ずっと鬼
僕がキッチンに立っている時、ものすごく情熱的な視線を感じる事がある。僕の背中をじっと見つめているのは、僕の最上級のモフモフ。そう、愛しい君だ。そんな時僕は、君の視線に気付かないフリをしてサッとカウンターの陰に隠れるんだ。君の目線に合わせて姿勢を低くし、隠れたまま僕は言う。
「だるまさんが…こーろんだ」
カウンターから君を覗くとピタリと動きを止めたまま僕を見つめている。
もう一度隠れる僕。
「だるまさんが…ころんだ!!」
さっきより少し僕に近づいて微動だにしない君。
「だーるまさんがこーろんだ」
耳が少し動いたけど、見逃してあげるよ。ふふふ。もうすぐ君に触れそうだよ。
「だーるまさ…」
チリリリリーン
楽しげに揺れる鈴音が僕の耳元までやって来て、僕の肩をパシッ!!と叩くと
「にゃぁぁぁ」
と何か言いながら猛ダッシュで遠ざかっていく。
カウンターから覗くと、隣の部屋でピタリと動きを止める君がいる。
「だるまさんがころんだ!!」
エンドレスだ。
なんでそんなに可愛いんだ?君って猫は。
もう、作りかけのカップラーメンなんてどうでもいいさ。伸びて、カップから溢れて、冷めてしまえばいい。
君への愛は伸びても、溢れても、冷めはしない。
「だるーまさんがこーろーんだ!」
僕だけを見つめて動きを止める君。
チリン♫
鈴の音までは止められないね。
君とこの遊びができるなら、僕は永遠に鬼でいい。
神さま、この素晴らしいモフモフをありがとう。
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