015 免疫とその細胞Ⅱ
C.獲得免疫系
・リンパ球が中核をなす免疫系。
・大きな特徴は「抗原を特異的に認識する能力」と「免疫記憶」。
1.獲得免疫系を構成する細胞
・リンパ球は末梢白血球の20~40%を占める。
・B細胞;骨髄で分化・成熟、液性免疫を担う。
・T細胞;胸腺で分化・成熟、細胞性免疫を担う。
・形質細胞;B細胞から分化し、免疫グロブリンを産生する。
・CD4+ T細胞;ヘルパーT細胞、① Mφを活性化・殺菌能を増
強、② B細胞を活性化・抗体産生を促進、③ 獲得免疫応答に関
与するサイトカイン産生。
・CD8+ T細胞; 細胞傷害性T細胞、ウイルス感染細胞やがん細胞
を破壊。
2.リンパ球の抗原受容体
A.抗原受容体の基本構造
・リンパ球の抗原受容体は免疫グロブリンを基本的な構成単位と
している。
・B細胞受容体;重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)
・可変部;クローンごとに配列が異なり、極めて高度な多様性。
抗原の認識に関与する部位。
・定常部; 配列が一定。
B.抗体の構造と機能
・抗原を結合したB細胞クローンは形質細胞に分化し、受容体と同
じ可変部を持つ抗体分子を分泌する。
抗体の作用;
① 毒素に結合して中和する。
② 毒素に結合して中和する。
③ 病原体に結合して、食細胞の貪食を促進する(オプソニン効
果)。
④ 補体を活性化して病原体を破壊する。
・ヒトの免疫グロブリン; IgG, IgA, IgM, IgD, IgE
・軽鎖にはκ鎖と記号λ鎖がある。
・ヒンジ領域よりN末側;Fab領域
・ヒンジ領域を含めたC末側; Fc領域
1.IgG
・免疫グロブリンの中で、血清中濃度が最も高い。
・胎盤通過性を有する。
2.IgM
・5量体として存在。
・代表的なIgM抗体; ABO血液型抗体、寒冷凝集素、Forssman抗
体など。
3.IgA
・外分泌液(唾液、乳汁、涙、鼻汁、消化管分泌液など)に多く
存在。
・IgA産生細胞の85%は消化管や気道粘膜の粘膜固有層リンパ装置
に分布。
3.主要組織適合遺伝子複合体
A.概念
・抗原提示分子としての役割も有する。
・MHC遺伝子は他に類をみない程の対立遺伝子を有し、この多型
が免疫応答能の個体差を生み出す重要な要因。
・ヒトのMHCは, HLAと呼ばれる。
・MHC分子はクラスⅠとクラスⅡに分類される。
B.クラスⅠ分子の構造と機能
1.構造
2.機能
・主に細胞質に局在する蛋白質由来のペプチドをCD8+T細胞(細
胞傷害性T細胞)に提示する。
・すべての有核細胞の表面に発現→ 細胞が正常であることの指標
・ウイルス感染細胞やがん細胞はクラスⅠ分子の発現が低下/消失
→ NK細胞が異常とみなして攻撃。
C.クラスⅡ分子の構造と機能
2.機能
・抗原提示細胞(とくに樹状細胞、マクロファージ)に発現し、
貪食やエンドサイトーシスによって取り込まれた外来性蛋白質
由来のペプチドをCD4+T細胞(ヘルパーT細胞)に提示する。
4.リンパ球の分化
・中枢リンパ組織;骨髄、胸腺
・末梢リンパ組織; リンパ節、脾、パイエル板などの粘膜関連リン
パ組織
A.B細胞の分化
・B細胞は骨髄で分化する。
B.T細胞の分化
・T細胞は胸腺で分化する。
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