第5話 【コンビニ店員】~麻美編~
1人目、2人目、3人目、4人目、と中々、新人アルバイトが育たない店長は、この仕事向いてないのかな、と思い始める。
このとき、お店の経営を断念していれば、後(のち)に、”あんなこと”には、ならなかったのに・・・と、このときは思いもしなかっただろう。
5人目の採用は、きっと大丈夫だと確信に至ったきっかけは何だったのだろうか?今回”も”(笑)某、有名女子高校の卒業生(5回目w)で成績優秀な大学生を雇った店長。
今回は、一体どんなお話になるやら?ご覧あれ!
最凶アルバイターシリーズ第5話、始まるよ!
「いらっしゃいませ、こちらの商品は、袋をお分け致しますか?」
「ううん、一緒でいいよ」
「ありがとうございます、それでは、ご一緒に入れさせて頂きます」
「ありがと」
「ありがとうございました☆またお越しくださいませ~」
うんうん、今回の新人アルバイトは当たりだな!上品な接客態度が評判もいいし、声はちょっと細いがキレイな声だし、美人だし、男性客にも女性客にも人気があって、大変喜ばしい限りである。
”客単価”も何故か、麻美くんがシフトに入っているときに限って金額が大きいし・・・なんでだ??
「いや~今回のアルバイトいいな~!」
「ああ、ここって、新人さんすぐ辞めちゃうけど、毎回、可愛い子か美人が入る
よな~!」
「コンビニ店員に美人あり!って聞いたことねぇもんな」
「おまえ、それ、ひっどw」
「あ、悪ぃ!つい、本音がw」
「たまには、居るだろ?可愛いバイト店員もよ??」
「俺は、この店しか知らん」
「俺もだけどw」
大学生風の男性客たちは、麻美目当てで毎回来店して、そんな会話を店内でしていた。
「しかし、あの美人さんの前だと、何か見栄張っちゃって、多く買いすぎるんだ
よな~」
「わかるわかる!なんかあの上品な対応みると、ついつい買っちまうよな」
店長は、店内の見回りがてら、そんなお客さんたちの会話をこっそり聞いている。
「前に居たお人形さんみたいな子のときは、ペットボトルを何回も買ってさ~」
「そうそう、腹がタプタプになっちまったよな!あはははっ!!」
確かにあの子のときは、”客単価”は安いが、売り上げは、”5倍”だったしなぁ(遠い目w)
「そのあと、入ったのって、誰だっけ?」
「目まぐるしく変化するからな~ここのバイト、なんかよく動く元気な子じゃな
かったか?」
「ああ~そうそう!1人目とは対照的な感じの?」
「あの子も意外と、接しやすかったよな」
「おう、世間話もよくしたしな」
「ああいう、お客さんの話にすっと入って来れる店員さん、重宝だよな~」
「なんで辞めたんだろうな?この仕事向いてたと思うんだけどなぁ~」
言いたいこと言ってくれるぜ!
あの子が不正してたのは、お客さん知らないからなぁ~~~。
「その次って、確か・・・」
「赤毛のアン!」
「わははははは!アンじゃねぇだろ!!」
「名前忘れたけど、赤毛は覚えてるw」
「すげぇやつだったよな~」
「ああ、あんなのを雇うほど、この店、人居なかったのかよ!って思ったわ」
「全くだ、あれは、酷かった、下品すぎた」
「嫌いじゃないが、あそこまでいくと、もう、変態通り越して変質者だよな」
「うむ・・・男性客は、全員、股間触られてたからな~何の店だよ!って思った
ぞ」
あ~~~~~~!あいつのことを考えると頭が痛い~~~!
そろそろ、賠償金の分割払いの日だなぁ・・・・・・。
「その次が確か・・・?」
「ちょっと、コワモテのねーさんじゃなかったか?」
「うむ・・・見た目は、美人だったけどな」
「いや~でも、あの店長睨んだ時の顔、見たかよ?石になっちまうぞ!」
「メデューサかよ!」
「だって、店長もかなりビビってたぜ?」
「石になって動けなかったんじゃねぇのか?」
「わはははは!」
くっ・・・あいつのことは思い出したくねぇ!!まだ、”わき腹”が痛ぇしよ・・・。
「あのねーさんは、長く続かねぇと思ってたわ」
「わははは!俺もだ」
「今回の美人さんは長く続いて欲しいよな~」
「全くだ」
「俺たち、方角全く違うのに、このコンビニめっちゃ来てるよな」
「ああ、ここに来る間に10軒以上コンビニ通過して来るぞ」
「このコンビニ潰れて欲しくねーな」
「ああ、従業員がコロコロと変わる店って、長くねぇって言うしな!」
縁起でもないこと言わないでくれよ、全く・・・。
「店長さん、商品補充するので、レジお願いします」
「ああ、わかった、補充終わったら、休憩入っていいよ」
「わかりました、ありがとうございます、店長さん」
いや~、やっぱ、いい!この子は、大当たりだ!!でへへへ・・・
「見ろよ、ここの店長って、ホント分かりやすいよな、ぷぷっ!」
「ああ、美人店員見て、幸せ一杯の笑みだったな!ぷぷぷっ!」
はっ!?し、しまった!
さっきのお客たち、まだ、居たのか?み、見られた!!が―――ん!
「店長さん、終わりました、休憩に入らせて頂きます」
「あ、ああ」
「俺たちの手前、クールなフリしてるぞ!ぷぷぷっ」
「あんまり言うなよ!ぷぷぷっ」
くっそ~!あいつらめ~~~!!買わないなら早く出てってくれぇ~!
「あんまりからかって出入り禁止になってもアカンし、帰るか」
「俺たち、結構売り上げ貢献してるぜ?出禁になるのか~?」
「あの店長は、評判悪いしな!なに言われるか分からんよ??」
「マジか~~~!」
くっ・・・言いたいこと言ってくれるぜ!!
しかし、俺の悪評は一体誰が広めてんだ?くそっ!
「店長さん、休憩終わりました、ウォークイン入ります」
「ああ、頼むよ」
あの子がウォークインやると、物凄くキレイに陳列されるのと、綺麗に生理整頓されてるんで、すごく見栄えもよく商品も分かりやすい位置になってるんだよな~。飲み物がよく売れるのもそれが関係しているのかもしれん!
あのセンスは中々見事なものだ!
「あの、店員さん、商品越しですみませんが、ちょっと教えて」
「はい、なんでしょうか?私に分かることでしたら、お答えさせて頂きます」
「このドリンクとこのドリンクの違いって、何なのかしら?」
「こちらのドリンクは強炭酸で、こちらのドリンクは普通の炭酸になっていま
す」
「へぇ・・・そうなのねぇ、ありがとう」
「いいえ、どういたしまして・・・お買い上げ、ありがとうございます」
うんうん、さすが、麻美くんだ。お客様も満足して頂いたし、さすがだ。
「麻美くん、時間だし、あがっていいよ」
「はい、それでは、これをやって、終わります」
「麻美くんのウォークイン整理はいつも綺麗で助かるよ、ありがとな」
「いえ、お仕事として、当然のことをしたまでです!はい、終わりました」
「ご苦労さん」
「お先に失礼致します、また次回も宜しくお願い致します」
「気をつけて帰りなよ」
「はい」
何日か過ぎて・・・・・・
「アンタたちコンビニ好きだねぇ?」
「だってよ~ここの店員さん、美人だからよ~ついつい足が向くんだよ~」
「ふ~ん・・・どれどれ?確かに美人だけど・・・暗いわね」
「ぴくっ!」
暗いに反応する麻美。
「オイオイ、酷いこと言うなよ~!大人しいって言えよな」
「違うよ、あれは暗いんだって!あたしには分かる!!」
「オイオイ!ヒガミにしか聴こえないぞ~~~」
「何よ?ひがんでなんかいないわよ!あたしは!!」
「お前が勝ってる部分がないからって、酷いね」
「くすっ」
「あ?なに笑ってんだよ、アンタ!」
麻美に詰め寄る女性客。
「お、おい、よせよ、恥ずかしいな~」
「だって、こいつ、いま、笑ったんだよ?あたし見てさ~ムカつく~~~!」
「気のせいだよ、お前見て笑ったんじゃねぇよ、俺見てたし」
「なんで庇うのよ、あんた、あたしのツレでしょ?見ず知らずの根暗女の味方す
るわけ?」
「ぴくっ!」
根暗女に反応する麻美。
「暗いって言ったらあの女、反応してるよ、自覚あるからでしょ!」
「ぴくぴくっ!」
「お、おい、もうやめろって!」
「おい、外に連れていこうぜ!」
「なっ!?ちょ、放しなさいよ!」
「なぁ?俺たち、好きでこのコンビニ通ってんだよ、邪魔するなら帰ってく
れ!」
「な、なによ?わかったわよ、もう邪魔しないわ、それでいいでしょ?」
「本当かぁ?もう、あの店員さんに突っかかるのはヤメてくれよ?」
「わかったわよ、うっさいなぁ~」
「いらっしゃいませ~」
「ふんっ!」
麻美を見て、女性客がそういう態度を取った。
「おい~~~!」
「突っかかってないわよ」
「じぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
「お、おい、なんか、店員さんがお前のことじっと見てるぞ」
「あ?なによ??あたしは謝ったりしないわよ、何も悪いことしてないし!」
「仲良くしろとは言わん、悪態つくのは、やめろ」
「じぃぃぃって見て、根暗女のやりそうなことね、ふんっ!」
「ぴくっ!」
「おい、いい加減にしろよ」
「ふんっ!」
「おい、今日は、さっさと帰ろうぜ、こいつはもう連れて来るのやめようぜ」
「ああ、そうだな」
「しかし、女ってやつは、どうしてこうなのかね?」
「全くだ」
「ほら、奢ってやるから、機嫌直せよ」
「うるさいわねぇ・・・別に怒ってないわよ!」
「黙ってりゃ、お前も多少は可愛いのにな」
「(`Д´) ムキー!」
「はははは・・・(苦笑)」
「ほら、さっさと会計しないさいよ」
「はい」
「打つの遅っそ!」
「おいおい、絡むなって言ってるだろう!」
「遅いんじゃなくて、丁寧っていうんだよ」
「全く、男どもと来たら、ちょっと見た目が美人だからって、鼻の下伸ばして
みっともない」
「いいだろ、別によ~」
「ごめんねぇ~?こいつの言ったこと、全部ヒガミなんで、気にしないでね?」
「ヒガミじゃないって言ってんでしょが!」
「はいはい、わかったからさ~早く会計済ませて、もう行こうぜ」
「袋にお入れ致しますか?」
「あ~ちょっと、あたしのドリンクに触らないでよ!根暗菌が伝染るじゃないの
さ~~~~~~!」
「ぴくっ!」
「バーコードスキャンだけすりゃいいのよ!全くもうっ・・・」
「あ、オレたち、袋入れなくていいよ、手で持ってくからさ」
「はい、ありがとうございます、お印だけ貼らせてくださいませ」
「いいよ」
「ありがとうございました~」
「またね~」
「またね~根暗美人ちゃん」
「ぴくっ!」
ズデンっ!女性客が突然転んだ。
「きゃあああああああ!!!痛ったああああああい!な、なに、床が濡れてる
の???」
「オイオイ、なにもないところで、いきなりコケるなよ~」
「バチが当たったんじゃねぇの?」
「くすっ」
「あ?アンタいま笑ったな!お客さんが転んだの、そんなに可笑しいの?え?こ
ら!(怒)」
「((-ω-。)(。-ω-))フルフル」
「おい、よせよ」
「転んだらまず大丈夫ですか?お客様、じゃないの??根暗だから、そういう態
度なんでしょ」
女性客は転んだせいで怒りを麻美にぶちまける。
「ぴくぴくっ!」
麻美は言われのない言葉で眉間がぴくぴくしていた。
「ご、ごめんな?こいつ、今日、相当虫の居所が悪いみたいでさ?」
「本当にごめんね?こいつ、今日ちょっとおかしくてさ?」
「なに言ってんのよ!関係ないって言ってんでしょが!」
「わかった、わかった、ほら!いくぞ!!」
「どうせ、こいつ、家で根暗な黒魔術とかやってんじゃないの?あ~やだやだ、
暗いやつって!!!」
「ぴくぴくぴくっ!」
麻美は、怒りに震えていた。
「お、おい、立てるか?いくぞ」
「痛たたたっ・・・お、覚えてなさいよっ!きっ!!(睨)」
「びくっ!」
「おい、もう、よせよ、その店員さんは関係ないだろう」
男性たちに起こして貰って立ち上がり、女性客が歩き出した途端に・・・つるんっ!ゴヅンっ!!
「ぶぎゃあああああああああああ!!!!!!」
自動ドアに顔からダイブした女性客。
「お、おい!だ、大丈夫か!??」
「物凄い音がしたぞ!やばいっ!!泡吹いてんぞ!」
「病院運ぼう!そっち持ってくれ!!」
「お、おう!」
女性客は、男性客たちに抱えられて、車に乗せられて、去って行った。
「麻美くん、なにかあったのかね?さっきの女性客、鼻血を出してたようだ
が??」
「激しく転倒したみたいです」
「どこで?」
「レジの前と、出入り口付近です」
「2回続けて転んだのかね?」
「そうみたいです」
「床が濡れてたとかはないだろうね?」
「はい、濡れていませんでした」
「そうか、それなら店側に管理責任は発生しないな、良かった」
最近になって、コンビニでは、雨が降ったりすると、「雨なので床が濡れて滑りますよ、注意してください」といった札が出ていますが、昔のコンビニでは、そういうのはありませんでした。
雨降りや清掃業者が入っている時間帯に、よくお客さんがワックスや濡れた床上でひっくり返っているの光景を見かけました(苦笑)。
その後・・・・・・
女性客の妬みそねみに関わらず、男性客も、麻美に酷い暴言を吐くと、レジ前及び出入り口付近で、”必ずコケる”という現象が起きて、大惨事に!
連日救急車が来るコンビニと言われた。
いつしか、【呪われたコンビニ】と呼ばれるようになり、客足が少しずつ遠のいていった。
堪りかねた店長さんは、お店の御祓いをするために、数日間、休業し、麻美はアルバイトを辞めた。
めでたし、めでたし? 完
最凶アルバイター現る!
第6話 【コンビニ店員】~俊彦編~につづく。
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