第1降

 この世界は“ダイスの出目でめ”がすべてである。

 より大きい目を出したものが、より高い地位につく。


 めぐり転人てんとは、そんなダイスの目に、ことごとく嫌われていた。

 いつでもどこでも“一”しか出せず、どんな相手にも負け続ける。


 だから転人は、天性の『負け犬DOG』と呼ばれるようになっていた。



 転人は、一ノ目いちのめ高校からの帰り道、喝采かっさい三儀さんぎという少女に出会う。

 彼女は、転人の妹である廻巻菜まきなを殺した、喝采白主はくしゅの三女だった。


 転人は、そんな彼女から、“世界をひっくり返せる”というダイスをたくされて、「家族を取り戻すため、白主にダイスダウンで勝ってくれ」と頼まれる。



 転人は、そのダイスを降るが、結局、“一”しか出せずに終わる。


 三儀にダイスを返そうとする転人だったが、そんなときに、一ノ目生徒管理役委員会、通称『首絞役くびしめやく』員長の願石がんせき幸鉄こうてつに目をつけられてしまう。


 願石の目的は、三儀の確保と、彼女が持っていた“世界をひっくり返せるダイス”の回収だった。


 転人は、三儀とダイスを守るために、願石にダイスダウンを挑む。



 ダイスダウンとは、ダイスの出目勝負のことである。


 出目の大きいほうが勝者となり、勝者は敗者へ、“命令下しディレクティング”として、命令を下すことができる。

 また、“役目負いキャスティング”での闘いも目玉であり、ダイスを様々なものへと変身させ、様々な超常ちょうじょう現象げんしょうを起こし、闘い合うのである。



 願石は、『ROCKロック』というダイスを巨大な岩石へと変身させ、転人のダイスへとぶつける。

 転人は、“世界をひっくり返せるダイス”を使い、『ROCK』の力を“はね返す”ことで、勝利をおさめる。


 転人は、三儀と“世界をひっくり返せるダイス”を守り、負け続けの人生を終わらせることができたのだった。

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