怒ってる??

君が出窓の上に寝そべり頭だけを持ち上げて仕事をしている僕をずっと見てる事は知っている。明日までに仕上げなければならないんだ。つまり、今やらなきゃ間に合わないんだ。


パシン


パシン


パシン パシン


パシン


君は一定のリズムを保ちながらその長いしっぽを打ち付けている…。目が…怒ってる?怒ってるの??構ってあげないから??そうなの?

「ごめんね。仕事終わるまで待ってて」

いつもなら

「ミャァ」

とか

「にゃぁ」

とか答えてくれるのに…無言…。その瞳はただ一点、PCの前に座る僕を見ている。

やっぱり、怒ってるの??こんな時、僕はこまめにデータを保存する。君と暮らし始めてから出来たルールの一つだ。ちょっと君のご機嫌をとった方がいい気がして、立ちあがり出窓に向かうと、君はスクリと起き上がり、タンスの上に飛び乗った。そして僕を見下ろしながらまた


パシン


パシン


パシン パシン


パシン


と尻尾を打ち付ける。


「降りておいで、ほら」


全く無反応だ。君の静かな怒りが伝わってくる気がするよ…。早く仕事を終わらせよう。

そう思い直し、踵を返した時だった。

背後からもの凄いスピードで机のPCに飛び乗るとキーボードの上で爪を研ぎ始めた君…。


カリカリカリカリ

カリカリカリカリ

ポイーン ポイーン

今度はPCが何か訴えている…。

「コラーーーッ」

声を上げた僕をいつもの愛らしい目で見つめると、

「ミャァァ」

と小さく鳴いて顔を洗い始めた。


ポイーン ポイーン


PCは何かを訴え続け、画面には謎の文字が乱れ打たれている。


僕は君のミラクルでデータが失われていない事を願いつつも、咄嗟にカメラを起動させてPCを座布団にする可愛い君を連写してしまったよ。


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