act.2 転送ゲート
0600
東の空は明るくなってきた。輝いていた星々もその存在が曖昧になる。砦の外にある岩山が出発地点だ。何故かここに4人の人間が集まっている。予定より一人多い。
俺。
金森。
軍医のリオネ。
そして、あろうことか皇女ネーゼ様がいる。リオネもネーゼ様も濃いグリーンの戦闘服に着替えていた。
「ネーゼ様。どうしてここへ?」
「あら、私はあなたの事は何でも知ってるのよ。遠い所へ行くみたいだからついて行きます。当然ですわ」
自慢げに胸を張る皇女殿下である。上り始めた朝日の光に輝く銀色の髪が美しい。この人には何を言っても無駄だろう。
「ネーゼ様。万一の事があっては大変です。どうかご自重なさってっ下さい」
いかにも邪魔者が来たという渋い表情のリオネである。
「大事な人の事が気になるのは自然な感情ですわ。悪い虫が付きまとっているという噂もありますし……」
ジト目でリオネを見つめるネーゼ様。リオネが悪い虫だと言っているようなものだ。言い返そうとするリオネの口を塞ぎ黙らせる。険悪な雰囲気を察した金森が出発を促してきた。
「そろそろ時間です。車にお乗りください」
地球から乗ってきたのだろう。三菱の4WD車のドアを開ける。ネーゼ様は後席、リオネは前席に座った。
「ハーゲン様、転送ゲートを開きます。ご準備を」
俺は頷きゼクローザスの操縦席に座る。前面の扉を閉めるとモニターが景色を映し出す。眩しい朝日の中で、更に眩しい光の門が現れる。一辺が10m程の光の門。これをくぐるとその先は別世界になる。
「さあどうぞ」
金森の言葉に人形を前に進める。動きが重いのは火器を数種と大剣と短剣を装備しているからだ。重い機体を歩かせ光の門をくぐる。人形も操縦席内も俺自身も光に包まれる。すぐに視界は元に戻る。後ろのモニターからは4WD車がついてきているのが見えた。
眼前には大海原が広がっていた。遠くに人工の島、異界電力ベイエリアが見える。そこにある発電プラントを破壊してp.w.カンパニー前社長のオルガノ・ハナダを救出する。それが今回の目標だ。
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