act.11 魔法少女はスカートの下にブルマをはいている vs.R
空は相変わらず禍々しいオーロラに包まれている。原色の光が乱舞する狂気のドーム。これがこの場所と現世を完全に隔離しているのだという。
俺達は発電プラントの正面にいた。従来の火力発電所や原子力発電所とは趣が異なっている。中央にドーム球場のような巨大なおわん型の構造物があり、その周囲に様々な施設が連なっている。俺達が向かうのはその中央のドームである。
「ハーゲン様。そのままでは……」
奈緒が怪訝な顔をする。当然だが身長が10mある人形では中に入れない。
俺が操縦席の扉を開いた途端にネーゼ様が飛び込んできた。そして、熱いキスを浴びせてくる。
「私が残ってあげる。私も動かせるから。ねっ!」
そう言いながら再び抱き合い熱いキスを交わす。
しばし見つめ合ったが、俺は彼女を引き離し席に座らせる。
「では、よろしくお願いします」
「ええ。任せておいて。何かあれば心で伝えて」
「分りました」
俺は操縦席の背に固定していた日本刀を掴み外へ飛び出した。
「やっぱり持ってきたわね。それ」
「ああ、いざというときはこういうのが一番頼りになる」
操縦席の背に隠していた剣にリオネは気づいていたようだ。
「彼女は身分の高い方なのでは?」
「ええ。第一皇女で次期皇帝です」
「そのような方があのロボットを操れるのですか?」
奈緒は次期皇帝がロボット兵器に搭乗する事が信じられない様だった。
「勿論です。帝国では皇族が中心となって国防に当たります。鋼鉄人形に搭乗し、全兵士の士気を高め、また、帝都防衛の要となるのが皇帝の役目なのです。つまり、人形を操れない者は皇帝になる資格がありません」
「なるほど……」
リオネの説明に頷く奈緒。よく見ると、金森は軍用のヘルメットとゴーグルを装着し、M16を握りしめていた。
「私も、少しでも力になります」
何かを決意した表情だ。
俺達が正面のゲートへ差し掛かったところでロケットの轟音が響いて来た。これは資料では飛行型のサイボーグ、タイプRだ。上空を二周したところで逆噴射をしながら俺たちの前に着地した。
身長は140㎝くらいで小柄なロリ体形。白色のボディだが、ピンク色のブーツと手袋をつけている。白と水色のセーラ服はノースリーブ。短めのブリーツスカートは紺色だ。そして、着地した時には見えていたスカートの中はえんじ色のブルマをはいている。毛髪は金髪で短めのツインテールとなっており、楕円形の黒いカメラアイが何故か可愛らしい。そして、ピンク色のランドセルを背負っている。このランドセルにロケット推進機関が仕込まれている。
どこから見ても魔法少女と言ったスタイルなのだが、魔法のステッキは持っておらず、両手に抱えているのはサブマシンガンUZIだった。元々は小柄な同銃だが、彼女が持つと大きく感じる。彼女は弾倉を抜き敵意が無いことを示す。
「あなた方との共闘を希望します」
唐突にタイプRが話し始めた。
「タイプHが異世界電力側に鹵獲されました。タイプHのハッキング能力は非常に高度です。その為この0番地内における現存サイボーグのほとんどが敵側に掌握されました。寝返ったサイボーグはこの中に配置されており、『パラダイス・エンジン・システム』の防御に当たっています。複数のサイボーグが連携して防衛に当たっているため、私一人での突破は困難だと認識しております。オルガノ・ハナダ奪還の為の共闘です。私の事はラナとお呼びください」
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