あなたの趣味で金をとる
「はじめまして、斎藤ちゃん。あたしは、鷲沢。よろしくね」
「え……。女の人!?」
「そうだよーー。女子力なんてものはへその緒と一緒に捨てたけどね~~」
「いやいやいや……」
鷲沢先輩は髪が長く優しそうな顔をしている女性だった。
この人がエロゲーの制作リーダーをしてるなんて思わなかった。
「チーム内の自己紹介はあとでやっていくとして、
とりあえずうちのゲームを知らなくちゃね」
「あ、はい……よろしくお願いします」
「うちのゲームは、ネットで配信しているブラウザゲーム。
箱とかで売る系のエロゲーじゃないよ。
ユーザーに課金させて作っていくエロゲーなの」
「そうなんですね、なんかイメージと違いました。
私、エロゲーの知識あるわけじゃないですけど、やらないし……。
でも、聞いた話では大きな箱だって思ってました」
「あーいうのは、専門の会社のだから。
うちみたいに、普通のゲーム作りながら、
内職でエロゲー作ってる会社なんかは多いのよ」
「先に言ってほしかったです……」
「ホームページにかけないからね、あははははっ」
「笑い事じゃないですよぉ!」
「アカウント登録すれば、誰でも無料でプレイできるから
斎藤ちゃんも今日はとりあえずゲーム理解を含めてやってみようか」
「はい……」
「イヤホンある?」
「えっ、必要なんですか?」
「エッチなゲームだからね、会社で音が漏れると大変なの。
私の貸してあげる。ちょっと年季入ってるけど使えるよ」
「ありがとうございま……なんでネコミミ!?」
「趣 味 で す」
鷲沢先輩にネコミミ状のヘッドホンをしながらパソコンをつけた。
先輩の机の周りには猫のグッズやキャラが多いので好きなんだろうと察しはついた。
人生で初めて男性用のエッチなサイトにログインし、アカウントを作る。
サイトにいくつかあるエロゲーの中から、3位にランクインしている
【ラブバウンド -凌辱の館-】を選んだ。
「あの、鷲沢先輩……」
「え? なにかわからないことあった?」
「このゲームって、鷲沢さんが作ったんですか?」
「そうそう。あたしが企画を考えて、売り込んで、ゲームにして配信したの。
タイトルもあたしが考えたの。かっこいいでしょ」
ゲームの紹介ページには縛られたり、ろうそく垂らされたり、
口にさるぐつわされたりと、ほかのエロゲーと比べて明らかに異質だった。
「なんでこのジャンルにしたんですか……」
「趣 味 で す♪」
「ゆがんでますよっ!!」
人は見た目じゃないという最悪なパターンを東京で学びました、お母さん。
【エロゲ豆知識】エロゲーはソフト不要の時代へ!
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