第2話

周りを見渡すと、どこまでも続く緑の草原があり、

出て来た方を振り返ると洞窟のようなものがみえる。


この洞窟みたいな所から出て来たのか?

自分の記憶を探ってみるも、得られる情報は事故の事しか無い。


いや、ここ何処だ?


綺麗で広大な大空には人よりも大きい鳥のようなもの


そして、ポツリと神秘的な小さな島が浮かんでいる、


草原には馬鹿でかいアリがいる。



あ、分かったここ異世界だ。

まず間違いなくおれの住んでいた世界ではない。


自分が住んでいた所とはあまりに違う景色に薄々感じていた異世界という答えを出す以外に無かった。


は!?


おれは慌てふためいて周りを確認してみるも、そこが異世界であることだけが鮮明になっていくだけだった。



体に異変がないかを確認してみるが、これといった異常はみられない。

これからどうするんだ?異世界から戻る方法を探す?

それにしてもな…

などと考えていると、


ガサ、ガサガサ、、




背後から奇妙な音がした、なんだ?と思って振り返ってみる。すると

遠くで見えている真っ黒で巨大なアリと同じものがそこにはいた。


おれの、


「ぎゃぁああ!!」


という叫び声に対し、


キュアーー!!


と、巨大アリが金属と金属が擦れ合うようなおとの

一瞬、どちらともびっくりするというコメディ漫画のような展開かと思うが全くそうではない。


大きな脚を振り上げ、それをいっきに振り下ろす。


「くっ!」



ガッ!


振り下ろされた脚を腰が引けて半歩後ろに下がっていたおかげでなんとか避けることに成功した。


アリの脚は、おれの足元にあった石にあたって、


シューーー!


と、その石を、まるでとても強い強酸をかけたかのように溶け出していた。


………うん。…よし!

これ以上こいつの前にいると自分の身が危ないことに気付いたので、

おれはアリから振り返ると今までの人生で最速の走りを見せて、その場から離れた。




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「ハア、ハア…」


息を整えつつ後ろを振り返ってみると

いままで追いかけて来ていた巨大アリはいなくなっていた。


「死ぬかと思った…」


おれがビビリだって?まったく、君達は人の何倍もでかいアリに襲われたことはあるか?無いだろう!

ん?君達ってだれだ?


おれはひとまず安心して、草木が茂っている場所をゆっくり歩き始める。


(それにしても異世界か、、転生でもしちまったか?いや、体は変わってないし転移??てか、転移だとしたら俺は一回死んでるはずだよな…?いや、それよりまず、人はいるのか?)


巨大アリはいたが人がいるという確証はない。

もしかしたら、この世界に人間はおれ一人、そんな可能性だってあるのだ。




おれは正直に言ってこんな所で某ゲームのようなサバイバル生活をおくれる自信などない!

念のため木を手で殴ってみるがアイテム化せずに、おれの拳に多大なダメージを与えるだけだった。


いたい!


そんなことを考えていると少し先に木が生い茂っている所、いわゆる森のようなものがみえてきた。しかし、森といってもそこまで木が多いわけでもなく、所々にキャンプなどができそうな感じの少し開けた所があるのがみえた。


(草原であいつに追い回されるよりはましか、、)


と考え、おれは森のなかに入ってみることにした。

森の中には見たことの無いきのこや、木の実があったが不気味すぎて食べる気にはなれない。

幸い、お腹の減り具合はまだ大丈夫そうだ。


森のなかをしばらく歩いていると、薄っすらと人影が見えたような気がした慌ててそちらを見る


すると、遠くの少し開けた所に一人の金髪の女の子がみえる。


(え、、やった!人だ!人がいる!!)


異世界を一人で生き抜かなければならないと思っていたため、嬉しさが込み上げてくる。


さっそく、草を飛び越えながら走って近づいてみる、しかし、

その女の子の目の前にカマが4本生えているこれまた巨大なカマキリのようなものが姿を現した。


(まずい…!)


おれはとっさに身体が動いて、


気づけば、少女とカマキリの間に立っていた。


「え?誰ですか?」


少女のそんな声が聞こえて来たが、おれにはそれに応える余裕などない。


カマキリのカマの二本が左右同時に振り上げられる。


(あ、これ終わった)


おれはあまりのカマの大きさに死を確信した。


異世界に来てわずか数分…もう走馬灯のようなものが見えてきたんですけど……



と、、その時、



『氷結の一突きよ…アイシクルランス!』



おれの背後から少女の透き通った声で何かが叫ばれた。

途端、カマキリの下から氷が突き出て来てカマキリのお腹を突き刺し、そのまま貫通して、カマキリの巨体を持ち上げる


「ギシシシシシシシシ、、……」


カマキリが徐々に弱っていく声が聞こえて、やがでカマキリがピクリとも動かなくなったところで、カマキリの巨体を持ち上げていた氷が、パリィン!という音を立てて消え、


ドサ!


と、お腹を貫かれたカマキリが落ちて来た。


(え?え?いまのって…)


「あの、ケガはありませんか!?」


振り返ると、金髪の青く輝いた色の目をした、150センチほどの少し背の低い少女があせあせと、とても心配そうにおれをみていた。


「え!あ、はいなんとか…」


おれはそんな少女にさっきの事を聞くのを忘れて魅入ってしまっていた。


「そうですか!あぁよかったです!」


その時に見た少女の安心してみせた笑顔は異世界に来て、


目に入ったなによりも綺麗で輝いて見えた。
















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