第4話 自分の好みに気付いた
コロナが流行って、生活が激変した。
それまで普通のことだと思っていた職場の飲み会や恒例行事が別のやり方でも成り立つのではないかとみんなが気づいてしまった。会社でのいろいろな「常識」がこれからますます崩れていくだろう。
そんな中、旅行にも行けない日々の中で、自分について、ある発見をした。
私が今まで行った中でまた行きたいと思っている国はモンゴルとアイスランド。
行ってみたことがないけど、やっぱり行ってみたいと思っているのは南米。特に南極に近いパタゴニア地方に行ってみたい。
自然が好きならスイスとかオーストラリアがあってもいいけど、それよりこの3か所がくるのはなぜなんだろう。
思うのは、この3か所、自然の中でたくましく暮らしている人が住んでいる地域だからだ。
思えば、昔からインカ帝国とか、中国の西域とか、ヴァイキングに興味があった。
日本とは違う価値観や生活習慣を知るのが面白かった。インカ帝国は滅亡してしまうし、西域も中国国内とモンゴルに分かれてしまうし、ヴァイキングも定着してヴァイキングではなくなってしまったけど、共通している部分は生き残るためにもがいたところだ。
他にも砂漠とかアフリカとか、同じ南米のジャングルとか、環境の厳しいところはもっとある。そちらにはあまり惹かれなかった。多分、私の中でそこまで行くと自然と折り合いをつける範囲を超えているのだという感覚になるのだと思う。
砂漠の中では、人間が生きていく水を得るのは大変だ。何かが崩れると簡単に死ぬことになる。人間の技などかなわない圧倒的な自然の力を感じる。
そして、アフリカのサバンナ。野生動物の前では人間など弱くて非力だ。走っても逃げきれないし、噛まれたら即死亡する。あそこはもはや人間の世界ではないと思う。アフリカの気候は危険な感染症も多いし、蚊に刺されることにも注意が必要になる。アフリカで生活している人はすごい。すごいけど、もはや私には楽しめるレベルではない。いろいろなことが気になって、気が休まらない気がする。
私は、どうやら自分の力で生きて自然と折り合いながら生きる人に憧れるらしい。
工夫すれば生きていける環境というのが、たぶん先にあげた3か所くらいのイメージなんだろう。
生きていく工夫をして、他の人々と力を貸しあって、力強く前に進む。
そういう生き方ができる人に憧れる。
同じ意味で、農家にも憧れる。
自然と折り合いをつけて、工夫ができる人ってすごい。柔軟な頭と「これでダメなら次考える」という思い切りの良さに憧れる。
自分の足で地面にちゃんと立っているような気がする。
職場と家の往復で気が付けば、家の廊下に綿埃が積もっていたりする。
ちゃんと自分の生活を自分でコントロールできるようになりたい。
なりたい自分になれるように、がんばろう。
少しずつでも、前に進めているといいんだけど。
そして、早く世界が平和になって、また旅行を楽しめるような状況になればいい。
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