にどっちでも!」


 「むぅ・・・」


 「ただ、もし、私が経営者だったら、別の店にします、コンビニがダメだと思い

 ます」


 「例えば、何の店なら、いいんじゃ?」

 「それは、内緒です」


 「なんじゃよ?そこまで言うといて、教えないとか意地が悪いぞ?麻美さん

 や??」


 「私にメリットありませんもの」


 「わかった、アイデア料を出そう」

 「うふ☆いいでしょう♪商談成立ですね!」

                           完

次回作は、前の作品の高校卒業10年後のお話で、会いましょう!






 


 

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最凶アルバイター現る! 黄昏の夜月(たそがれのナイトムーン) @night-moon-crisis

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