第9話 咲かぬなら、咲かせてしまえ

 あの花が咲いたら、付き合ってあげる。

 ほんと、やったー! なんて喜んだのがバカみたい。まさか花が咲かない木だったなんてね。

 悔しくて、どうしてやろうかと考えて、あんな男と思ってもやっぱり好きで、私が知らない事も知っている知的な所が素敵と惚れ直してしまう。

 そこで私は、花屋でありとあらゆる花を買い占めた。

 ガーベラ、ポピー、かすみ草、ユリ、チューリップそしてバラ。

 夜中にごそごそ工作した。警察に見つからなくて本当に良かった。

 明くる日、彼を無理矢理連れてきた。

「ほら、咲いたよ」

 いろんな花をめちゃくちゃにくっつけられた木は、少し恥ずかしそうに佇んでいる。彼は困ったような笑顔。

 してやったり。

 ああ、スッキリした。


Twitter300字ss企画 第52回 お題「咲く」

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