014 免疫とその異常Ⅰ
A.自然免疫系と獲得免疫系
・免疫系は自然免疫と獲得免疫に大別される。
B.自然免疫系
1.自然免疫系を構成する細胞
A.好中球
・末梢白血球の60~70%を占める。
・急性細菌感染において、感染局所に最も早く、大量に浸潤する
・異物を取り込んだ好中球は短時間で死滅し、死骸は膿となって
排出されるか、Mφなどにより処理される。
・よく発達したNADPHオキシダーゼ系をもち、活性化されると強
い殺菌作用をもった活性酸素を産生する。
B.単球とマクロファージ
・単球は末梢白血球の2~8%を占める。
・単球は血管内から組織へ移行するとマクロファージ・組織球に
分化。
・単球・マクロファージはそれぞれ血中・組織中で微生物を貪食
し破壊。
・好中球より貪食能が高く、微生物のみならず変性・壊死・アポ
トーシスに陥った細胞も貪食・処理できる。
・補体成分C3bやIgG抗体などにより食菌作用が促進される;オプ
ソニン効果。
・貪食した微生物はファゴソームで殺傷される。
C.樹状細胞
・最も強力な抗原提示細胞。
・全身に分布するが、とくに皮膚、消化管、呼吸上皮に多い。
・感染局所で病原体を貪食した後は、リンパ節へ移動してT細胞に
抗原を提示する。→ これにより獲得免疫系が始動する。
D.好酸球
・末梢白血球の1~4%を占める。
・好酸性に染まる顆粒の中には主要塩基性蛋白質MBP など、寄生
虫を殺傷する分子が含まれている。
E.好塩基球とマスト細胞
・好塩基球は末梢白血球の0.5%程度を占める。
・特殊顆粒にはヒスタミン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、プ
ロテアーゼ類などが含まれる。
・アレルゲン特異的IgE抗体を結合した状態で、アレルゲンに接触
すると、脱顆粒とともにプロスタグランジンなどの遊離が起こ
り、Ⅰ型アレルギー反応が起こる。
F.ナチュラルキラー細胞
・① ウイルス感染に関する初期防御
・③ がん細胞の破壊
・顆粒にはパーフォリンやグランザイムなどの細胞傷害分子を含
む。
・抑制性受容体のリガンド;主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ク
ラスⅠ – 正常の有核細胞は発現しているが、ウイルス感染細胞
やがん細胞では消失。
3.補体
・古典経路、副経路(第2経路)、レクチン経路
・いずれの活性経路もC3転換酵素の形成に帰結する。
・C3転換酵素によって活性化されたC3aとC5aは、食細胞に対する
走化性因子、活性化因子として働く。
・C3bはオプソニンとして働く。
・C5~C9で形成される膜傷害複合体(MAC)は微生物の脂質二重膜
に孔を穿け、細胞膜を破壊し溶菌する。
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