婚約破棄、翌日

 昨日の衝撃の夜から一夜明けました。

 風邪は治りましたが、心が重たいです。

 お父様とお母様は、朝からローグナー家に謝罪に行っております。

 学院も今日は休校となりました。

 外は青空ですが私の心はどんよりしています。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

「うん、まぁ大丈夫では無いんだけど。」

 メイドである『マーシャ』が心配そうな顔をしています。

「マーシャはお兄様についてパーティーに参加していたのよね。詳しい事を知ってる?」

「はい、まぁカオスでしたよ。まずパトリック様が一方的にマリアル様に婚約破棄をして、レモンド様と他の子息方々が一方的にパトリック様と共に断罪を始めました。なんでもミッシェル様を苛めたとか。」

「証拠はあったの?」

「ミッシェル様の証言を鵜呑みにしているみたいでした。」

 開いた口が塞がらない、というのはこういう事なんだろう。

 それと同時に魅了の力の怖さがわかった。

 無条件に自分の言葉を信用させる。

 ある種の洗脳である。

「一方的に断罪されているのを見かねたフェリア様がレモンド様を咎めたんですが、レモンド様は逆ギレして、フェリア様に婚約破棄を宣言してしまったんです。それを皮切りに他の子息も婚約者に対して婚約破棄を宣言したんです。」

「フェリア様は?」

「最初は呆然としていたんですが・・・・・・、『オーケー、戦争の時間ね・・・・・・。』の一言で・・・・・・。」

「うん、それだけでわかったわ。」

 フェリア様は武闘派ですので、売られた喧嘩は買うタイプの方です。

 しかも、強い訳ですから、お兄様が血の海に沈んでいる姿がハッキリ見えます。

「因みにグラン様はクリステル様を守ろうとしてとばっちりを受けて皿が命中して、名誉の負傷をしておりました。」

「そういうのは良いから、終息はしたの?」

「はい、第二王子の『ハミンズ・ハレミナ』様が密かに調査をしていたみたいで、その場で関係者は拘束されて揃って牢屋行きとなりました。」

 流石はハミンズ様です。

 ハミンズ様は冷たい感じがしますが真面目で頭の回転が早い方です。

 きっと異変に気づいて調査していたのでしょう。


 その日の夜。改めて家族会議が行われました。

「結論から言えば、レモンドを勘当する事にしたよ・・・・・・。」

「あれだけの事をしてしまったのだから仕方ないわね。」

 これに関しては異論はありません。

「それからフェリア嬢との婚約だが当然破棄する事になった。その慰謝料を家が払う事になった。」

 これも仕方がありません。

「国からも混乱を招いた、という事で処罰が下るかもしれない。これまでの生活が出来なくなるかもしれないが覚悟はしてくれ。」

     

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私は婚約破棄に翻弄される・・・ こうじ @hirasaku37

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