第4話 【コンビニ店員】~瑞希編~
1人目、2人目、3人目と、段々質が悪くなってるような気がするが、大人しい子、元気だが、不正する子、見た目通りで評判悪いやつと来て、さすがに4人目は慎重になる。
逆転の発想でちょっと、違うタイプを雇って見たが、早速、後悔をしている。あの、超有名な、お嬢様学校の卒業生だというから雇ってみれば(4回目w)、経歴詐称じゃねぇのか?と思ったりもしたが、いやいや、今度こそ、信じよう!そう心に強く思う店長であった。
果たして今回は、一体どんなお話になるのか?読んでみてください。
とても短いですよ!
「いらっしゃいませ~!ほら、きみもちゃんと挨拶して!!」
「じろっ!」
「うううっ・・・・(こ、怖い・・・なんなんだ?こいつは?)」
「ああ~きみ、レジはもういいから、バックヤードの整頓を頼む」
「・・・・・・・・・・はい」
な、なんで、いちいち、俺を睨むんだ?あいつは!!人に命令されるのが嫌なタイプなのか?
いやいや、それなら、コンビニでバイトしようとか、思わないだろう?普通(汗)
ボスッ!ボスッ!!ボスッ!!!
「な、なんだ?何の音だ??バックヤードから聴こえてくる」
店長は、音のするバックヤードへ見に行った。恐る恐る中を覗いてみると?
「ふんっ!ふんっ!!ふんっ!!!」
「な、なにをやっているのかね?瑞希くん??」
「ダンボールを潰している」
「そ、そうか・・・だ、だが、他のお客さんもびっくりしているんで、もう少し
静かに頼むよ」
「・・・・・・・・はい」
ま、また睨まれた!な、何故だ!?
「お、終わったら、ウォークインもやっておいてくれ」
「じろっ!」
「やっておいてください」
「・・・・・・・わかった」
な、何故、俺がアルバイトに敬語なんだあああ~~~!
畜生~~~!!ストレスが~!!!
そこで、店長は、潰してあるダンボールに目をやった・・・
な、なんだ?変な形に潰してあるな~?
「なっ!?ど、どういう状態なんだ??これは?こんな潰し方見たことない
ぞ!」
店長は、ところどころ穴だらけのダンボールを見て思った。
なんで、こんなところに穴が開いてるんだろう?箱を潰すのに、こんなところに穴を開ける必要はないし・・・う~ん・・・それにしても妙な形だ・・・何気なく、拳を握って見た。
こ、この穴の形、拳か?試しに穴に通してみる・・・。
キレイに通った!しかし、こんなキレイに穴なんて、開くのか?
試しに店長は、ダンボールに握り拳を当てた。
「ふんっ!ボスッ!!痛った―――――――っ!!!」
「ぷっ!」
な、なんだ?いま、誰かに笑われたぞ?きょろきょろ?お客さんかな??誰も居ないないな・・・はっ!?ま、まさか、ウォークインの中のアルバイトが笑ったのか?しかし、扉は閉まっている。
直接、見てはいないようだが??俺そんな大きな声は出してないし・・・う~ん・・・。しかし、穴が開くどころか、凹みすらしない・・・意外と固いんだな、このダンボール・・・雑誌の返本用の箱に使うくらいだし、丈夫なのは確かだが、しかし、その箱に一撃で穴を開けるあのバイトは一体・・・!?
「ひゅ~!なんか今度入ったアルバイトおっかねぇ~!!」
「ああ、美人だけどなぁ・・・」
「無愛想だよなぁ・・・」
「美人だから、勿体ないよな~」
そう・・・見た目は、美人なので、お客さんはそこそこ入っている。
ああいうのが好みだという男性陣の気持ちはよく分からない(苦笑)が、あんなののどこがいいんだか?
「ぴくっ!」
「びくっ!(な、なんだ?まさか、心のつぶやきが聴こえたんじゃないだろう
な?)」
店長は、身体がこわばった。
「じろっ!」
うううっ・・・また、睨んでいる!な、なんだ?何が言いたいのだ???
「ど、どうかしたのかね?」
「休憩いいですか」
「あ、ああ・・・いいよ(きゅ、休憩かよっ!いちいち睨むんじゃねぇ
よ!!!)」
店長はビビりながら、心の中でそう思ったが、口が動いてたらしい。読唇術?
「店長」
男性客の1人に話しかけられた。
「はい?なんでしょうか??お客様」
「随分と落ち着きのあるアルバイトですね」
「あ、す、すみません、もしかして、挨拶がなくて、不愉快でしたか?」
「ん?挨拶してるよ、なんで??」
「えええっ!?し、してますか?(俺の前では、全く聴こえないんだけ
ど!!!)」
「そんな大きい声じゃないけど、ちゃんと、いらっしゃいませとありがとうござ
いましたは言ってる」
「そ、そうなんですか・・・ははは、言ってますか・・・」
う~ん・・・何故だ!?何故、俺の前だと言わねぇんだよ!!!
「私的には、この女性アルバイトの時が一番買い物しやすいですね」
「ええっ!?(驚)」
「そんなに驚きます?あまり元気すぎるのもしんどいのでね、あのぐらいが丁度 いいですよ」
「そ、そうなのですか・・・(いや、まぁ、人それぞれだが、変わった人も居る
んだな・・・)」
いや、でも、待てよ、確かに、サラリーマン風のお客さんが多いのは、いつも瑞希くんがシフトに入ってるときが多い気がする。
お客さんは、自分の生活スタイルとあと自分の買いやすい店員の居る時間帯に足を運びやすいというデータもある。
う~ん・・・扱いづらいアルバイトはあまり置いときたくはないが、お客様の意見も貴重だしなぁ・・・仕事のミスはないし、不正もない。
辞めさせるのはちょっとなぁ・・・しかし、俺のストレスが・・・いや、でも売り上げ重視か?いやいや・・・あ~でもない、こ~でもない、なんてことを店長が試行錯誤していると・・・?
「あがります」
「え?あ、ああ、もうそんな時間か・・・お疲れさん」
後日・・・・・・
「おはよう、瑞希くん」
「ども」
「(ども!って何だよ!!ちゃんと挨拶しろよな!!!)」
「じろっ!」
「ごほん・・・き、着替えたら、バッヤクヤード、そして、ウォークインな!」
「・・・・・・・・・・」
「(返事なしかよっ!この”デク”め!!)」
「ぴくっ!」
「びくっ!(やばっ・・・聴こえたか?)」
ボスッ!ボスッ!!ボスッ!!!
また、あの音だよ・・・全く、一体なにが気に入らないんだか?注意してくるか・・・。
「ふんっ!ふんっ!!ふんっ!!!」
「ちょっと、瑞希くん、それは、やめなさいって、前に言っただろう!」
「ふんぬっ!!」
「ぐびっ!」
ダンボール箱を瑞希の拳が突き破り、店長の顔面鼻先で止まった。
「失礼」
「あ、危ないじゃないかっ!!な、なにか失礼、だ!すみませんでした、だ
ろ!!!」
ふ、風圧が凄かった・・・俺の鼻、無事か?(汗)
当たったかと思ったくらいの衝撃だったぞ!
「ウォークイン入ります」
「あ、こら!待ちたまえ!!話はまだ途中・・・・お、おい!開けなさい!!」
「ふんっ!ふんっ!!ふんぬっ!!!」
メコっ!ボシュっ!メキッ!グシャっ!
なっ!?なんの音だよ?これは??缶が凹むような音というか中身が出る音というか?まさか?
「お、おい!中で何をしているんだ?ここを開けなさい!!」
ガチャッ・・・
「不注意で破損させてしまったので、弁償します」
「あ、お、おい!な、なんだって?」
あ、あれは、缶コーヒーの中で一番固いと言われている容器・・・あれを片手で潰したというのか?おいおい、ウソだろう・・・(汗)
しかも、フタが開いているってことは握り潰して、噴き出したってことか??どんな怪力だよ・・・マジかよ・・・?
な、なんだよ?間接的脅迫なのか?これは!!
”お前の頭をこの缶コーヒーのように潰して”やろうかってことか?ゾゾゾゾォ~!(恐怖)
「次は?」
考え事をしている店長に瑞希が言った。
「え?あ、ああ、じゃあ、レジ入って!」
「・・・・・・・・・・はい」
「(お?返事した!人間の言葉が分かるようになったのか?)ぼそっ」
「ぴくっ!」
瑞希は聴こえたらしい。
忙しい時間帯になって来たな、私もレジに入ろう。
しかし、相変わらず横に居ると全く挨拶が聴こえて来ない。
「瑞希くん、お客様にちゃんと挨拶して!聴こえないよ!!」
「・・・・・・・・・・はい」
「まぁまぁ、店長さん、そういうことはお客さんが気にしなかったら、いいじゃ
ない、ね?」
「で、ですが、客商売ですし、やはり、挨拶はしっかりと・・・」
「ここって、新人アルバイトさん、すぐ辞めちゃうじゃん?店長さん、厳し過ぎ
なんじゃないの?」
「そんなことはありませんよ」
「まぁ、とにかくさ、私はこの店員さん気に入ってるんだし、あんまり厳しく言 わないでやってよ」
「むぅ・・・お客様がそうおっしゃるんでしたら・・・」
「悪いね?それじゃあ、これからも頑張ってね、店員さん」
「はい」
「(俺のときは、間があるのに、お客さんのときは、即答かよっ!なんなんだ
よ、こいつは!)」
「ぴくっ!」
「びくっ!」
「時間なんであがります」
「ちょ、ちょっと、待って!」
「?」
「お客さんがこんなに並んじゃってるんだよ?普通は、やってくもんでしょ!」
「交代が居るので」
「だとしてもだよ!普通は目の前のお客様優先でしょ!!やりなさい!」
「・・・・・・・・・」
「(ま~た、無言だよ!)全く、”デク”じゃないんだからさ~そのぐらい気付けよ
な!」
「ぴくっ!」
「ありがとうございました~!ふう・・・やっと、空いてきた、あがっていい
よって、居ねぇし!」
「お先」
「お疲れさまでした~」
アルバイトの子が言った。
向こうが挨拶しねぇなら、こっちもなしだ!無視して、睨んでやれ!!
「じろっ!」
うわっ!?睨み返して来やがった!!負けるな、俺!目線を逸らすな!!!
「(う、うわぁ!だ、だめだ~~~!!あいつは人の目をしてねぇ・・・)
すっ・・・」
店長は目線を逸らした。瑞希はにやっと笑ったような気がした。
くそ~!何だか知らないが”負けた”って気がするぞ・・・。
面白くねぇ!
お客様からは、ああ言われたが、次回勤務で”ガツン”と言ってやる!!
数日後・・・・・・
「・・・・・・・・・」
瑞希は無言だ。
「・・・・・・・・・(デクめ!)ぼそっ」
店長も挨拶はなし。
「ぴくっ!」
瑞希は反応した。
しばらくして・・・そういや、今日はバックヤードから音がしないな?あいつ、まさかサボってんじゃないだろうな?そう思って、店長はバックヤードに様子を見に行った。
「瑞希くん?居るかい??」
おや?バックヤードに居ると思ったら、居ないな、道理で静かだと思った。
ウォークインの中かな?
ガチャっ・・・
「あれ?居ないな・・・どこに行ったんだ??動物園に戻ったのかな?あの”メス
ゴリラ”ぷぷっ!」
「終わりました」
「うわぁ~あ!!!ど、ど、ど、どこに、い、居た!?」
「バックヤードに居ました」
「ば、ばかな!?さっきまで居なかっただろうが!!ほ、本当はどこに居たん
だ?」
「バックヤードです」
「くっ・・・(い、居たのか?いや、背後から現れたぞ!?マジでどこから現れ
たんだ???)」
「気分が悪いので、帰ります」
「え?あ、そ、そう?お疲れさん」
「それと、今日でバイト辞めます」
「え?(よし!)
「ぴくっ!」
「そ、そう?向いてなかったんだね、この仕事!そういうこともあるさ」
「お先に」
「(何か嬉しくて・・・踊りたい気分だ!ウホっ♪ウッホッホッ♪メスゴリラさん
に別れの挨拶だぞ)」
後ろ向きの瑞希にゴリラのマネして踊る店長。悪ノリし過ぎである。
バックヤードに居るので店内のお客さんからは店長が見えていない。
しかし、瑞希は横目で、今、駐車場に停まった車のフロントガラスに店長の姿が映って見えている。
同日夜・・・店長は暗闇の中、誰かに一撃で昏倒させられていた。
警察から執拗にマークされている店長は、今回のことは、報告しなかった。
”なんとなく”誰だか分かったのだが、また、警察から、”狂言”扱いされて、これ以上、自分の対するマークが厳しくなるのも嫌だったからだ。
そして、すぐに辞めたアルバイトは基本、振込みにせず、店に呼びつけ一言、二言いってから、現金渡しなのだが、瑞希に会いたくない一心で、店長は、振込みにした。
めでたし、 めでたし?
余談ですが・・・
瑞希がアルバイトに至った経緯を回想シーンでお送り致します。
「なぁ?姉ちゃん、買ってくれよ~」
「そんな高いものは買えるわけないでしょ!」
「なんでだよ~?」
「お小遣いの額を超えてるじゃないの!」
「だったらバイトすればいいじゃんよ」
「カンタンに言ってくれるわね!」
「姉ちゃん、美人だから、どこでも働けるよ」
「そんな見え見えのお世辞言っても買わないからね!」
「なんだよ、このケチ!凶暴だけが取り得のメスゴリラめ!!動物園で働けよ、
見世物でw」
「な、なんだと!てめぇ!!」
「うわぁ!メスゴリラが怒ったぁ!!」
「待ちやがれ!このっ!!」
「うわぁ~ん!お母さ~ん、姉ちゃんがイジメる~~~><」
「瑞希!」
「お、お母さん、あたし、イジメてないよ」
「和義(かずよし)は、心臓が悪いんだから、追い回したらダメでしょ!」
「い、いや、そんな、追い回すなんて・・・大袈裟な!」
「お姉さんでしょ?弟のわがままを多少聞いてやりなさい」
「い、いや、わがまま過ぎるでしょ!」
「貴女も20歳過ぎたら、お小遣いはなし、アルバイトしなさいね」
「そ、そんなっ!お母さん?きゅ、急にそんなこと言われても・・・」
「(や~い!や~い!!んべ―――)」
和義が母親の後ろから、あたしをおちょくってやがる!ぐぬぬぬっ!!
「分かったわよ」
「え?じゃあ、買ってくれんの??」
「ええ、アルバイト先がすぐ見つかったらね」
「駅前のコンビニ、募集してたぜ~」
「ああ?あたしがコンビニ店員なんか出来るわけないでしょ!」
「あんなの誰でも出来るよ~」
「まったく、他人事だと思って、カンタンに言ってくれる」
完
最凶アルバイター現る!
第5話 【コンビニ店員】~麻美編~につづく。
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