第2話 異世界の人間


{とある場所にて}


異世界に来た。


来たのは良いのだが、目の前の子は何だろう?


己等おいらに何か言っている様だが、耳鳴りが酷くて聞こえない!


何を言っているのだ?いっ......頭が痛い......


何かをされたのか?己等は悪い事はしてないぞ?


叱られる事何ってしてないのに......


止めろ!己等に向けて、何かを言うのを止めろ!


お前が言葉を言う度に、頭痛が酷くなる!


もう我慢ならん!殺してやる!


がるるぅぅぅぅぅ!


何だ!透明な壁に阻まれて、前に進めないぞ?


お前は何者だ?己等をどうしようと言うのだ?


答えろ人間よ!


答えなければ殺すぞ!


己等は、気が立っているのだからな!


どんどん頭痛が酷くなる.....


お前は、やはり敵か!


ならば殺してやる!


こんな見えない壁など、壊してくれる!


ふん!.......パッキ.......パッキパッキ.......ふん!!!


パカァ~ン!.....手間を掛けさせおって!


さぁ~人間よ!己等に敵対した事を悔やんで死ね!


「助けてぇ~!ボクが悪かったの.....だからお願い助けて!」


今更だな、もう遅いわ!



葉月が、人間の首を目掛けて飛び掛る!だが人間の首に牙は立てられなかった

何故ならば、もう1人.....ではなく、もう1匹が居たからである!



まだ1匹、犬が居たのか?邪魔だ消えろ!



もう一匹の犬も、葉月が前足で蹴ると、後ろに吹っ飛んで行った。

そして動かなくなったのである!



ふっ!弱いわ、己等の邪魔をしよって目障りだ!



そう言うと葉月は、1人目の人間の首に牙を立てたのである!

丁度、その時に月明かりが、室内に差し込んでいたのである。



何だと.....まだ子供ではないか......それも女子おなごじゃと!


どうしようか.....ハゲたおっさんとか思ってたのに.....


可愛らしい女子ではないか......


んっ.....困ったな.....取り合えず起してみるか?


前足で蹴れば良いかな?それとも前足で踏めば良いかな?


そうだぁ!尻尾で叩いてみよう?


こうか?こうがいいんか?ほれ!ほ~れ?


くすぐったいのかな?寝顔が笑ってるぞ?


もっと尻尾で、くすぐってやるわ!


どうだ?もっとなのか?......駄目だ!


起きないぞ!お手上げだ.....



2人目の吹っ飛ばした犬が、目が覚めたのか近づいてくる!

月明かりに映し出されたのは、紛れも無くオオカミだったのである。

何故オオカミが此処に居るのだ?そう思う葉月だったが、考えるのを

止めたのである、オオカミが走って此方に迫っていたからだ。


犬とオオカミは空中で激突すると、お互いの立ち位置が変わっていた。

オオカミは女子の背に守っている。まるで葉月が悪役だと言わんばかりに

葉月は襲われた被害者なのに、悪役みたいに笑っていた?



オオカミとは驚いた!


『貴様は何者だ?』


お前こそ何者だ?己等は秋田犬の葉月だ!


『私は、姫様の護衛だ!』


姫様だと?あの女子が姫様って言う名前なのか?


『この犬は、姫様は名前ではない!』


ならば名を名乗れ!


『私の名は、ニネット!!ルゥーフィディルゥ族だ!』


それは、オオカミの部族名か?


『そうだ!私は狼の姿でも人間の姿でも変身できる!』


人間の姿に変身できるのか?


『貴様もクー・シー族の妖精ならば、犬と妖精の姿に変身出来るであろう?』


己等は秋田犬だ!クー・シーって何だ?


『姫様は、妖精術士なんだぞ!お前を召還したのだ!』


妖精?何それ?食べられる?ドックフードより美味しいかな?


『貴様!馬鹿にしてるのか!私は狼の妖精だぞ!』


なんだ小娘よ?己等と殺りあう気でもあるのか?


『犬の分際のクセに、ボコボコにしてるわ!』


上等だ小娘、ヒィーヒィー言わせて遣るわ!



ニネットと葉月の死闘が開始された。


ニネットが葉月に飛び掛るが、葉月は前足だけで軽くあしらっている!

吹っ飛ぶニネット!そこにニヤケ顔の葉月が、上から足でニネットの

身体を押さえつける!ニネットの苦しむ顔を見ながら葉月が何か言い出した。


己等は数々の戦いを経験してきた、冒険探索犬だぞ、お前に己等は倒せない

その証拠が、今の状態だよ!悔しいか?此れが戦いの経験差だよ小娘よ!

あきらめよ!帰ってママとご飯でも食べておれ。



『貴様なんかに負けてたまるか!』


『ファイア・アロー』



ニネットが言い放った物は、魔法である!葉月には魔法士との戦いの経験は

無かったのである。初めての魔法士との戦いに葉月は勝てるのか?



んっ!?火が行き成りついた?なんだ???


熱い!熱い!.....



尻尾に魔法の火が当たって、葉月の尻尾が燃え出したのである。

尻尾が火事になった葉月は、尻尾の火をけそうと必死になって

床に尻尾を押し当てて、お座りの状態で器用に、前足だけで

走り出したのである。凡そ3mほど!


何とか尻尾の火が消えた葉月の前に、ニネットが人の姿で立っていた!

葉月さんピンチです!どうなるのか?


葉月の戦闘経験を駆使して出た結果は、見事なまでの腹見せであった!

葉月は降伏した.....



「貴様!馬鹿にしてるのか?」


敵に腹を見せるのは、降伏の印なのだぞ?


「私を馬鹿に、してるのではないのか?」


のんのんのん!違います!降伏のサインです。お嬢様!


「やっぱり馬鹿にしているな!死ね犬っコロ!」


何か気に触ることを私がしたのですか?お嬢様落ち着いて!


「お嬢様ではないわ!」ファイアー・アロー!」


頭は止めて~最近は頭の毛が薄くなってるのよ!


「知るか~!このボケ犬がぁ!」


お姫様!助けてぇ~!



{葉月は生き残れるのか?死んだら....また来いよ!by狗神}

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