010 感染症Ⅳ
D.ウイルス感染症
・ウイルスは環状(DNA/RNA)を含むコア部分と、それを被包す
るカプシドからなる。
・自身で核酸の複製、タンパク質合成、エネルギー産生ができない
・宿主の細胞に吸着して細胞内に入り込み、宿主細胞の代謝系を利
用して自己を複製・増殖させる(偏性細胞内寄生)。
・ウイルスにとって吸着しやすい受容体がある;向性。
・腫瘍ウイルス;HPV、EBV、HBV、HCVなど。
細胞変性効果
・封入体;
・核内封入体;単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ア
デノウイルスなど。
合胞性多核巨細胞;
・細胞融合により出現。
・単純ヘルペスウイルス、水痘ウイルス、RSウイルス、麻疹ウイル
スなど。
・宿主反応;
・一般的に、アポトーシスやリンパ球漫潤。
・好中球漫潤はない。
1.DNAウイルス
A.ヒトヘルペスウイルス
単純ヘルペスウイルスと水痘・帯状疱疹ウイルス
・水疱形成を特徴とする。
・神経細胞に潜伏し、細胞性免疫が低下すると再発が起こる。
・潜伏感染・持続感染では、細胞性免疫が低下したときに再発・
再燃。
エプスタイン・バーウイルス
・日本人の殆どは小児期に不顕性感染を起こしている。
・思春期。若年成人の初感染で伝染性単核球症
・ほかに、上咽頭癌。バーキットリンパ腫の原因。
サイトメガロウイルス
・殆どが日和見感染。
・感染細胞に特徴的な核内封入体。
D.パポバウイルス
ヒトパピローマウイルス
・良性/悪性腫瘍の原因となる代表的な腫瘍ウイルス。
・皮膚の尋常性疣贅、尖圭コンジローマ、子宮頸癌の原因。
・子宮頸癌ではHPV-16、-18が多い。
・組織。細胞学的には細胞質が明るく抜けたコイロサイトがみら
れる。
ポリオ―マウイルス
・感染細胞は特徴的なスリガラス状の大型核
・尿中に出現した感染細胞は、悪性細胞に似ている為、デコイ細
胞と呼ばれる。
2.RNAウイルス
B.パラミクソウイルス
麻疹ウイルス
風疹ウイルス
・妊娠初期の妊婦に感染した場合、胎児に先天性風疹症候群を起
こす可能性がある。
D.レトロウイルス
・ウイルスゲノムRNAを鋳型として、逆転写酵素によって2本鎖
DNAを合成ウイルス。
・2本鎖DNAは宿主のゲノムDNAに取り込まれ、永続的にウイル
ス複製する。
ヒトTリンパ球向性ウイルス
・HTLV-1は成人T細胞性白血病/リンパ腫、ATLの原因ウイルス
・西日本、特に九州・沖縄に多い。
・多くは母乳で感染し、40歳以上で発症する。
・末梢血には特徴的な花弁様核を持つ白血病細胞が出現。
E.プリオン病
・ヒトのプリオン病; クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不
眠症、クール―など。
・ヒト以外のプリオン病; ヒツジ・スクレイピー、ウシ・ウシ海綿状
脳症など。
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