第41話 船上の朝は早い

 特段、何をするわけでも無くして夜の時間を過ごし無事に朝を迎えた。まぁ、今更ながらではあるが、零と一緒に風呂に浸かりベッドインした。俺が船の事についていけていないことを察してか情熱的な事は致していない。普段はそれで体力をもっていかれてしまい、爆睡から零に起こされるという顛末が日常であったが今日は違う。ケータイを開くとそこには4:30の数字があった。


「早すぎるな、はぁ」


そんな言葉が口から自然と漏れてしまった。零に寝ながらも左腕をがっちりとホールドされているが、何とか剥がして代わりに枕をおいて離脱する。意外と簡単にすり抜けられたのはいつぶりであろうか……。


 適当に着替えをして、適当にジャージの類を身にまとって朝のお散歩をしようとする。部屋を出て、まだ全然慣れることのできない豪華な廊下をぽつぽつと歩いていく。エントランスを通ると、今日は男性のコンシェルジェが「おはようございます。」と丁寧な対応をされた。全く、まだ慣れていないからスルーして欲しかったと心がささやくのをさて置いて、とりあえず外に出る。

 

 「おー、お主は朝に強いのか?昨晩は零と遊んでいたはずじゃが?」


 心地よい朝焼けに浸りながら、船上を散歩していると見覚えのある人物から正面からお出ましだ。


 「おはようございます。よくご存じですね、あなたに近しい人には会っていなかっ

たはずですが……。」


 「な~に、お主らは昨晩バーに行ったじゃろ?」


 「えぇ、確かに行きましたが……。まさか、、、」


 「あぁ、その通り。マスターがお主の言う近しい人間じゃよ。まぁ、本社にある休憩用のバーのマスターじゃ。今回は東雲グループということで乗船しておる。」


 「はぁ、そうでしたか。」


 「あと、今晩は~ちと余興をしようと思っておるからの~。お主には簡単かもしれんがの。まぁ、零と楽しくやってくれ。」


 「ほー、それは楽しみですね。」

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