第29話 【ダンベルとは古代人からの贈り物】
ダンベルの起源は古く紀元前1500年程迄遡ると言われている。歴史上最も早く類似物が現れたのは古代エジプトでもあった。かの古代壁画において重たい祭具の様な物を持ち上げる人間の姿が描かれている遺跡が発掘されたのは記憶に新しい。この「器具を持ち上げる」という行為が始まりではないかと学会では長年議論されてきた。
ダンベルという物の歴史は古く、また諸説有る。しかしいずれの時代、いずれの文明においても似た様な物が登場しているのがまた何とも奇妙だが面白い事実である。これは戦争や狩りのように身体を鍛えるという行為が戦での働きに関連する事から政治体系が積極的に身体鍛錬の推奨を行って来たからであると考えられる。
2世紀のローマ帝国、かの五賢帝時代においては民衆の間で肉体を披露する祭りが盛んに行われた。その催しの一節としてどれだけ重い彫像を持ち上げる事ができるかを競う男女の姿を記した歴史書も存在し、これが後のウェイトリフティングの起源ではないかと主張する学者も存在する。流石にこの説の信憑性こそ低かろうが、しかし我々人類にとっていかに肉体を鍛えるという行為が身近な物かであるかを示した一例であるとも言えるだろう。
現在の我々が見る様なダンベル。その基本形体となったのは1872年の事である。イギリスにおいてダンディ・ベルモンド伯爵によって考案されたのが原案とされており、氏によってほぼ現在の完成系に近づいたのである。当時のダンベルとは鉛と鉄を煮詰めて金型に詰め上げたごく単組な造りをされており、非情に持ち上げにくかったのである。重く固めた鉄製の円盤をイメージすると分かりやすいだろう。その円盤状の形を氏によって改良され、更に持ち手が追加された事により、利便性が格段に向上した。このようにして現在我々が手にするダンベルが完成されたのである。
ダンベルという器具はこのようにして我々の元へと運ばれてきたのである。我々は彼らの重みを知ると共に、歴史的な重みを知るべきなのだろう。諸君らにもこの書物、この事実を通して日夜励んでいるダンベルの重みについて理解を深めて頂けたならば幸いである。偉大なる先人達に感謝を述べたい。
なおこれらの話は全てフィクションであり歴史的根拠は全くない
【マッスル解剖書〜プロテインよ永遠なれ〜より一部抜粋】
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