結婚!?

召還の儀式から少したち、カイトは召還された理由を再び聞いた。


「僕が召還された理由は何なんですか?」


「カイト君。君はこの国を救うために召還された。そして、我が王家を受け継ぐ者として『私と結婚』してほしい。」


カイトは前文など耳に入れず、後文に驚いた。


「結婚!?」


当然の反応であった。いきなり次期王女となる者に結婚を申し込まれたのだから。


「驚くのは当然だろうが、これがこの国の代々受け継がれているやり方だから…。」


あまりにも突然のことであったためカイトは動揺してしまった。


「…少し時間をいただけませんか?」

「僕はまだこの国がどういう状況かも分からないし、そんな大役を背負うことはできない。」

「しっかり熟知した上で考えてもいいですか」


「分かった」


エイルは少し困り顔でその意見を承諾した。


「ありがとうございます。」

「あの、早速なのですがこの国がどのようになっているのか案内して貰えませんか」


「わかりました。今、この国がどんな発展を遂げているのか見てください」


「お父様、よろしいでしょうか」


エイルのお父様と言うのは現王であるクレモンド=アリウスである。


「うぬ、それは良いだろう。エイルしっかり案内するのだぞ」

「それと、カイト君にアレをあたえてあげたくれ」


「ありがとうございますお父様。それでは行きましょう。」



カイトとエイルはシュバルト街に足を運んだ。

カイトにはみたこともない文字や商品が並んでいた。


「この国にはどんな物が有名なんですか?」


カイトの素朴な疑問をエイルが答える。


「メルクリアは水とドラゴンが有名かな」

「交易とかもいろいろやっている…らしいです」


「ほうほう、それは興味深い。はてドラゴンとは?」

それはそうだ。カイトは召還される前は平凡な高校生だったからだ。

誰しも、ゲームでドラゴンをみたことはあると思う。しかし、現実にいるかというとそうではない。だから真に龍が《ドラゴン》いると言われても想像がつかないのだ。


「?そうか。君のもといた世界にはドラゴンはいなかったのか」


(この世界にはさも平然とドラゴンがいるのか、さすが異世界だ。)


「君に見せたいものがある。付いてきてほしい。」


そう言うとエイルは浮遊魔術フロウティングマジックを使い空中を飛び出した。


「?早く来なよ」


エイルが摩訶不思議そうにといかけた。

しかし、カイトは魔法の使い方など知らない。ましてや、自分のパラメーターなんてまったく知らなかった。


「僕はどうやって浮いたらいいんですか?」


「あ、そうか。えーと自分のパラメーター画面を開いてくれる?」

「普通はそこから魔法を選択して会得するんだけど、私たち王家の血が流れている人はだいたいの魔法は最初から習得しているからもう使えるはずだよ」

浮遊魔術フロウティングマジックって言えば効果が発動されるから言ってみて」


それはありがたい。これも召還特権といった感じなのだろうか。


浮遊魔術フロウティングマジック!」


カイトの体が少しずつ浮き始めた。


「エイルさんみたいに早くは浮けないんですか?」


「ああ、使えるだけで錬度が低いと能力も低いが効果時間も短い。


「RPGなどでは定番の錬度だが、ここまで面倒な設定だったとは。」


「でも、ここからならその効力でも目的地につけるからいいよ」


「よかった。こんな広大なシュバルトで迷ったらひとたまりもないですから」


「じゃあ私もゆっくり行くから付いてね」


―――わかりました。


二人はその目的の地に向かって歩き出した












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