第3話🌠同僚と満員電車

その日は朝から同僚が一緒だった。


何時もなら“おはよう、京冴さん”

と笑顔で挨拶してくれる

美都果は同僚を認めて、

俺に声をかけるのをめた。


その気遣いに少し寂しさを覚えつつ、

だけど、俺から声をかけた。


『美都果、おはよう』


二人は違う種類の驚きをみせた。


同僚は俺が男子高校生と知り合いだとは

思わなかっただろうし、

美都果は自分がえて

声をかけなかったのにと思っただろう。


『お、おはよう、京冴さん……』


少々、どもり気味だし

目を合わそうとしない(苦笑)


『うん、おはよう』


二回目の“おはよう”でやっと目を合わせた。


『あの人はいいの?』


離れた場所で俺達を見ている

同僚の表情かおは少し間抜け面だ(笑)


『いいんだよ、朝は

美都果と話す時間って決めてるんだから』


俺の癒しの時間を取らないでほしい。


『ほら、ドア側に行きな』


何時もと同じように、守るように前に立つ。


『毎日、ありがとう』


やっと、今日の笑顔が見れた。


『いいんだよ。


俺は美都果といられる

この時が一番癒されて楽しいんだから』


同僚がそこにいるとかは気にしない。


まぁ、降りれば同じ場所に

行くんだから車内くらいは

二人で話していたい。


降車して何時も通り、

いってらっしゃいと

いってきますを言って別れた。


ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ¸.✻´`✻.¸¸ღ


残業後、居酒屋に連行された(笑)


「あの子誰だよ?」


まだ、酒も来てないのに

初っぱなから確信をついてきたな。


『毎日、同じ電車に乗って

同じ駅で降りる俺の“友人”だ』


正解には“想い人”だけどな。


『出逢って、かれこれ一年だ』


始まりは美都果を助けたこと。


朝の同じ時間帯に

同じ車両に乗ると知ったのが二日後。


そして、回り回って一年が経ち

気付けばお互いの家庭事情を知り、

名前で呼ぶようになっていた。


「可愛らしい子だったな」


自分でも女の子に間違われると

言っていたくらい

可愛い容姿をしているのは確かだ。


『男子高校生にしては華奢だし

容姿もあれだからなぁ(苦笑)


私服だと女の子に間違われると

自分でも言っていたよ』


居酒屋を出たのはそれから二時間後だった。


時刻は夜の十一時。


美都果は寝てしまっただろうか?


駅に向かいながら電話をかけた。


因みに、あいつはタクシーを

呼んで帰って行った。


『《京冴さん?》』


起きていたらしい。


『《そうだよ*♬೨


今、平気か?》』


いくら一人暮らしとはいえ

電話をかけるには非常識な時間帯だ。


『《平気だよ.。.:*♡


だけど、電話の途中で

寝落ねおちしたらごめん》』


十一時だもんなぁ……


あまり、夜更よふかしをしない

美都果は眠いのかも知れない。


『《こんな時間にごめんな。


声が聞きたかっただけだから

電話に出てくれただけでも嬉しい。


でも、眠いなら寝ていい……


明日、美都果が

電車に乗るまで待ってるから(苦笑)》』


朝になれば逢える。


『《そうだね……


やっぱり

また、明日にしよう》』


声も少し眠そうだしな。


『《うん、おやすみ》』


それだけ話して電話を切った。

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