初陣の初陣

クレモンドさんの過去を教えてもらったところで今の自分にはなにもできない。

今はただ、目先の戦に備えなければならない。


「ねえ、一回アハト王国にいってもいいかな…」


「えっ!?!?」


ボソッと言った瞬間、エイルの顔が変わった。


「戦う相手の国に行くなんて死にに行くようなことだよ!?」


「でも、敵の情報を採集するのは大事だし、もしかしたら戦わなくて済む可能性もあるんだ。」


「……。わかりました。でも、それだったら私も行きます。カイト君一人ではまだまだ不安なところもあるし、私はカイト君のものだから一緒に行動してもいいよね?」


「ありがとう、なぜか君が隣にいると安心するよ」


こんなに頼もしい人をもてて自分は幸せ者だな。しかし、そんなことを言ってられる時間もそんなに多くはない。


「そうと決まったら早急に支度をしなければ!」


「それなら任せてください!メイドたちに至急準備させます」


「じゃあ、1時間後に出発できるかな?」


「はい!わかりました。では、アハト王国の位置と国情報を転送しますね」


そう言うと目の前にスクリーンができて何やらみたことない文字がずらりと並んだ。


「なんだこれ?全く読めないけど」


「あっそうでしたね。カイト君はまだアハト王国の言語登録してなかったね。じゃあ翻訳機能も一緒に送るね」


次々と文字が翻訳されていく。

「やば、もう本いらねえじゃん」


「では、私は急ぎますので少ししたら城門前にきてください」


「ありがとう、読んでおくよ。バイバイ」


それから小走りしながらさっきもらった情報をくまなく確認する。

今のアハト王国の王はイーリスフェルト、15席の第12の席に座を置く王である。

(ちなみにクレモンド王は第14席)


「えっ」


反射的に声がでた。なぜなら、この写真では明らかにイーリスフェルトは女性なのだ。


「イーリスフェルトは女性なのか!?」


廊下に意想外な声が響き渡るが、その声も直ぐにメイドの足音でかき消されてしまう。


城門前につくと早速メイドたちが騒々と準備をしていた。

やはりこの城のメイドたちは優秀すぎるな。


「エイルはどこにいるか知ってるか?」


「え~と確かクレモンド王に話しをして来るって行ってしまいました。」


「クレモンド王…。」


「俺も行く、ここはお願いします。」


急いでクレモンド王の部屋に向かう。


「入ります」


「カイト君、どうしたの?」


「いや、メイドたちからエイルがクレモンド王の部屋に向かったって聞いたから、何かあったのかなって」


「…ふふっありがと。でも、大丈夫。アハトに行くって報告しに来ただけだからさ」


「……。良い、君たちがなそうとしていることを止めはしない。だがカイトよ、娘を頼むぞ。」


「以外とあっさり許可してくれるんすね。ありがとうございます。クレモンド王。」


「では行きましょう。この国の未来を背負って。」












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