滞在四日目 吹雪の内職

 夜中から吹き始めた風に雪が付いて吹雪になった。多分今日一日外に出るのは無理だろう。

 リリは幸せそうに寝息をたてている。風の音でも起きないとは……


 こんな時は内職に限る。料理も作る予定だけど、リリを起こさないときっと不機嫌になるから後にしよう。


 アイテムボックスから薬研やっけんといつか使おうとためた薬草を全て取り出す。ために貯めた薬草はテーブルの上に置ききれない量だった。


 調合の本を頼りに混ぜ合わせてすりつぶす。料理と違って、混ぜてすりつぶして魔法をかければ出来上がるポーション等は、初級錬金術と言うらしい。

 上級の物を作るにはそれなりに材料がいるらしいが、使う分以外は売るので今は初級で十分だ。


 同じ作業を繰返して、出来上がった液体を細い瓶に入れて蓋をする。出来上がった物を数えたら百本以上出来上がった。


「さて、次は……」


 ポーションを片付けて、代わりに宝石と魔石を取り出す。ダンジョンに潜ったときとかにちょこちょこ集めていたけど、これも大量だ。

 このまま売ってもいいが、綺麗な物は加工した方が付加価値が付く。


「指輪とネックレス、後ピアスかな……」


 錬金術で金具や鎖などを錬成して、ついでに鍛冶職人から教わった強化のルーンや治癒のルーンを刻む。教わって直ぐに出来て、職人が唖然としていたのを思い出すと、少し可笑しい。

 出来たものに宝石と魔石をはめて出来上がり。


「こんなものか」


 こちらも大量に出来上がった。商人ギルドにも入っているから、自分で販売も出来るけど、面倒なのでまとめて買って貰うことにしている。


 リリはきっと全部欲しいと言うので、一番綺麗な指輪とネックレスを残してアイテムボックスにしまう。


「リリ、そろそろ起きたら?」


「んー、もう少し……」


 体をもぞもぞと動かし体勢を変えると、また寝息をたて始めた。相当安心して寝ているみたいだ。ダンジョンとかならすぐ起きるのに。



「昼ぐらいかな?」


 何時間没頭していたか分からない。いつもは大体の時間を太陽の位置で判断するから、太陽がでていない日は時間が全く分からない。

 まあ、安全な所でリリは一度寝るとなかなか起きないからこのままにしておこう。



 次はスクロールを作ることにした。錬金術で紙を沢山作る。材料は沢山有るので紙束の山があっという間に沢山出来上がった。

 アイテムボックスからそれぞれのランクの魔法書を取り出して、魔方陣とルーンを書き写す。魔法の羽ペンに魔力を注ぎながら書き続けるが、これは書けば書くほど魔力を持っていかれるので、百束程で書くのを止めた。このままいくと動けなくなる。


 軽い体のだるさを感じながら、リリを起こす。


「そろそろ起きたら?」


 揺すっても全く起きない。朝方まで帰りを待ってたからかな……

 昨日のジンさんとの飲み会を反省しつつ、することが無いので温泉に行くことにした。

 リリに書き置きを残して旅館の地下に降りると、大浴場が出迎えた。


「おぉ……」


 湯気が凄い。そして浴槽も凄くデカい。池だ。


 足を入れると、少し熱いくらいの湯加減だ。体をお湯に浸すと、昔のことを自然と思い出す。

 水が嫌いなのに、主に良く風呂に連れていかれて体を洗われたが嫌で、びしょ濡れのまま良く逃げたしたことを思い出す。

 あの時の主の顔は面白かったな。

 この世界に来てからも水浴びをして良く泥汚れを落としているけど、決まってリリに細くなってると大笑されるので、いつも寝てから体をあらっている。

 水はなれたけど、人には見られたくないので、この時間だけは一人優雅に過ごす。


「貸し切りだな」


 周りの人影もなく、段々うとうとしてきた。魔力を使いすぎたのかもしれない。


 起きたら料理を沢山作って、そろそろ次の町に行く計画でも立てよう。



 p.s.

 風呂上がりに風と火の混合魔法で体を乾かしてから帰ったけど、リリはまだ気持ち良さそうに寝ていた。

 夕方(?)頃、起きたリリとアイテムボックスの中にある食材を全て使って料理をした。

 近い内に食材を補給しないと。

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