017 免疫とその異常Ⅳ
F.自己免疫性疾患
1.自己免疫性疾患の概念と分類
自己免疫;
・自己寛容の破綻により、自己の成分(自己抗原)に対して免疫
反応が惹起されること。
・自己免疫に起因する疾患を、自己免疫疾患あるいは自己免疫病
と呼ぶ。
2.自己免疫疾患の発症機序
・遺伝要因として重要なもの;HLA型
・性差;女性に多い。
隔絶抗原;
・眼球水晶体、精子抗原などに対しては自己寛容が誘導されてい
ない。
3.全身性自己免疫疾患
1.全身性エリテマトーデス
・【概念・定義】
・抗核抗体(特にdsDNA、非ヒストン核蛋白質抗体)は診断的価
値が高い。
・しばしば抗リン脂質抗体も検出される。
・【臨床との関連】
・1:9で女性に多い。
・発症年齢は20~40歳が多く、特に20歳代が全体の40%を占める
・蝶形紅斑、円板状紅斑が特徴的。
・【病理形態像】
・ループス腎炎と呼ばれる糸球体腎炎
2.全身性強皮症
・【臨床との関連】
・1:10で女性に多い。
・レイノー現象は必発。
5.関節リウマチ
・【概念・定義】
・滑膜に浸潤したB細胞由来の自己抗体-免疫複合体形成によるⅢ
型アレルギー反応。
・【臨床との関連】
・1:4で女性に多い。
・好発年齢は30~50歳代。
・関節外症状として、リウマトイド結節と呼ばれる皮下結節。
・IgG-Fc部分に対する自己抗体”リウマトイド因子が患者の約80%
に検出される。
6.シェーグレン症候群
・【臨床との関連】
・1:17で女性に多い。
・リボ核蛋白質に対する抗核抗体(抗SS-A抗体、抗SS-B抗体)が
検出される。
・MALTリンパ腫などのB細胞性悪性リンパ腫を併発することがあ
る。
4.臓器特異的自己免疫疾患
1.血球成分に対する自己免疫疾患
・【自己免疫性溶血性貧血】
・赤血球に対する自己抗体により溶血→ 貧血。
・自己抗体は至適温度により温式抗体、冷式抗体に分けられる。
・殆どはIgG。
・冷式抗体、0~4℃;
・寒冷凝集素症でみられる自己抗体はIgM型。
・Ii 血液型特異的抗体。
・温度が下がると赤血球に結合し、補体を活性化→ 溶血。
・マイコプラズマ感染でもみられる。
・【特発性血小板減少性紫斑病】
2.抗受容体病
・【バセドウ病】
・甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体。
・自己抗体はアゴニストとして作用→ 甲状腺機能亢進。
・眼球突出、甲状腺腫、頻脈などがみられる。
4.その他の代表的臓器特異的自己免疫疾患
・【橋本病】
・慢性甲状腺炎とも呼ぶ。
・1:5~10で女性に多い。
・抗ミクロソーム抗体、抗サイログロブリン抗体が検出。
・甲状腺機能低下。
・リンパ濾胞の形成を伴うリンパ球浸潤。
G.免疫不全症
1.後天性免疫不全症候群
・【概要】
・レトロウイルス科レンチウイルス属の一つであるヒト免疫不全
ウイルス、HIVの感染によって惹起される高度の免疫不全症。
・免疫不全はCD4⁺T細胞が失われる事による。
【HIVの感染経路】
・HIVはウイルス感染細胞を含んだ血液や体液を介して感染。
・本邦の主要な感染経路は性的接触、特に同性間の性的接触。
・輸血・血液製剤による感染は実質的に消滅。
【臨床的事項】
・6~8週後に抗HIV抗体が陽性となる。
・「感染~抗HIV抗体陽性」の間をウインドウ期と呼ぶ。
・CD4+T細胞が200個/μLを下回るとAIDSを発症する。
・AIDS患者の特徴的な症状はニューモシスチス肺炎、カンジダ
症、サイトメガロウイルス感染症、カポジ肉腫など。
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