003 細胞障害の機序とその修復Ⅱ
C.細胞障害の変化
1.細胞障害の初期変化
・一定の範囲内 → 適応(肥大など)
・一定範囲を超える → 細胞障害
・時間が経過すると、細胞障害は形態変化(顕微鏡等できるという事)として認
識される。
・虚血性障害による形態変化(初期・電子顕微鏡)
・肉眼的には臓器全体が白っぽく腫大;混濁腫脹
2.変性
・細胞障害によって起きた可逆的な病理形態像。
・光学顕微鏡での形態的所見に基づいた古典的な用語
A.脂肪変性 fatty degeneration
・脂肪分解・放出経路の阻害 → 細胞内に脂肪の蓄積
・肝細胞、心筋細胞など
・アルコール性肝障害、虚血等により起こる。
C.硝石変性
・ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色にて、好酸性で均一にみえる変性像
・ヘマトキシリン;核・核酸を紫色に染める。
・エオジン;細胞質その他を桃色に染める。
・好酸性と好塩基性
D.硝石滴変性
・光沢をもったエオジン好性の小滴が細胞質を置換するように充満する。
3.細胞死
・壊死 necrosisとアポトーシス apoptosisに分類される。
A.壊死
・高度の細胞障害により細胞死に至る場合、一般的には壊死と呼ばれる形態を示
す。
・壊死に陥った細胞では、細胞内の分解酵素により、蛋白質の分解、変性あるい
は凝固が生じる。
・壊死は、凝固壊死と融解壊死に分類される。
a.凝固壊死
・梗塞病巣では凝固壊死を示す。
・HE染色標本では、細胞の核が消失し、細胞質は無構造な好酸性を呈する。
・結核でみられる乾酪壊死も凝固壊死。
b.融解壊死
・脂肪成分が多く、蛋白質成分の比較的少ない組織でみられる。
・タンパク質の分解が進む為、細胞・組織は融解する。
・典型的な融解壊死;脳梗塞。
B.アポトーシス
1.アポトーシスとその形態的特徴
・アポトーシスではクロマチンの凝集・縮小・断片化が起こる。
・やがて細胞質も縮小し、断片化した核を少量の細胞質で取り囲んだアポトーシ
ス小体が形成される。
・アポトーシ小体は周囲の細胞や食細胞に取り込まれる。
2.アポトーシスの生理的な機能
・神経細胞;過剰な神経細胞はアポトーシスで除去される。
・腸上皮;腺窩底での増殖と表層でのアポトーシスでバランス。
・胸腺;自己抗原に反応するT細胞はアポトーシスで除去される。
3.アポトーシスと疾患
・移植片対宿主病;移植されたT細胞が宿主を攻撃 → 宿主細胞はアポトーシ
スを起こす。
・癌;アポトーシスの機構が抑制されている → 過剰に増殖できる。
4.アポトーシスの分子機構
②ミトコンドリアを介する機構
④TP53を介する機構
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