act.12 神の摂理に反するもの
(悪意は感じません。共闘してもよろしいかと思います)
ネーゼ様より精神会話が繋がる。
(大丈夫でしょうか?)
(問題ないと思います。ハナダ氏の扱いに関しても意見は同じだと思います)
霊力によって悪意を感じ取るネーゼ様だ。彼女がそう言うのだから大丈夫なのだろう。
サイボーグ。
元々は人間だった。つまり、目の前にいる
「分かったラナ。一緒に戦おう」
俺の言葉に頷くラナ。弾倉を取り付けコッキングレバーを引く。他の者も異論はないようだ。
俺たちは正面のゲートより中に入る。中に入った瞬間に黒装束のサイボーグに襲われた。タイプC。黒い布を巻きつけた忍者のような外見で両腕にチェーンソーが仕込まれている。
左腕から突き出ているチェーンソーの一撃をかわし左足で蹴り飛ばす。2m近い巨体が吹き飛んだところでラナとリオネのサブマシンガンが火を引いた。空中で何もできず弾丸に貫かれるタイプC。着地したがふらついている奴を、俺は日本刀で袈裟懸けに切り裂く。すかさず襲ってきたのはタイプG。身長3mの巨体に毒ガス兵器を搭載した厄介者だ。しかし、毒ガス兵器ではなく両腕のガトリング砲を射撃してきた。俺は日本刀で奴の右脚を斬り落とし転倒させる。毒ガス弾を発射しようと腹の部分の装甲が開くのだが、首を切り落として沈黙させる。
更にタイプAが斧を構えて襲い掛かって来る。俺は斧を持った右腕を切り落とす。
(レーザーで狙われています。9時の方向)
俺はネーゼ様からの精神会話で間一髪レーザーをかわしたのだが、それはタイプAの胸を撃ちぬいた。遅れて全身からしみだしてくる緑色の腐食液に腕と胸から犯されていくタイプAは煙を出しながら沈黙した。レーザーを撃ってきたのはタイプL。戦車の装甲すら一撃で貫く強力なレーザーだが、一発撃つと次発は30秒以上かかる。そこに3人の銃撃が集中するが、黒い強化ゴムの装甲は銃弾ではダメージを与えられない。俺は奴に接近し頭部から両断した。
エントランスで待ち構えていたサイボーグは4体だった。
俺の戦いぶりに奈緒は感嘆していた。
「さすがね。資料にあった通りです。ハーゲン少尉。日本刀であの金属装甲を切り裂くなんて未だに信じられないわ。けど頼りになります」
「ハーゲンって、実はエリートなのよ。霊力使いの多い帝国内でもこいつの実力はずば抜けているわ」
弾倉を交換しながらリオネがが話しかける。ラナも弾倉を交換していた。
「そのようね。さあ、奥に進みましょう。『パラダイス・エンジン・システム』までもう少しです。そこにある『スネアー』と『ヴァンパイア』、そのコントロールユニットである『プロフェッサー』を破壊することで目標は達成されます」
「『スネアー』と『ヴァンパイア』だと?」
「ええそうです。『スネアー』は、そう、霊体捕獲用トラップと言えば分かり易いかしら。輪にしたロープを首に引っ掛けて捕えるイメージですね。霊体を捕獲しますから、生者であれば勿論肉体も捕獲します。『ヴァンパイア』はその名の通り、生体エネルギー吸引装置です。更に魂が発する苦悩や怨念などもエネルギーとして変換します」
「それをコントロールしているのが『プロフェッサー』なんだな」
「ええそうです。その『プロフェッサー』に組み込まれている起動キーを破壊する事で、『パラダイス・エンジン・システム』は二度と起動できなくなります」
「起動キーを破壊すれば再建は出来ないと」
「はい」
「逆に言えば、起動キーがあれば再建できる」
「はい」
「まさか、その起動キーが?」
「そう、トーマスです」
「それであなたが来られた」
「はい」
悲痛な面持ちで答える奈緒。この件の幕引きを自分の手で行うと決意しているのだろう。
しかし、ここまで来た。ならば行くしかないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます