002  細胞障害の機序とその修復Ⅰ

細胞障害の原因と機序

1.可逆的障害と非可逆的障害


2.細胞障害の原因

A.虚血 ischemia、低酸素 hypoxia

 ・血液の循環障害 → 組織は酸素・栄養の不足状態に陥る。

 ・呼吸障害 → 血液循環が保たれていても低酸素状態に陥る。


 ・酸素・グルコースの不足 → ミトコンドリアの酸化的リン酸化が障害 →   ATP産生低下 → 細胞障害


 ・エネルギー要求の高い細胞(心筋細胞、神経細胞)は、虚血・低酸素による細  胞障害を受けやすい。


B.物理的因子

 ・放射線はDNAを直接障害する他、フリーラジカルを発生し、膜脂質、蛋白質、  DNAを傷害する。


C.科学物質

 ・アスベストは、吸引により肺・胸膜に沈着し、肺繊維化、肺癌、悪性中皮腫な  どの原因となる。


D.生物学的因子

 ・ウイルス、リケッチア、細菌、真菌、プリオンなどの病原体。

 ・炎症は生体の防御反応だが、過剰な炎症は細胞障害の原因となりうる。

 ・過剰な免疫反応(アレルギー)も細胞障害の原因。


E.その他の因子

 a.遺伝的要因

 b.構造異常蛋白質の蓄積

 c.栄養の過不足


3.細胞障害の機序

A.ATPの欠乏


B.フリーラジカル、活性酸素種

 ・フリーラジカル、活性酸素種は様々な原因による細胞障害において中心的な役  割


 ・生成された場所の近くの蛋白質、脂質、DNAと反応し、これら高分子の構造変  化。


 ・フリーラジカルの主な生理的産生は、ミトコンドリアの電子伝達系、ペルオキ  シソームた小胞体の酸化酵素、細胞膜のNADPHオキシダーゼ(主に好中球)な  どによる。


D.膜障害

 ・フリーラジカル・活性酸素種によるリン脂質・タンパク質の変性、Ca²⁺濃度上昇  によるホスホリパーゼ・プロテアーゼ活性化 → 細胞膜、細胞小器官の膜障  害。


 ・細胞膜障害 → 細胞内外の各種イオン濃度浸透圧維持困難。

 ・ミトコンドリア膜障害 → アポトーシス誘導

 ・リソソーム膜障害 → 酵素放出 → 蛋白質・脂質の分解亢進。

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