第4話


街の至る所が炎で燃えている。

人々の叫び声が聞こえる。


大きな街の中心では今も兵士のような人が一人の男に殺され続けている。


その男は兵士を驚くべき威力の魔法で殺している


そこに立っているのは……おれ?


==============================


「ん?」


どこだここ?

目を覚ましてまずおれの目に入ったのは見慣れない天井だった。


周りを見渡してみると、高価そうな木の椅子や机があるかなり広めの部屋に居た。そして、おれが寝ていたのは映画などでよく見る、王族が寝ていそうなベッドだった。


(あーそういえばおれ異世界にいたんだったな)


おれは自分が異世界に来たこと、ティアと出会ったこと、魔物に襲われたこと、そして俺がゲームの魔法を使って魔物を倒したことを思い出した。


そういえば、なんでゲームの中の魔法が使えたんだ?

まさか、ここはゲームの中…?

いや、それはないなあんな魔物見たことないし、それにあのゲームには詠唱なんてない。


おれは自分の意見を絶対に無いなと確信し、身体を起こしてベッドから起き上がった。


ん?身体がめちゃくちゃ軽い、なんだこれ。


おれは今まで感じたことの無い身体の軽さに驚いていた。


「よいっしょ!」


試しに真上に飛んでみた、


「うわあ!!」


軽めに飛んだだけなのにおれの身体は6メートルはありそうな天井のすれすれまで飛び上がった。


ばん!!


着地と同時に大きな音がした。


「おれの身体なんでこんなことになってんだ…?」


あまりの驚きについ声に出してしまった。


すると、、

部屋の入り口であろう所が開き、綺麗な少女…

ティアが入って来た。

しかし、ティアの格好はおれと会った時のような普通の格好ではなく、まるでお姫様のような青いドレスを着ていた。


「それは、タツヤが限界値の宝玉を一気に三つも解放したからですよ。それに、魔法適正も足りていない魔法を無理やり発動させてしまうとは、、まったく、タツヤは普通では無いと思っていましたが、ここまでめちゃくちゃだとは思いませんでしたよ。」


三つ解放されたことが分かったのは、

解放されると身体なら丸い光がで出して胸の所に光が集まって胸の所に入っていき身体が輝きだすらしく、それが三回起こったらしい。


ティアが少し笑いながらそう言った。



そういえば、自分より上の敵に勝利することで限界値の宝玉は解放されるって言ってたな、

なるほど、これがその恩恵か!


「三ついっぺんに解放されるのがそんなに珍しいのか??」


「そうですね、私はそんな例一度も聞いたことはありません。」


ティアはちょっと呆れた感じだった。


そして、はっ、と何かを思い出した様に、

「私もあの戦いのおかげでトパーズになったんですよ!タツヤも同じトパーズですね!」


一つ解放されるだけでかなり能力が上昇するって言ってたな、だからこんなに身体が軽く感じるのか。


「そういえば、なんでティアはそんな格好してんだ?てか、ここどこ??」


「はあ、やっとそこに疑問を抱いてくれましたか、まったくタツヤは…まずは自己紹介をしましょう。

私はティア・フローリアここ、アルドス帝国の

王族、フローリア家の第1王女です。

そして、ここはフローリア城の客室です。」


「…は?」


まて、全然分からん。

じゃあおれが普通に話して、めちゃくちゃ質問ぜめにしてたのはこの国のお姫様だったのか!?

うん、全然実感が湧かないな、そもそも日本にはお姫様なんて居ないからなぁー

ティアの方を見ると下を向いて何かを恐れている様に見える、しかし目だけは何かを覚悟しているかの様な様子だった。

おれは驚きはしたものの、全然実感が湧かないため、最初話していた時のテンションで話しかけた。



「へーそうなんだな。」


「え、、私が王族と聞いても驚かないのですか?」


ティアが驚いたように問いかけてきた。


「いや、驚いてはいるんだけど、正直実感が湧かなくてな(笑)話し方、変えた方がいいか?」


「いっいえ!そのままが良いです!!」


「そうか。」


ティアは嬉しそうだった、

自分が王族といえばおれに警戒されると思っていたのだろうか。

あの時ティアが言っていた普通に話す、と言っていたことの意味が分かった。

おそらく近い年代でお姫様と普通に話してくれる奴は居なかったのだろう、


ティアも敬語じゃなくて良いぞ、と言ってみたが

この喋り方に慣れてしまっているので…と申し訳無さそうな言っていた。


「あの後、私が回復魔法でタツヤを治していた時、タツヤの魔法に気づいた私の護衛の方々に見つけてもらい、ここまでタツヤを運んで貰ったんですよ。

というか、タツヤ、あの魔法はいったい何だったのですか?威力は間違い無く神級。ですが、無属性のあんな神級魔法は聞いたこともありませんよ!それにタツヤはあの時は宝玉を一つも解放していなかったのでエクストラスキルでもありませんし、、、私は結構魔法には詳しいと思っていたんですけどね…」


ティアが自信を無くしたように顔を少し下に下げて言った。


ティアと護衛の方々に、助けてもらっていたのか、あとでしっかりお礼を言おう。


それはそうと、

…ティアにだけはには言ってもいいかな

おれにあれだけ親切にしてくれた人に嘘をつきたくは無かった。


おれは覚悟を決めてティアに異世界のことを全て話した。


「…て訳だ。あの魔法はおれの世界のネトゲっていうやつの中の魔法なんだ。」


「すいません、全然分かりません。」


流石に、はい、そうですか。とはならなかった。

この世界でも異世界という概念が無いらしい。


「はは、流石に信じられないよな。」


ティアは少し考えた後、


「いえ、信じます。

それなら、タツヤがこの世界のことを何も知らなかったのも合点がいきますしね、そしてあの馬鹿げた威力の魔法を無詠唱というとんでもない神業、それに私を救ってくれたタツヤを信じてますから。」


ほんのり笑いながらティアがそっと言いかける。


おれはかなり驚いていた、異世界のことを言っても信じてもらえないだろうと思っていたのもあるが、ティアがおれを信じていると言ってくれたことにだ。

おれは気づかれない無いように静かに笑った、

素直に嬉しかったからだ。


「こんな怪しい奴を信じるなんて、ティアも結構アホだな(笑)」


おれは嬉しいのを隠すようにティアを少し小馬鹿にする。


「アホ!?信じてるて言ったのに!?

うぅ、そんな事初めて言われましたよ!」


「でも、どうしてタツヤの世界のネトゲ?の中のの魔法がこの世界で使えたのでしょうか??」


ティアとおれは考えてみたが答えは分からなかった。

その後、

おれとティアは普通の友達のように話をした。


少し話した後にティアが、


「私の父が私を救ってくれたお礼をタツヤにしたいと言っていたので、ついて来てもらえますか?」


「あぁ、分かった。」


ん?ティアの父てことは…この国の王様!?

おい、まじかよ!やべえ!おれゲームしかしてこなかったから礼儀とか分かんねえよ、、


まあ、なるようになるか…


おれとティアは部屋を出て、長い廊下を歩きさっきの部屋よりも一回りくらい大きい扉のまえについた。


ティアがコンコンと扉を叩いた後、


「失礼いたしますお父様、タツヤを連れて参りました。」


すると中から、


「入れ。」


と、低い声が聞こえてきた。


おれとティアは扉を開け、部屋の中に入った。大きな椅子に座っていた王様は、

ブラウンヘアーでオールバックにしており、肩幅は広いが、まったく太っているという訳ではなく、筋肉が付いているのがよくわかり、かなりガタイがよかった。そいて、顔はかなりイケメンで歳は30くらいに見えた。


え、まって、めちゃくちゃイケメンで強そうなんだけど。

流石ティアのお父さんだな…


くそ、ちょっと妬ましいな!


「お前が、ティアを助けてくれたのか?」


「まあな、でも助けて貰ったのはお互いさまだからお礼なんて要らないよ。」



……あれ、おれ今誰と話してるんだっけ?

おれは、他の事を考えていたため、友達と話している感覚になっていた。


「ほう、俺に対してその態度か…フフ」


あ、やばいこれは終わったやつだ。

横のティアを見ると、何やってるんですか!!

という感じの顔をしてこっちを見ていた。

あー異世界に来て処刑か…


てか、ここに来て何回死を覚悟すりゃいいんだよ!


などと考えていると、


「気に入ったぞ。」


「「え?」」


おれとティアは驚き、同時に王の方を見た。


「俺と話す奴は大体が媚びを売って来て、それ以外は俺を恐れて話にもならんかったのだ。

お前は俺に媚びを売ろうともせず、恐れもしなかった。すなおに気に入ったぞ。」


と王は言った、


よかった、なんか知らんが命は助かったようだ。


「タツヤといったか?おれはラウス・フローリアだ、お前は何故あのような森に1人でいたのだ?冒険者か?」


この人ラウスさんって言うのか。

冒険者か、ファンタジー世界には必須だよな。

魔物を討伐してお金を稼ぐ人たちのことだ。

てか、どうしよう…

ティアの方を見てみると、ティアが

任せて!という感じの顔でをして来たので、任せてみた。


「お父様、タツヤは遠い田舎からこの国を目指していたところ、我々と同じ魔物に襲われてしまっていたのです。」


「そうか…タツヤ、お前はこの国で今後なにか予定はあるのか?」


王がおれに問いかけてきた。

おれはこの国で色々調べものをしようと考えていただけなので、少し調べものをしたいだけで、特に予定はありません。と答えると、


「金は持っているのか?」


…あ!

お金のことすっかり忘れてた!そうだよな、いくら異世界といっても通貨が無いはずがない。

この国で少し滞在して調べものを、と思っていたけど、金がないと多分どうしようもないよな…

などを考えて硬直していると、


ラウスがそんな様子のおれを見て、

持ってないようだな…、と言ってきたので、おれは素直に、はい。と答えた。


「タツヤ、お前俺の帝国の騎士団の団員になって働く気は無いか?トパーズで、エクストラスキル持ちのランクDにも匹敵するクワトロサイカーを一撃で倒したと言うのは今だに信じてはいないが、本当にそうだとしたら力としては申し分無い。それに、休みもちゃんとあるから、その時にその調べものとやらをすればいい。それに、娘の恩人だ、給料も高くしとくぞ?」


「もう!お父様!本当だって言ってるじゃありませんか!」

ティアが、むーっと頰を膨らませる。



この国の騎士団か、悪くは無い。

むしろかなりありがたい、こんな身分も何も分からない奴を雇ってくれるところなど無いだろうから。

でも、おれに騎士団なんて務まるのか?

クワトロサイカーを倒せたのだってたまたまだし、この世界ではあのゲームの中の魔法が使えるといっても、あの魔法だけかもしれない。

とてもじゃないが自信などなかった。

横をみるとティアがめちゃくちゃ嬉しそうな顔でこっちを見ていた。

うーん。


「ああ、だがタツヤ、娘も見たといっているしお前のことは信じているが俺はこの目で見ないと納得出来ないんでな、悪いが俺の護衛と少し戦ってもらう。」


と、王が言った。


戦う?いったいどんな人と…


ハチ!とラウスが言うと、この部屋の右側の扉から、黒人のスキンヘッドのいかにもやばそうな筋肉をもつ、軍人のような人が入ってきた。


「こいつは、ハチっていってな、騎士団のなかで7番目に強い男だ。宝石はサファイアだ。

タツヤお前にはこいつと戦ってもらうぞ!」


…おれ、今度こそ死んだかな?




================


おれは、かなり広い闘技場のような所で、1人の男と向かい合っていた。

目の前にいるのは先程紹介してもらったハチというゴツい男だ。


「はぁー…」


ここに来る前にティアが、


「大丈夫!達也は負けるはず無いですから!!」


などと言ってきた、

なんでこいつはこんなに信じてるんだよ…

と思ったが、ラウスは


「お前が勝てるとは思っていない。何処までやれるのかを見るだけだ。せめて一発入れてこい!」



はあ、つまりこの厳つい人にやられまくってもいいから、どうにかして一矢報いてこいってことか、、、殴られるのやだなぁ

でも、騎士団員になれなかったら無職でこの世界でのたれ死ぬだけだ、なにが出来るか分からないけど、やれるだけやってみよう!


ラウスはまずおれの方を見て、

「さあ、タツヤやれるだけやってみろ!」


と言うと、次にハチの方を見て

「ハチ!これは、こいつの力を見るための試合だ!手は抜くなよ!」

と喝を入れていた。


おい、おっさん!余計なこと言うんじゃねぇ!!

おれは心の中で叫んだ。


というラウスの声とともに、

真ん中に審判のような人が出て来て、


「今回の模擬戦は、私がコールするまで続くものとします。命が危ないと思えば直ぐに止めますのでご安心を!では、、、はじめ!!」


完全におれの方みて言ってたな、


まあいいや!


おれは取り敢えず、最初に確認しておきたかったことを確かめる。


『バーニア!』


ただの筋力アップの魔法を身体に力が巻き付くようなイメージで唱えてみた。


すると、身体から少し青い光がでて、明らかに力が増した。



やっぱりこの世界ではあのゲームの魔法が使えるみたいだな。


「行くぞ!!」


と、声がしたので前を見ると、男が20メートルほど離れた所からすごいスピードで走って来ていた。


うわ!はや!…あれ?そうでもない?


確かにハチは、エクストラスキルのほとんどが、身体能力強化で、かなり速い速度で走っていた、しかし達也にはそれ程速く見えないだろう。

それは、宝石の力が達也の身体能力を規格外に強化して、動体視力も上がっているからであった。


これなら…!


距離を詰めたハチが、おもいっきり振りかぶった右手をタツヤ目掛けて高速で振り出した。

しかし、タツヤはそれを左足を後ろに下げ、その動きと同じように身体半回転させることで、

ハチのパンチを躱した。


「なに!?」


ハチが驚いて声を上げた。


タツヤはその隙を見逃さず、直ぐに身体をもどして、右手でハチのお腹を思いっきり殴った。


タツヤは喧嘩などしたこと無かったが、ゲームでは回避で隙が出来れば攻撃。というのがセオリーだったため身体が勝手に動いたのだ。


「うごぉぉ!」


ハチは後ろに2.3メートルほど後ずさり、驚愕の表情をしつつ膝をついた。



右手いてぇ!あの人の身体どうなってんだよ!

あ、膝ついた、追い打ちかけなきゃな!


『コンフュート』


この魔法はゲームの世界では、結構序盤に獲得出来る、相手の脳を揺らして、相手を混乱状態にするというものだったが…。


「ぐああぁぁああ!!!頭が揺れるーー!!」


と言って、頭を抑えていたが、やがて倒れて動かなくなってしまった。

どうやら気絶したようだ。


審判が気絶したことを確認すると、

かなりおどおどした後、


「しょ、勝者タツヤ!!」


と、コールした。























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転移した異世界でゲームの魔法が使えたので異世界ゲーマー取り敢えず無双してみる。 そら @soramarutaro

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