10年後の世界

「...ここは」


僕の目の前には、博士さんが立っていた。


「か...、かばん...、本当に、本当に本当に、かばんじゃないですか!!」


博士は唐突に泣き顔を浮かべ、僕に抱き着いた。


「生きてるうちに...、またあなたに会えて嬉しいのです...」


「は、博士さん...」


僕は何が何だか分からず困惑した。


「その言い方...、まるで...、ん...

まるで...、10年前?」


「えっ...」


博士は一回離れた。


「あなたは...、“10年前”のかばん...

どうやってここに?」


「10年前って事は、ここは10年後?」


僕はそう口にした。


「そうですよ。ここはあなたがごこくへ旅立ってから10 年後の世界ですよ。

って、質問してるのは私なのです。

どうやって来たのですか」


「僕は...」


ここに来るちょっと前、僕は図書館の前で博士さんにカレーを作れとせがまれ、

鍋を持って外に出た時、信じられない様な事が起きた。僕は雷に撃たれてしまった。

そして気付いたら、ここにいた。

その旨を博士に告げた。


「うん...、事実は小説よりも奇なりですか。あなたがどうやって来たのか、

一科学者として、気になる所ですが…

今はそれどころじゃないですからね」


「あの、この世界は、どうなってるんですか?」


「いいでしょう...。あ、因みに

私の世界の事ですから...、必ずしもこうなるとは限りませんから」


博士はそう言うと、軽く息を吐いた。

僕は“はい”と言って頷いた。


「あなたは...、セルリアンに食べられましたか?」


「えっ...、はい」


「そうですか。この世界ではあなたは

元の人間に戻ったのです。

あなたは成長していきました。

身長も伸びて...、身体も大人らしく」


「....」


僕は大海に飲まれたように唖然としていた。僕が元の人間に戻ったというのが信じられなかった。


「そうですね...

人間の年齢で言うと18の時にあなたはきょうしゅうでフレンズの研究をするようになりました。サーバルと共に、楽しそうに暮らしていたのです。

ですが、あなたが20の時サーバルが疫病で死んでしまうのです」


「サ、サーバルちゃんが...」


「その頃私は、機械いじりに嵌っていまいてね... 、リカオンが故障していたボスを持って来ましてね、一か八か修理したら上手く行ったのですよ。それで機械について研究するようになりましてね...」


「その話とサーバルちゃんの話は関係あるんですか?」


「ええ。あなたはサーバルの死を深く悲しみました。あなたは私にある提案を持ちかけたのです。

私と一緒にサーバルを復活させようと持ちかけたのです。あなたの必死目を見て協力すると言ったのです。それで5年かけて、サーバルの体を利用したアンドロイド...、

“SVAL-515”を開発したのです」


「サーバルちゃんの身体を利用して...」


「凄い早く完成したのは...、まあ私の賢さのお陰もあるかもしれませんが、

あなたが数奇の天才だったからかもしれませんね」


「あの...、僕はどうなったんですか」


「それはSVAL-515の完成から1年後のことです...。彼女には私のプログラミングした人工知能を搭載していたのです。しかし、重大なバグが見つかり、

暴走をしてしまったのですよ。

彼女はパークを破壊...

パークセントラルのメインコンピュータをハッキング、自分の支配下に置き

パークの空気中のサンドスター濃度を薄くしたのです。フレンズはサンドスターが薄くなると、体に悪いみたいで...

実質多くのフレンズが死んでしまったのです。勿論、助手も...

設計者であるあなたはその責任を負いサーバルの暴走を止めようとしましたが...、サーバルに殺されてしまうのです。だから、この世界にあなたは居ないのです」


「...」


黙ってその話を聞いていたが、

複雑な気持ちになった。


「僕のせいで多くのフレンズさんが...」


「いえ、あなただけではない...

バグを見逃した私の責任でもあるのです。この世界では私はドクターコノハと呼ばれています。

フレンズからはドクターコノハとかばんは史上最悪の科学者とレッテルを貼られましたよ...」


博士は重いため息を吐いた。


「今、どういう状況なんですか?」


「この島の生き残ったフレンズは対SAVL共同戦線を組み、SAVLを止めようと、必死に抵抗しています…」


また、複雑な気持ちになり言葉を失った。


「私もなんとか手を打とうとしました。しかし、1人でやろうとしても、時間は掛かるし…、なんせ私も歳も歳ですから...。助手もサーバルとの戦いで長い時間、サンドスターが希薄の状態で

頑張ってくれて命を無くしましたから...」


ーーーーーーーーーーー

《作者より》

SF物です。10年前から来たかばんが10年後の自分が作ったメカサーバルの暴走を止めるという物です。これを書いてる途中、ストーリーめんどくせえなあと思い、諦めました。

ストーリー構成は良いと思ったんですけどね。合掌( -_-)/Ωチーン

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る