011  感染症Ⅴ

F.細菌感染症

 ・単細胞性原核生物で、2分裂によって増殖する。

 ・細胞壁を有し、一般に鞭毛や線毛がみられる。

 ・グラム染色;;陽性(青染)、陰性(赤染)。


 外毒素;

 ・神経毒素– ボツリヌス菌、破傷風菌

 ・腸毒素– コレラ、病原性大腸菌


 内毒素;

 ・グラム陰性桿菌の外膜の一部を構成するリポ多糖類。

 ・補体系・凝固系を活性化させ、血管内凝固やショックなどの重篤

  な症状を惹起。


 1.グラム陽性球菌感染症

  A.ブドウ球菌感染症

  ・最も一般的な黄色ブドウ球菌は諸臓器に化膿性病変を生じ、食

   中毒の原因にもなる。

  ・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSAは重要な院内感染原因菌

   の一つ。


  B.連鎖球菌感染症

  ・A群β溶血性連鎖球菌

  ・諸臓器の化膿性病変や猩紅熱の起因菌。

  ・感染後に急性糸球体腎炎やリウマチ熱を発症することも。

  ・肺炎連鎖球菌


  A.クロストリジウム感染症

  破傷風


  ボツリヌス中毒

  ・C. botulinum に汚染されたソーセージ、缶詰、真空パック食品

   などの経口摂取で発症。

  ・神経毒素による呼吸筋麻痺で死亡する場合が多い。


  偽膜性大腸炎

  ・C. difficile は腸の常在菌であるが、抗菌薬に比較的抵抗性があり

   り、抗菌薬投与時の菌交代現象で大量に増殖する場合がある。


  B.放線菌症

  ・以前は真菌として扱われていたが、真菌培地(サブロー培地)

   では増殖しない。


 4.グラム陰性桿菌感染症

  A.呼吸器の感染症

  緑膿菌感染症

  ・Pseudomonas aeruginosaの感染で起こり、日和見感染、院内感

   染の原因として重要。

  ・とくに多剤耐性緑膿菌、MDRPが問題となる。


  B.消化管の感染症

  大腸菌感染症

  ・腸外病変としては尿路感染症が多い。

  ・腸管出血性大腸菌(O-157 : H-7)はベロ毒素を産生し、小児や

   高齢者では出血性下痢に続いて溶血性尿毒症症候群、HUSを起

   こす場合がある。


  Helicobacter pylori (ピロリ菌)感染症

  ・萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、MALT型リンパ腫、胃癌の原

   因となる。

  ・ウレアーゼ活性を持ち、胃液中の尿素をアンモニアに変えるこ

   とによって胃酸を中和する為、胃液中でも死滅しない。

  ・同定にはギムザ染色やワルチン・スターリー染色が用いられる


  ビブリオ感染症

  ・コレラ毒素は小腸粘膜で大量の水分を分泌させる為、「米の研

   ぎ汁様」と表現される水様性下痢が主症状となる。


 5.抗酸菌感染症

  ・抗酸菌染色(チールネルゼン染色)において、石炭酸フクシン

   の赤色が塩酸アルコールで脱色されない→ 酸に抵抗性

  ・ヒトでは結核、ハンセン病(癩病)、非結核性抗酸菌症がある


  A.結核

  ・大量の菌が血行性に散布された場合、全身臓器に小さな結核病

   巣が生じる;粟粒結核。

  ・組織学的には、乾酪壊死、ラングハンス型巨細胞を伴う類上皮

   細胞、リンパ球からなる類上皮細胞肉芽腫。


  B.ハンセン病


 7.リケッチア感染症

  ・生細胞内でのみ増殖; 偏性細胞内寄生。

  ・つつが虫病


 8.クラミジア感染症

  ・細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生のグラム陰性・小型球菌

  ・基本小体・網様体・中間体の集簇した部分が細胞質内封入体

   (星雲状封入体)として観察される。


 9.スピロヘータ感染症

  ・感染症としては梅毒、ライム病など。

  ・菌体はワルチン・スターリー染色や抗TP抗体を用いた免疫染色

   で証明。

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