第7話 恋の灯り
運命の人に会った時、本当に時は止まるし世界は明るく輝き始める。
胸がどきどきする。手汗がひどいし、足元も頼りなく、歩いている実感がない。
呼び出したのは、階段の一番上。一歩一歩上りながら、臆病な心はどんどん階下へ逃げようとする。その心をなんとか手繰り寄せて掴まえて、わたしは準備してあった言葉を拾い上げる。
ずっと好きでした。
……違う。もっとたくさん、言葉はあったはずなのに。考えてきたはずなのに。どうしよう。分からなくなっちゃった。ああ、逃げたい。でももう、約束の場所は目の前だ。
とん、と一番上の段に足が乗る。それを合図にスポットライトが灯されて、視界が開ける。
わたしは顔を上げて、光の中に歩き出す。
Twitter300字ss企画 第49回 お題「灯す」
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