星に想いを。

Rain kulprd.

星の海に想いを込めて。


むかし、むかし、織姫と彦星がおりました。愛によって結ばれた二人は天の神さまによって引き離されてしまいます。ですが天の神さまは一年に一度だけ、二人が会うことを許しました。たくさんの人がしっている、''七夕''の物語。そしてここで紡がれるのはそんな七夕とお星さまの、物語。



「また、来年。」

そう彼は言って、星の海の向こうへ消えてしまった。私と彼は一年で一度しか会えない。そんな彼と会える時間をいくら大切に過ごしたって、離れてしまえば寂しい気持ちばかりが胸に積もってしまう。…また、一人の時間がやってくる。寂しさや彼を想う恋しさを積もらせる時間が。




積もり始めた寂しさが膨らんでいく中、ふと、…彼も、同じように思ってくれているのだろうか。寂しいと。恋しいと。そんなことを考えてた。

同じ気持ちでいてくれたらいいのに。そう思う反面、彼に寂しさや恋しさを感じてほしくないとも思う。彼の笑顔が好きだから、大好きだから、彼には温かで優しい気持ちに包まれていてほしい。…そして、無理だと、出来ない事だとわかっているけど、叶うのならば、傍にいたい。



遠く、遠く。遥か遠くまで続く星の海を眺め思う。会えない間も私の気持ちを彼に届けられないだろうか、と。傍にいることが叶わないのなら、せめて、想いだけでも彼に届けたい。そして、私は輝くお星さまにお願いをした。彼を想う私の気持ちを乗せて、どうか星の海を流れ、泳いでほしい。

そんな私の声に、願いにお星様たちは、きらきら、と笑い輝きながら星の海を泳ぎ流れていった。私の、彼を想う心をのせて。












織姫の願いを乗せた星たちは夜空に広がる星の海を泳ぎ流れ、彦星のもとへ想いを届けた。そして、届いた想いに応えるように彦星も星たちに織姫を思う気持ちを託し、海へ流した。














夜空に流れる星々はのちに人々の間で''流星群''と呼ばれ、たくさんの人の願いをのせ、星の海を流れることになる。だが、今このとき夜空を流れる星たちは、まるで、織姫と彦星の想いを乗せた星の文通のように見えるのだった。


















これは、一年に一度しか会えない二人の愛を乗せた星の文通の、ものがたり。


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