あれ…グレープくん…?
平城山 松前
彼の世界から此の住人へ
「ココは…どこだ?あぁ、そうか。フルルと抱き合って昇天して…で、お前さんは?」
「ここは天国!私はドードー!あなたもドードーと仲良くしましょ?一緒に散歩しようよ!」
「まあ断る筋合いはないな。」
ドードーとの散歩中、ふと気になったことがあるようだ。
「天国って…どんなとこだ?」
「古いロックミュージック?っていうのが聴けるらしいよ!」
(名前わかんないけどあの圧の強い子が気に入りそうだな…)
「そ、そういえばドードーってなんでここにいるの?」
「乱獲や天敵の持ち込みとかが原因かな…私たちは発見されて100年にも満たないうちに絶滅しちゃったんだ…もっと生きたかったなぁ…」
「そうなんだ…」
グレ爺が天国に来たのが夕方だったからか、いつの間にかもう夜空に星が瞬いていた…
「ほら、星が綺麗だよ!ここでそんなしんみりした空気になっちゃダメ!」
「確かに綺麗だなぁ…」
ドードーと話していても脳内にはまだフルルの泣き顔が残っている。
「あ、そういえば『天国の星空には現世?っていうのを映すスクリーンがある』っていう噂を聞いたことがあるよ!」
「そうか…」
と夜空を見上げていると何か幕のようなものが垂れて来た。
「あ!あれが噂の!」
「『現世を映すスクリーン』か…」
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『これで満足だ。やっと成仏できる…』
『いやだ、いやだよグレープくん…もっと、だって、まだ…』
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「これって私!?あぁ、あの時のことか。」
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『…いっちゃったな』
『さて、私も元の世界に帰りましょうか』
……………
『なぜ私には誰も声をかけてくれないんでしょうか…』
『ここすき』
『あっ、天からの声が聞こえる…ではみなさんまた会えたらその時はよろしくお願いします…では…』
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「この『ワイト』って子面白いね!」
「あぁ。あいつは面白いやつだったな。」
「あとこの『ここすき』って言ったの誰だろう?どこかで聞いたことあるんだよね。私の知り合いじゃないとは思うんだけど…」
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『今のは一体なんだったのでしょうか…』
『フルルは少し距離を置いて落ち着いてもらうか…』
『グレープくん…グレープくんっ!…うぅ…やっと会えたのに…』
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「私だって…フルルと一緒にもっと長く居たかった…!」
「いいよ!好きなだけ泣きなよ!」
「う、うわぁぁぁぁん!」
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『ほら、空でグレープくんがみてくれてますよ、そんなくよくよしてたらグレープくんに申し訳ないですよ!元気に行きましょう!』
『…うん!』
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「これで終わりみたいだね。」
「あ、あぁ、やっと落ち着いた…ありがとな。」
「ところでその『マーゲイ』って方何か能力でも持ってるんですかね?こちらで見ていることがわかっているようなそぶりを見せてますけど…」
「それはわからないな。」
「あ!もう空が明けてきたよ!」
「やっぱりフルルに会いたいなぁ…」
その時ドードーはあることを思い出した。
「フルルがこの世界に来るまで待つのもいいけど…もっと早く会いたいよね?いい方法があるよ!」
「お!なんだ!教えてくれ!」
「あそこに役所みたいなところあるでしょ?そこで審査を受けるの!そこから先はわからないけど多分その審査で何かしたらあの世界に行かせてくれるんじゃない?」
「わかった!ありがとな!」
「ラブ&ピース!忘れずにね!」
そこから歩いて数分。色々な人に話を聞いてやっと役所らしき場所についた。
「ここらしいんだが…役所ってここであってるか?」
「はい!今日はどういったご用件で?」
(なんていえばいいんだ…?)「あ、あの、この世界に行きたいのですが…」
「あぁ、それならこの審査ですね。この審査は『あなたの未練度』を測らせていただきます。」
「わかった。」(これは勝った…!)
「ただし、あちらの世界に行く時記憶を消させてもらい、またあちらの世界で何が起こっている時にあなたが行くのかは設定できません。よろしいですか?」
「記憶を失ったとしても、またフルルさんを好きになって見せる!やってやる!」
審査はすぐに終わりグレ爺の元に文書がきた。
『結果:未練度「測定不能」あなたの未練は大きすぎます。これはあちらの世界に行かせる他にはありません。』
「やった!ん?まだその後にも何か書いてあるぞ?」
『また、この文書を見終わった直後にあちらの世界にお送りいたします。』
あちらの世界に行くため意識が曖昧になる中でグレ爺はこう思った。
(待っててくれフルル!今行くぞ!)
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