滞在最終日 乗り物欲しいな……

 今朝は少し早く起きて、リリと買い物に来ていた。殆どの店が開店したばかりなので、客が少ない。


「取り敢えずこんなものか……」


 色々な店を回ったから、少し疲れた。

 両手に収まりきらないほど買って、リリに呆れられた。


「そんなに買う必要ある?」


「まあ、少し買いすぎたかも……」


 食糧も三週間は持つぐらい買った。店員さんも驚いていたけど、アイテムボックスがあるから問題ない。本当に便利だ。



 一度旅館に戻って旅の準備を始める。リリはどうやらこの旅館を気に入ったみたいだった。


「また野宿かぁ」


「嫌かい?」


「別に嫌じゃないわ。ジジの料理は美味しいから。でも、出来ればベットで寝たいわね」


 確かにテントの下は地面だから痛い。布で誤魔化しても、柔らかいベットには勝てない。


「なんか良い方法考えておくね」


「ありがとう」


 一番手っ取り早いのはマットを買うことだけど、何処に売っているのだろう。

 旅館を後にするとき聞いてみたけど、旅館の従業員に知っている人はいなかった。支配人ならとは言っていたけど、生憎出掛けていて聞けなかった。



「準備は良い?」


「うん」


 旅の準備を整える。アイテムボックスがあるから多少楽ではあるけど、出来れば乗り物も欲しい。

 馬車とか憧れるけど、場所代と維持費でかなり取られるから諦めざる終えない。


「出国ですか?」


「えぇ、お世話になりました」


 守衛さんに挨拶をして門を潜ると、何処までも続く坂道が出迎えた。登りより楽だけど、気を抜くとすぐ転ぶだろう。


「じゃあ、行きましょう」


「そうだね」


 途中で吹雪にならないことを祈りながら、リンデルの町を後にした。

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