016 免疫とその異常Ⅲ
D.臓器移植に関連した免疫反応
・同種移植;同一種に属する2個体間での移植
・今日、行われているのは、腎、肝、心、肺、膵、骨髄細胞等の同
種移植。
・MHC型が一致すれば移植片は生着し、不一致の場合は拒絶される
A.宿主対移植片反応
1.超急性拒絶反応
・輸血や妊娠により、受容者が供与者のアロ抗原に既に感作されて
いる場合。
B.移植片対宿主反応
・リンパ球を含む移植片が宿主に対して起こす免疫反応。
・骨髄移植の際に問題となる。
・→ 移植片由来のT細胞が宿主を異物と認識、破壊する。
・→ 移植片対宿主病;GVHD
E.アレルギー
1.概念
・本来無害な抗原(アレルゲン)に対して惹起される有害な免疫
反応。
・アレルギーが成立する為には、前もって抗原に暴露され、感作
されていることが必要。
即時型;
・抗原接触後、数分から数時間で症状が最高に達する。
・IgEをはじめとする抗体により引き起こされる。
遅延型;
・抗原接触後、1~2日後に症状が最高に達する。
・抗体ではなく、感作T細胞により惹起される。
・遅延型過敏症などと呼ばれる。
・ツベルクリン反応など。
2.分類
A.Ⅰ型アレルギー
・IgE抗体が関与
・即時型過敏症とも呼ばれる。
・気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アナフィラ
キシーショックなどがⅠ型アレルギーに含まれる。
B.Ⅱ型アレルギー
・多くの場合、抗原は自己に由来する。
1.補体依存性細胞傷害
・標的細胞表面に抗体が結合すると(抗原抗体反応が起こる
と)、古典経路により補体が活性化され、膜傷害による細胞傷
害が起こる。
・補体成分C3bのオプソニン効果により、炎症細胞による貪食が亢
進。
C.Ⅲ型アレルギー
・可溶性抗原と抗体(IgM, IgGまたはIgA)による免疫複合体が、
様々な組織傷害をもたらす。
・組織に沈着した免疫複合体は補体を活性化→ さらに好中球、
Mφ、マスト細胞、好塩基球などを呼び寄せる。
・炎症細胞より放出される蛋白質分解酵素、活性酸素などにより
組織傷害が生じる。
・疾患としては、免疫複合体による腎炎、全身性エリテマトーデ
ス、過敏性肺炎がある。
D.Ⅳ型アレルギー
・抗原が惹起する細胞性免疫の結果として生じる組織傷害で、抗
体は関与しない。
・症状の出現には少なくとも12時間以上、多くは24~48時間を要
する。→ 遅延型過敏症と呼ばれる。
・反応の主体はT細胞。
・T細胞により好中球やMφが動員・活性化され炎症が惹起される
・ツベルクリン反応はCD4+T細胞による遅延型過敏症の代表例。
・疾患としては、接触性皮膚炎、サルコイドーシス、関節リウマ
チ、シェーグレン症候群、Ⅰ型糖尿病、多発性硬化症、橋本病
(慢性甲状腺炎)、原発性胆汁性肝硬変など多くの自己免疫性
疾患。
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