彼の来訪者と此の待人

「あれ、ここは…どこ?」


 彼女は浜辺に打ち上げられていた。


「とりあえず、何か食べられるものを…」


 ちょうどラッキービーストがジャパリまんを持ってきた。


「お、美味しそう…1個、貰うね…」

「いただきます…」


 この美味しさをどう表現すればいいのだろうか!


「おいフルル!お前ここにいたのか、みんな探してたんだぞ!」

「フ…ルル?」


 彼女は頬に何か違和感を覚えた。


「あれ?これって…」

「お前なんで泣いてるんだ?」

「わかんない…目にゴミが入ったからかな…?」

「さ、いくぞ!」

「え、どこに?その前にまずここってどこですか?」

「えっ、ここはみずべちほーだろ?お前何言ってんだ?」

「嫌ぁ!腕を引っ張らないで!訳のわかんないところに来たのにまた訳のわかんないところに連れてかないで!」

「取り敢えず落ち着いて、楽屋に戻ろうな?」

「楽屋って何?やめて!」


 そこに救世主(?)が現れた。


「あなた達何やってるの?」

「フルルが変なこと言ってんだよ。」

「なんか増えた…」


 プリンセスに今まで起こったことを伝えたイワビー。プリンセスには何か心当たりがあるみたいだ。


「もしかして、記憶喪失…?」

「記憶がなくなったってことか?」

「記憶…うっ…」


 フルル(?)は倒れて気絶してしまった…


「フルルが倒れたぜ!取り敢えず今のうちに二人でフルルを楽屋まで運ぼう!」

「そ、そうね。」


 二人はなんとか楽屋にフルル(?)を運び込んだ


「お、コウテイたちもう帰ってきてた…の…ってえっ?」

「あぁ、フルルならそんなに遠く行ってなかったぞ。」

「ごめんね〜」

「じゃあ、こいつって…誰だ?」


 イワビーたちは運んできたフルル(?)を下ろした。


「そういえば今年フンボルトペンギンのフレンズがもう一人生まれたって聞いたよ?」

「その子が多分噂の子ですね。」

「取り敢えず混乱させちゃわないように奥の部屋で寝かせておきましょう。その間にあのフルル(?)のことについてみんなで話し合いましょう。」

「わかったぜ。取り敢えずプリンセス、もうちょっと手伝ってもらえるか?」

「しょうがないわね。」


 ちょうど空いてた一室にあるソファーに寝かせてプリンセスとイワビーは戻ってきた。


「フルル見たんだけど、あのフルル(?)の腕に紫色のリングが付いてたんだよね〜。もしかしてグレープが帰ってきたのかな?」

「でも記憶を失っていたので確証は得れませんがね…」

「でも、多分そうですよ!」

「どうやったら思い出してくれるんだろう…」

「ポーズを取ってみるとか…?」

「それいいな!おきたらやってみようぜ!」


 そのころフルルは夢の中にいた。


「あれ?ここは?」


 フンボルトペンギンがヒト型になったような方が紙を見ていた…


『待っててくれフルル!今行くぞ!』


(あれ?あれって思っただけで声には出してなかったはず…あとフルルって誰?)

(その前に私、なんでこれを『覚えて』いるの?これどこで体験したの?そもそもこれを『覚えて』ないはずなのに…)

(あれ?なんで『覚えてないはず』と確証を得れるの?そもそも『覚える』以前にやってないんだから…『覚える』という言葉を使うこと自体間違ってるんじゃない?うーん…)


 そんな考え事をしていると周りが明るくなってきて目を覚ました。


「うーん…あれ?ここは…あの人が言ってた『楽屋』?」


 ガチャッ


「すいません…気絶しちゃったみたいで…」

「いや、いいの、大丈夫よ。」

「取り敢えずみんな、やってみようか。」


作戦①:大空ドリーマー!


〜大空ドリーマー踊り中〜


「どうかしら…?」

「今の踊りすごいですね!みなさん輝いてました!あんな綺麗な踊り初めて見ました!」

「ダメみたいですね…」

「ほんとにこいつ記憶戻るのか?」

「間違いないよ!」

「いつもあんなのほほんとしてるフルルさんがそう言うんですから間違いないでしょう。」


作戦②:立ち絵!


「次の作戦行くわよ!みんな、あの写真(立ち絵)撮った時のポーズして!」

「こんな感じかな〜?」

「あれ?どこかで見たような…」

「思い出しそうですよ!」

「じゃあ、最終作戦行ってみるか?」

「うん!」


作戦③:フルル抱きつき攻撃!


「えっ。えっ?」

(ぎゅー)

「あれ?あれ?」

「お!涙g」

「イワビー、静かにしなさい。」

「サーセン。」

「え、フルル…?」

「わかるかな、あなたの名前?」


 その言葉をきっかけに一気に記憶が戻ってきた!


「あ、あぁ、私は…グレープだ!」

「うぉっ、いきなり口調変わったな。」

「あなたに会いたくて天国から戻ってきたんだ!」

「そんなことができるんですか?」

「なんだったかは忘れたが、なんかの試練を突破したな。あ、記憶を復活させてくれたお礼に何かしなきゃな。」

「グレープくんにまた会えただけでいいよ!」

「フルル…」

「あー いい ここすき」

「なぜにジャガーマン化したんだ?」

「きっと『尊み』?に負けたんでしょうね。」


 いつの間にか気絶していたコウテイが目を覚ました。


「えっ?今まで気絶してたの?いつから?」

「あのフルルとフルル(?)が抱き合ったところから。」

「割と始めの方から!?あなたもあれくらい慣れときなさいよ。多分毎日あれするわよ。」


 そして再び気絶した。


「ほら、想像するだけで気絶しないの!」

「ハッ、すまん。」


以下はフルルの手記から引用している。


 新しく生まれたフンボルトペンギンのフレンズの子はグレープくんだった。嬉しいな。これから奇跡によって生まれた私たちの日常ストーリーが始まる…!

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あれ…グレープくん…? 平城山 松前 @narayama_masaki

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