第10話 親公認らしい

 時計の針は朝の八時をさそうとするところで俺は目が覚めた。結局、和室の大きな布団の上で力尽きたようだ。辺りには、ティッシュペーパーや零が昨日、いや、事を始める時に着ていた衣服が散乱していた。つまり、夢ではないようだ。目が覚めてこれまでに無いほどの爽快感がるが、同時に疲労もかなりある。隣で幸せそうな表情をして眠っている零はまだぐっすりの様だ………


 「あぁ~、涼さん、そこはダメ♡、壊れちゃいますよ~♡」


 なんとも、零はまだ継続しているようだった、夢の世界で。露天風呂に入ったが、また汗だくになりそのまま寝てしまったので、体はベトベト。しかしながら、愛おしいと感じてしまった零に触れた。そこで、また睡魔に襲われた。

 


 「………さん、………うさん」


 聞き覚えのある声がしてきた。そして、俺の体が揺れており、微かに甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


 「涼さん、起きてください~」


 そこで俺は気がついた。俺は零の上にのしかかる様にうつ伏せで寝ており、零の首筋で息をしていた。時計は10時を指している。


 「あぁ、ごめん。一回起きてまた寝たみたい。」


 「私、汗でベトベトで………においかがないでくださいよ~。」


 「ごめん、俺もベトベトなのに。でも、零は甘い匂いがするね。」


 「そんなこと………クンクン、うーん。あと………その、涼さんのがお腹に当たって………。」


 またしても、俺は気が付いた。俺と零はなにも着ていない。布団のなかで密着状態、そして俺の息子はあれだけシたのに力強く存在感を出していた。俺は、布団から出て、風呂に行くといった。


 「露天風呂がありますから、また一緒に………。」


 「そしたら、また襲いそうだから、大浴場の方に行くよ。」


 「でしたら、私も。今、服を着ますので。」


 「あ、俺も着ないと。」


 しかしながら、俺の息子は一向に平常運転に戻らない。部屋においてある浴衣を着るが股間だけ異常に膨らんでいる。それを見た零は、着替えを中断し、裸に戻って俺に近づいてきた。


 「こんな状態では、まともに歩けないと思いますので、鎮めるのお手伝いしますね。」


 と昨晩に続いてまたも零と愛し合った。


 「朝からこんな………あぁん♡」


 となかなか平常に戻すのには時間を要した。俺もそうだが、息子も本当に力尽き一向に反応しなくなったところで大浴場へ向かった。



 「零、体大丈夫?夜もあとさっきも激しくやっちゃったから」


 「少しお腹のあたりと股が痛いですが大丈夫です。」


 「ごめん、今度はちゃんと加減するから。」


 「こういうの朝チュンって言うんですよね?」


 何も言えない俺であった。なんか違う気もするとは言えなかった。歩幅を小さく慎重に歩く零の姿とそれを心配する俺の姿に優しい視線が辺りにいた貴婦人からあったことは忘れておこう。大浴場で分かれ、俺は風呂に浸かった。時間帯もすっかり昼間あたりなのでほとんど貸し切り状態。さすがは高級路線の筆頭、部屋の専用露天風呂もさることながら大浴場も凄い。広い屋内空間に数々の凝った湯舟に、外には立地を存分に生かした露天風呂がある。なにより、木を多く使っているあたりが俺の心をつかんでいる。昨晩の記憶が蘇ることもあったが、俺の息子はなんら反応しない。ホントに力尽きたようだ。



 俺は大浴場を出て、近くの椅子で零を待つ。温泉施設の浴衣もなかなか良いものだと思っているころ零が出てきた。今回は零も女性用の俺と同じ浴衣を着ていた。


 「お母さんたちが昼食会場にいるらしいので、私たちも行きましょう。朝ごはんが昼になってしまいましたが。」


 「たまには良いんじゃない。いつも零が規則正しくご飯作ってくれるから忘れてたけど、零と会う前は、親は海外の一人暮らしだからまともに食ってた覚えもないし………。」


 「まぁ、涼さんったら規則正しくご飯を作るのは妻として当然ですから。」


 昨晩に色々と恥ずかしい事などを言いながら、事を起こしたために、妻というフレーズを使ったことに笑ってごまかすことしかできなかった。


 


 「あら、涼君、ずいぶん疲れた顔してるわね。零は超元気でご機嫌なのに。」


 昼食はバイキング形式の様だった。そう思う間に零から仁さんや麻衣さんのいるところに連れていかれ、四人席で仁さんと正面に座る麻衣さんからお言葉をいただいた。俺はどうも疲れた顔をしているらしい、鏡をあまり見ない人間なので自分で証明はできない。隣の零は、とても顔ツヤが良く、機嫌もこれまでに類を見ないほどに良好である。


 「色々、よろしくやってたんだろ。」


 「そうなの零?」


 「うん、一杯愛して………もらって………あとさっきも…」


 「まぁ~♡、でも零、声が大きすぎよ。部屋となりなんだから。仁様が私の声に反応してるのか零の声に反応してるのかわからない時があったんだから。」


 「え、お母さんたちも!」


 「そうよ~、私が誘惑とか猫の真似とかしたら仁様が狼になってなかなか寝させてくれなくて♡。これが朝ごはんなのよ~。」


 「え、うそ、私と涼さんもだよ。」



 ここにきて凄い現象を見た。親子そろってどんなシンクロだよ。それで仁さんもなんか疲れてるのね。男性陣が疲れているなか、女性陣は年齢制限のマークが入りそうな会話に花を咲かせていた。そして、食事も女性陣が大量に持ってきて、常時間接キスの「あ~ん」で男性陣に食べさせるという異様な光景があった(自分で食べようとすると、私が食べさせますからとそれを許さない)。時々、「最近の若者は………」という声と「東雲の女性は凄いのぉ~」と色々な声と視線をいただいた。東雲の女性ってみんなこうなの?。


 「「は~い、牡蠣ですよ~、あーん♡」」


 となぜか俺と仁さんは要所で牡蠣を食わされていた。うーん、今日はもう勘弁して。


 


 食事も終わり、今日は施設内を回りながらゆっくりすることに決まった。仁さんたちはプールに行くそうな。


 「零、お股が痛くてもしっかりヤッてもらうのよ。幸せの痛みなんだから。あの子に取られないようにしっかり涼君のに覚えさせるのよ」


 「うん、私頑張る!」


 「あっ、でも子供はまだダメよ、高校出てからね。」


 「こ、子供………♡。」

 

 この会話があったことは忘れておこう。いや、綾香さんに揺るがないからね。





 どこを回ろうかとフロント辺りに行き、マップを見て、零と話していると見覚えのある二人がいた。俺の視線に気づいたのか、俺の近づいてきた。


 「お~、涼じゃないか。なんで、ここに?」


 「父さんこそ、まだ海外じゃ?」


 「お父さんの仕事が先送りになって帰国したの、それで馴染みのここにきたのよ。涼、元気にしてた?、涼がよく行ってたビルで爆発があったらしいけど。」



 この優し気な雰囲気の二人は俺の両親である。おしどり夫婦と有名なほどに仲が良いのは変わっていないようだ。


 「その連れてる娘は、まさかこれか?」


 と父さんは小指を立ててきた。


 「涼はいつも女の子といるのわね。小さいころからそうだったけど。」


 母さんは心配いや、嫌味のように言ってきた。

 そこに零は発言した。


 「涼さんと結婚を前提にお付き合いと同棲をしています、東雲零です。不束者ですが、よろしくお願いします。」


 俺は、その場で固まっている両親にこれまでの経緯を説明した。零も補足をしてくれたりと無事に両親も理解したようだ。


 「東雲グループかぁ、いや~凄い子を助けたなぁ」


 「涼はあんまり結婚にむかない気がしたけど、零ちゃんならお母さんは賛成ね。」


 うーん、展開の早い両親にあまりついていけない。


 「同棲って言ってたけど、涼はどう?零ちゃんにちゃんと可愛いとかお料理にちゃんと感想言ってくれる?」


 「はい! いつも可愛いとかおいしいって言ってくださいます。」


 「あら~、私の時はなにも言わないから諦めてたのに~。やっぱり可愛い子に弱いのね~、あんまり表情に出さない子だけどよろしくね。私の事はお義母さんで良いわよ。」


 「はい、お義母様!」


 「お義母様だなんて、もう可愛いんだから」


 と零はかなり気に入られたらしく、母さんは零を抱き寄せていた。その様子を見ていた父さんにも零はすかさずこういった。


 「お義父様もよろしくお願いします。」


 「お~、なんかあったらすぐに呼んで。娘のためなら飛んでいくから。」


 「お義父様ったら娘だなんて♡」


 両親は零にメロメロのようでした。これで、両方の親の許可を得たらしい。

 結婚はいつ?、高校卒業?大学?いや就職?と色々と勝手に話は進んでいった。そして、仁さんや麻衣さんも乱入してきて、意気投合。今夜は、俺ら全員で会食となった。俺と零は若いものは遊んでこいと言われ、席を外した。



 「涼さんのお義父様とお義母様がお優しい方で良かったです。ドラマみたいにお義母様からは邪魔者扱いされ、お義父様からはアレを強要されるかとばかり思っていましたので………。」


 「ずいぶんなドラマを見ていたのね。」


 「これで将来、本当に涼さんのお嫁さんに♡」


 「俺も零がお嫁さんなら、色々頑張れる気がするよ。まぁ、将来だけど。」


 「涼さんったら♡」


 また、俺は零に惹かれている様だ。











 



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