第2話 【コンビニ店員】~亜矢子編~

 前回、アルバイト店員のことで失敗?をしたコンビニの店長は、新たにアルバイトを雇った。


 また、同じ某有名女子高校の卒業生(2回目w)なのだが、前回とはうって変わって、”掘り出し物”の人材だと確信した店長は、毎日気持ちよく仕事をしていた。


 ”ある事件”までは・・・・・・。


 「いらっしゃいませ~!」


うむ・・・今日も元気があって大変よろしい。

いいアルバイトが入ってくれた。

これぞ、コンビニライフだ!


店長は満足げに新しいアルバイトを事務所から眺めていた。


 「いらっしゃいませ、こんにちわ~!」

 「いらっしゃいませ~」


店長も事務所からレジ前に出て来た。


 「お弁当温めますか?」

 「お願いね」


 「かしこまりました~熱め、ぬるめとか、ご要望がありましたら、おっしゃって

 くださいね」

 「それじゃあ、熱めで」


 「はい、熱めで温めますね・・・・・このぐらいで、いかがでしょうか?お客

 様」


 「うん、いいね、ちょうどいいわ、ありがとう」


 「お箸は何膳お付け致しますか?」

 「じゃあ、2つ付けてくださる?」


 「かしこまりました」

 「ありがとう」


 「ありがとうございました~!またのご利用お待ちしておりま~す!!ぺこりっ

 (お辞儀)」


 「亜矢子くん、お疲れさま、ジュース飲むかね?」

 「はい、ありがとうございます!店長!!」


 「好きなの買って来なさい」

 「わぁい♪」


 「いい子だなぁ・・・」


店長はしみじみ言った。


 「あ、店長!」

 「何だい?」


 「あの新製品よく売れてますよね」

 「ああ、そうだな、食べてみるかね?」


この子はよく気がつくし、気遣いもあって、お客様からもお褒めの言葉を頂いている。今、なにが一番売れているのか、とかもよく考察しているようだ。


 お客様に商品のことで聞かれたこともすぐに答えられるのはそのためかもしれない。そして、新商品の勧め方もかなり上手だ。


こういう子には色々としてあげたくなる。


 「え?え??いいんですか?」

 「ああ、食べて、また感想をお客さんに言って売り上げUPに繫がるなら安いもん

 だ」


 「わぁ♪これ、一度食べて見たかったんですぅ♪ありがとうございますぅ♪店長優し

 い~♪」


 「レジは私が見ておくので、事務所で休憩がてら食べて来なさい」

 「はぁ~い♪」




数時間後・・・・・・

 「亜矢子くん、お疲れさま、明日も頼むよ」

 「わかりました、お先に失礼しま~す」




翌日・・・・・・


 「亜矢子くん、商品の前出しを頼む」

 「わかりました」


 「いらっしゃいませ~」

 「あっ・・・・・」


 「どうした?亜矢子くん??」

 「すみませ~ん、店長、商品落としちゃいました~ふえ~ん!(泣)」


 「いいよ、いいよ、それじゃあ、それ廃棄登録しちゃって!良かったら食べてい

 いよ」


 「え?い、いいんですか??これ、一度食べて見たかったんですよ~ラッキィ♪」

 「中は大丈夫だから!見栄えがそれでは、売り物にはならないからね」

 

「それじゃあ、前出し終わったら休憩入りますね~」

 「どうぞ」




数日後・・・・・・


 「あっ・・・すみませ~ん、店長~!(泣)」

 「ああ、いいよ、廃棄登録して、良かったら食べちゃって!」

 「わかりました~!」




さらに数日後・・・・・・


 「あ~~~!」

 「亜矢子くん、またかね?」


 「すみませ~ん、これ、形が丸っこくて、持ちにくいから~(泣)」

 「わかった、わかった、それじゃあ・・・」


 「廃棄登録して、食べていいんですよね?」

 「あ・・・ああ」




さらにさらに数日後・・・・・・


 「あああ~~~!!!」

 「亜矢子くん、どうした?」


 「たくさん持ち過ぎました~ふぇ~ん(泣)」

 「なっ!?なんで、バットを使わないのかね??」


バットというのは、お弁当とかデザートが入っている網目の箱のことである。


 「すみませ~ん」

 「あ~あ~、たくさん、ダメにしたなぁ・・・3つかぁ・・・」

 「しょぼ~ん」

 「3つとも廃棄登録して」


 「はい、店長、1つ食べて、2つ持って帰ってもいいですかぁ?」

 「あ、ああ、いいよ」


 「すみませんでした、今後気をつけますです~」

 「ああ、気を付けてくれよな」




さらにさらにさらに数日後・・・


 「あっ・・・」

 「おっと・・・危なかったな、亜矢子くん」


 「え?あ、て、店長、いつの間に??」

 「最近、亜矢子くんがよく物を落とすから見ててあげたんだよ」


 「そ、そうなんですかぁ!助かりました~!!店長、ありがとうございま~

 す!!!」


 「気を付けて並べるんだよ」

 「はぁ~い♪(ちっ・・・余計なことを!)」


なんだろうか・・・なんか、嫌な予感がする。

店長はそのとき思った。そして、もう1度、亜矢子のことをみていると・・・?


 「あ、危ない!」

 「え?あ・・・」


 「ま、間に合うか!(スライディングw)ふぃ~!間に合った~~~!!」

 「あ・・・・・・」


 「ダメじゃないか!亜矢子くん、ぼぉ~っとしてたら!!」

 「す、すみませ~ん・・・(店長が離れた隙を狙ったのに~~~!キャッチすん

 なし!!)」


 「なにかね?その顔は??キャッチしたら、ダメなのかね?じろっ(睨)」


 「ま、まさかぁ!な、なに言ってんですか?店長、もぉ、やだな~!あは

 は・・・前出ししてきます」


 そういえば、亜矢子くんが、”落とすのは決まってデザート”ばかり。

それも新製品だ。


 通常のお菓子や、ドライ食品、飲み物などの前出しのときは、商品を落とさない。偶然か?それとも・・・ん?そういや、前出しすると言った亜矢子くんの姿が見えないぞ、どこに行ったんだ?


 「くっそ~!2怒も阻止された~~~!今日は、どうしても、あの新製品が食べたいのに~!!!」


 バックヤードにも居ないぞ?荷物はあるので、帰ってはいないし、むしろまだ勤務時間中だ、帰るわけがない。はっ!?デザートが大量に保管されてる場所、ウォークインか!し、しまった!!


店長はダッシュでウォークインの扉を開けて、言った!


 「亜矢子くん!」

 「う、うわぁ!?!」


ガタガタガタッ・・・・ボトボトボトっ・・・・グチャっ・・・(商品を大量に落とし、いくつか潰れた)


 「亜矢子くん、やってくれたなぁ・・・」


 「て、店長が脅かすからじゃないですか~!びっくりして、手が滑っちゃいまし たよ~~~!!」


 「ほぅ?手が滑ったねぇ・・・わざと落としたんじゃないのかい?」


 「な、なに言ってんですか!背後から突然大声出されたら、誰でも驚くに決まっ

 てますよ」


 「亜矢子くんが何かブツブツ言いながら、なにかに没頭してたようにも見える

 が?」


 「なっ・・・ばっ・・・な、何をわけの分からないことを・・・と、とにかく片

 付けますよ、これ」


 「廃棄登録は私がするよ」

 「え?」


 「なにか不都合でもあるのかね?」

 「い、いえ、で、廃棄したあとは?」


 「もちろん食べるよ」

 「だ、だれが?」


 「私だよ」

 「えええ~~~?」


 「なにが、え~?なんだい??」

 「い、いえ、て、店長、甘いものが嫌いだって・・・」


 「嫌いな人間が食べて感想言うのも1つの案だろう?お客様に言える意見の1つ

 になるしな」


 「い、いや、嫌いな人が食べる意味が・・・分からないんですけどぉ?」


 「いいんだよ、私が今回は食べるんで、亜矢子くんは食べなくていい!」

 「くっ・・・」


 「なにかね?”私が食べるために落としたのに~!!”って顔をしているな?」

 「はあ???そ、そんなわけないでしょ!店長、失礼ですよ!!」


 「そうかね?それじゃあ、今まで落とした分は失礼じゃないのかね??」

 「そ、それは・・・それとこれとでは、話が違うでしょが!」


 「なんだね?逆ギレかね??」

 「ち、違いますよ、もうっ!あ、お客さんがレジに!あたし、いってきます! 

 ぴゅ~~~~!!(脱兎)」


 逃がしたか・・・これで疑念がようやく、確証に近づいて来たな。

亜矢子くんは新製品に目がないのは明白だ。

期間限定ということもあり、期間内に必ず行動に出るはず。


・・・となると、次の出勤日がラストチャンス、必ず、尻尾を掴んでやる!


 「店長があのあと、ずっと監視しているから、とうとう食べる機会がなかった」


亜矢子は、ストレスが溜まっていた。


新製品販売最終日・・・・・・・


 「おはようございます」

 「おはよう、亜矢子くんは今日、ずっとレジね」


 「いっ!?(じょ、冗談じゃないわよ!それじゃあ、あたしの計画が丸つぶれ

 じゃないのよ)」


 「なんだね?その嫌そうな顔は??」


 「い、いいですよって言おうとしたんですよ、や、やだな~変な勘ぐりやめてく

 ださいよ~もうっ!」


 店長は思った・・・レジに固定しておけば、商品補充には携わらないので、落とす確率は激減する。


 レジでお客様の目の前であからさまに商品を落とすようなことはしないだろう。私も横に居るしな。


 「(くっ・・・前回のアレから、店長はあたしを疑ってる・・・でも、チャンス

 はあるはず!?)」


亜矢子は、諦めていなかった。


 「いらっしゃいませ~!」


店長が言う。


 「いらっしゃいませ、こんにちわ~!」


亜矢子が言う。


 「ねぇ?店員さん、ちょっといい?」

 「あ、はい、なんでしょう(チャ~ンス!)」


 「あ、私が伺います、亜矢子くんは、レジで!」

 「うっ・・・は、はい」


 「あ、あの、女子トイレのことなので、で、出来れば、そちらの~~~」

 「あ・・・」


 「ぷぷぷっ!店長、行っても、いいですか?」

 「くっ・・・い、行って来なさい」

 「はぁい♪お客様、どうされました?」

 「ええ、実は・・・」


 亜矢子くんをレジから出してしまった。

いや、ここから四六時中見張っていれば問題はないはず!まさかトイレにデザートを持ち込んで食べるようなマネはしないだろう?


 「あ、あの~?レジを~~~」


店長が目の前のお客さんを全く見ていなかった。


 「あ、ああ、すみません、すぐやります、失礼しました(いかんいかん、亜矢子

 くんだけを見ていられない)」


 「ありがとね、助かったわ」

 「いいえ、どういたしまして」


 「そういえば、何かオススメのデザートがあるって友達に聞いたんだけど、どれ

 のこと?」


 「あ、こちらです!本日までの期間限定商品となっております」

 「期間限定って言葉に弱いのよねぇ・・・」


 「あはは・・・分かります♪」

 「貴女は、食べたの?」


 「いえ、まだなんですぅ~><」

 「そう?残念ね、感想聞きたかったのに・・・う~ん、どうしようかしら?」


 会話は聞こえて来るが、目の前のお客さんに集中しないと!亜矢子くんの行動が

 見えない!!


 「ねぇ?」

 「はい?なんでしょうか??」


 「この商品、期限短いけど?もうちょっと新しいのはないの??」


 「(来た!このチャンス、逃しはせぬっ!!)ありますよ」

 「あ、あるんだ?」


 「はい、こちらです」

 「うわぁ!たくさん、あるねぇ~」


 「はい、在庫はたくさんあります♪」

 「あ、期限長い、これなら、複数個買えるわね」


 「ええ、そうですね♪専用の箱もありますよ」

 「うわっ!可愛いね♪その箱に入れて!」


 「かしこまりました」


 どこだ?亜矢子くんは、どこに消えた??女子トイレにはもう居なかった。

どこかに移動したはずだ!


 うん?お客様がバックヤードの入り口に立っている?不自然だ・・・は!?まさか、また、ウォークインに入ったのか!?ちぃ!間に合うか?


 店長はレジから飛び出し、ウォークインに向けてダッシュする!


 「あ、ちょっと、横すみません」

 「きゃっ!」


女性客は驚いて、少しよろめいた。


 「うわっ!?」


 女性客と亜矢子が軽くぶつかった。

そして、亜矢子が持っていた箱を床に落とした。

 

「あっ・・・・・・ぐちゃっ(亜矢子は持っていた箱を落とした)」


間に合わなかった!!


 「すみません、すぐに新しいのをお入れしますので、お待ちください」

 「こっちこそ、ぶつかって、ごめんね?」


女性客が謝った。


 「い、いえ、”不可抗力ですから”仕方ないですよ、にやっ♪」


亜矢子が言った。


 な、なんだ?い、いまの亜矢子くんの言動・・・何かが引っかかる!


 「店長」

 「な、なんだ?」


 「こちらのお客様が購入は決まってるんですが、味が知りたいそうです」

 「え?」


 「ちょうど、ここに落としちゃった商品があることですし、感想を言ってあげる

 のはどうですか?」


 「なっ!?(なんだ、その強引な展開は???まさか狙ってたのか?)」


 「ダメなら仕方ありませんけど、ね・・・ちらっ?(女性客を見る亜矢子)」


 不安そうに女性客が店長を見ている。


 「うっ・・・わかった、亜矢子くん、お客様のために、1個試食して感想言って

 あげなさい」


 「わかりました~!お客様、ちょっと待っててくださいね」

 「うん」


 「これは、凄いですよ、お客様」

 「え?なにが凄いの??」


 「生クリームが思ったよりも甘くないのですが、その下のイチゴのムースに酸味

 があってですね?」


 「ふむふむ・・・それで?」

 「さらに、その下のスポンジケーキにほんのり甘味があり、その下のほうに黒糖

 の甘味がありまして・・・」


 「そ、それで?」

 「この一見合いそうにない組み合わせを上から下まで一気にまとめて食べる

 と・・・」


 「た、食べると?」

 「見事にマッチした味がしますね♪」


 「えええ~~~!た、食べたいわ!!ありがとう☆楽しみだわ~♪」

 「どういたしまして♪ふふん」


何故か勝ち誇ったような亜矢子。


 「くっ・・・(面白くないぞ!)」


納得のいかない店長であった。


 「はい!」

 「なんだ?これは??」


 「店長が食べるんでしょ、残りの廃棄分は?」

 「い、要らんわ!」


 「じゃあ、どうするんですか?」

 「亜矢子くんが持って帰ればいいだろう」


 「え?いいんですか??」

 「けっ!白々しい!!」


 「なんですか?その言い方!この前から、ちょくちょく、失礼じゃ、ありません

 か?店長」


 「疑わしいことしてるからだろ!」


 「人聞きの悪いことを言わないでくださいね、いい加減、あたしも怒ります

 よ?」


 「じゃあ、今まで落とした分、弁償するのか?」


 「うっ・・・そ、それについては、わ、悪かったと思ってますよ」

 「まぁ、いい、それじゃ、時間なんで、あがってくれ」


 「はい、お先に失礼します、あと、これ、有難く頂きます♪」

 「ああ」


そして、どうにも腑に落ちない店長は、防犯カメラの映像を確認する。

そして、ある共通点に気付いた・・・それは?




亜矢子の次の出勤日・・・・・・


 「おはようございます」

 「おはよう、亜矢子くん、ちょっといいかね?」


 「なんですか?店長」

 「ちょっと一緒にビデオを見ようか」

 「はあ???」


 「まぁ、いいから、ちょっと、そこに座って、この映像をよ~く観てくれたま

 え!」


 「わかりました」


 そして、亜矢子が商品を落とす前後の映像を抜粋して、全て見せた。

亜矢子の様子がおかしい。


店長はそれを見逃さなかった。

そして、店長はゆっくりと静かな口調でこう言った。


 「亜矢子くん、私ね、これ見て気付いちゃったんだよ、きみの計略にね!」

 「な、なんのことでしょうか?」


 「おや?やっぱり、惚ける気なんだねぇ・・・やれやれ困ったものだ」

 

「惚けるも何も”不注意”で商品を落とした、それを掘り返して、ネチネチと説教で

すか?」


 「ほぅ?そういう態度なのかね??素直に謝れば水に流せたものを・・・」

 「そんなに疑うなら、私もう辞めます」


 「そうかね、それは、助かるよ、泥棒猫さん」


 「なっ!?し、失礼ですよ!店長!!こんな状況証拠だけでそんな断言し

 て!!!」


 「状況証拠があれば十分だと思うけどね!こんな偶然が何度もあるか!!」

 「仕事中に起きたアクシデントじゃないですか!何が珍しいんですか!!」


 「きみの視線だよ」

 「はあ?」


 「商品を落とす寸前のきみの私を確認する視線だよ、これも、それも、あれも全

 部だ!」

 「たまたまでしょ」


 「いーや、全部、私を見てから、落としている、これはタイミング見計らってた

 んだろう?」


 「なにをわけのわからないこじづけを・・・」

 「このまえの、これもだ、こんなタイミングよく、箱ごと落とすわけがない」

 

 「あれは、”不可抗力”で、あたし以外の第3者も居て、そんなタイミングよく出来 るわけないし」


 「そう思いたいが、お前、俺がダッシュしてるとき、一回こっち見たよな、この

 映像だ!」


 「角度的に、見たように見えるだけですよ」

 「そうか?お前、このお客さんを俺のほうに押しのけているよな?」


 「そ、それは、ぶつかりそうだったんで・・・」

 「へぇ?俺のこと見えてないんじゃなかったか??」


 「うっ・・・目の前まで来て危ないから咄嗟に避けて貰おうとしたら逆側に避け

 たんで・・・」


 「お前が誘導したんだろ」

 「違うって言ってんでしょ!もうっ、しつこいな~~~!!」


 「あの女性客、トイレで何話したんだ?」

 「たわいのないことですよ」


 「お前、あのとき、トイレのこと報告しなかったよな?」

 「報告するような内容じゃなかっただけです」


 「じゃあ、なんなんだ?言ってみろ」

 「汚れてるから掃除して欲しいって言われただけですよ」


 「それで、あのやりとりをお願いしたってわけか?」

 「な、なんですか!?その言い方は!あのお客様は関係ないですよ!」


 「じゃあ、お前1人の犯行なんだな?」

 「人を犯罪者みたいに言わないでください、たかがデザートぐらいで!」


 「ほぅ?たかが、デザート、そう言ったのか?いま」

 「うっ・・・」


 「デザート1個分の廃棄で、どれだけ売らないといくらの損失が分からないよう

 だね?」


 「うううっ・・・」

 「わざと落としたのか、不可抗力では、内容が変わって来るぞ?」


 「だから、不可抗力だっつってんでしょうが!」

 「どうしても認めないわけ?」


 「当たり前でしょ!」

 「それなら、警察に判断して貰うよ」

 「はい?」

 

 「素人同士で言い合ってても平行線だからさ、プロの判断に任せる」

 「はい???」


 「きみも弁護士雇っていいよ」

 「はい?????」


 「もう帰っていいよ、辞める気なら、ここに居ても仕方がない」

 「ちょ・・・・・・・」


 「なにしてるの?もう、いいから、帰りなさい」

 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください、警察に言うの?」


 「そうだよ、この映像を解析して貰うんだよ、”わざとやっている”のか、不可抗力

 なのかをね」


 「そ、そんな大袈裟な!」

 「大袈裟?」


 「じゃあ、勤務中にデザート1個落とすたびに、警察呼ぶわけ?」

 「呼ばないよ」


 「じゃ、じゃあ・・・」

 「素直に認めて、謝ればね」


 「うっ・・・それじゃあ、素直に謝ればいいんでしょ?」

 「食べるのを目的でわざと落とした人は除外だよ」


 「くっ・・・」

 「私はね、亜矢子くんのことを気に入ってたんだよ」


 「え?そ、それじゃあ・・・」

 「だから余計にね、ショックなんだよ」


 「うううっ・・・」

 「で、どうするのかね?不正を認めるのかね??」


 「ふ、不正って、そんなっ!」

 「違うのかね?」


 「ち、違います!」

 「それじゃあ、警察に依頼するよ?いいね」


 「良くないです><」

 「じゃあ、どうするんだね?」


 「べ、弁償すれば、いいんでしょ!」

 「全額かね?」


 「な、なんで全額なのよ!最初のほうのやつは、”わざとじゃない”のに~~

 ~~~~~!!!!!><」


 「ふっ・・・とうとう自白したな!」

 「え?あ・・・・しまっ・・・」


亜矢子は、店長の執拗な誘導尋問にとうとうゲロってしまいました。


 「そうか、最初のほうはわざとじゃないけど、味をしめてわざとやるようになっ

 たんだな?」


 「う~~~!」


 「録音してあるよ、聞く?」


 「う~~~~~~~~~~~~!」

 

 「最初の数回は、不注意として認めてあげるけど、それ以外は弁償して貰うから

 ね」


 「・・・・・・・・・・・・・・・わかりました」


 「なにか言うことはないのかい?」

 「すみませんでした」


 「よろしい」

 「あ、あの、お給料は?」


 「もちろん、ちゃんと渡すよ、ただし、振込みではなく、現金でね」


 「いますぐ?」

 「それでもいいよ、但し、弁償してお金を返して貰うよ」


 「・・・・・・はい」

 「嫌なら、私は、警察に言ってもいいんだよ」


 「わ~わ~!分かりました、いますぐお返し致します><」


 こうして、亜矢子は、お給料から、デザート代金6300円を天引きされた。

残りは亜矢子の正式お給料として渡された。

亜矢子は、コンビニのアルバイトを辞めた(自主退職扱い)。


めでたし、めでたし?                                     完


最凶アルバイター現る!

第3話 【コンビニ店員】~由衣編~につづく

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