第22話 公共事業の使い方
天の川に橋を架ければ、織姫と彦星は毎日会えるのではないか。
まだ小さな弟がそう言い出した時、皆ばかにした。彼らは別れて暮らす決まりだ。白鳥の仕事がなくなる。くだらないことを言うな。
特に父は頑迷で、反抗心から私は弟に味方した。家庭内に天の川が流れ、私たちは年に一度しか話さなくなった。
真面目で賢い弟は、地方公務員からこつこつキャリアを積み、とうとう国政へ進出。頑固な老人共を説き伏せ、難敵の白鳥氏とも渡しがメインの観光プランを練り上げ、とうとう天の川に橋を架ける大事業が始まった。
「誰が最初に渡るの?」
工事を見ながら尋ねると、弟は迷わず答えた。
「父さんと母さんだよ。二人に、もっと会って欲しかったんだ」
Twitter300字ss企画 第66回 お題「橋」
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