第十一節 魔女の介添え。 その二
しかし、全員の記憶が
少なくとも、シャートブラム本人と
現実に目を向けると、千丸の前に
そう。主が、お気に入りのカップに最高の時間を注ぐために
不可解な事が起きているが、それに触れさせる前に士紅が動く。
「このままでは話しが
「勝手にしろ」
目の前で起きた説明が困難な事態に、落ち着かないまでも強がる事だけは出来たシャートブラム。
対する士紅は、短く断りながらポットを音も立てず元の位置に戻す。この時は既に、耳元に例の二つ折りの携帯型通信機器・ケータイを当て通話を開始している。
三呼吸くらいの後、
発音も正確な故郷の言葉に、メディンサリも違和感なく聞き取れる。会話の内容から、親しい相手を起こして非を詫びつつ、今から代わる相手を黙らせて欲しいと伝えていた。
外圏人だと信用されないから、と。
程なく、異国の言葉で語った通り、士紅がケータイをシャートブラムに差し出した。「この方なら、信用できるでしょう?」そう、付け加えて。
「どこまで
受け取った士紅は、変わらずの態度で通話相手と会話を続ける。
「相手は、どなたなのでしょう」
「さぁのう~」
様子を見る
「では、後日。おやすみ」
通話が済んだ所を見計らい、シャートブラムが様々なものを
「な、何故お前ごときが、あの方を知っているんだ! お前のような存在など、聞いた事もないぞ!」
「おや。まだ信用して戴けませんか。ならば、もっと判りやすい御方とお繋ぎ致します」
「ま、待てッ。あの方より上だと? 一体、何なんだ! お前は!」
「身の証しも立てられた。と言う訳ですね。それでは、シャートブラム先輩。我々八名の仮入部届けの許可を、頂戴する事は可能ですね?」
畳み掛ける士紅が見せた一連のやり取りは、明らかにシャートブラムを動揺させた。場を支配する優位を示す天秤は、仮入部希望者達に傾く。
ただ当然ながら士紅は、腑に落ちない一同の視線に囲まれる事になった。
○●○
シャートブラムは、
「ぶ、部長ォ?」
「腰抜けだと思っても良い。アイツには手を出すな」
「急に、どうしたんですかァ」
「さっきのケータイの相手は、ゲーネファーラ商会・次期会長のフレク=ラーイン。本名プリヴェール=ルーヴメイア=グリーシク姫だ」
「は!? 冗談でしょう?」
「だと良いな。ここだけの話し、あいつ自身大ロスカーリアの首都・
「大ロスカーリア!? このモルヤン経済圏の外圏参入の片翼を担う、グランツァーク財団の総本陣じゃないですか!」
「あの調子だと
宿主の決定に、ただ
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