第3話 帰り道の大勝負
家まで、あと半分。
コロコロ転がる石を追いかけて蹴る。白線を越えた石を、歩道へ戻すよう強く蹴る。
「あっ」
石が側溝の隙間に転がり、そのままぽちゃんと落ちた。
「あーあ」
「よっしゃ、明日のプリンもらい」
裕太がランドセルを叩いて笑い、淳は舌打ちした。石蹴りも、白線だけ踏むのも、段差の上だけ歩くのも、負け続きだった。
「ちゃんと歩きなよ」
後ろからよく知る声がして、ポケットに手を突っ込んだ。小さい包みが中で潰れる。
「うるさいぞ、唯」
「そっちが危ないから」
唯は二人を追い越した。
石を蹴り続けたら、白だけ踏んで帰れたら、高い所だけ歩いて帰れたら、唯に渡す。そう思ってもう何日か。明日こそ、と淳はポケットの中で手を握った。
Twitter300字ss企画 第45回 お題「帰る」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます