21.最初はやっぱ掘り出しもの

日常生活品と旅道具一式に衣料品を購入したオレは地図アプリをたよりに武具の店に来ていた。


もとの世界じゃ地図アプリ使わずに歩きまわるのが好きだったけど、いまや地図アプリが生命線のひとつと言ってもいいぐらい必須アイテムとなってる。


地図アプリにはここで買うべしと書いてあるが店の外観が怪しすぎる。


木造2階立てなのだが壁の木の板がところどころ穴が開いているし、入り口の上にかけてある看板も傾いている、


なぜ落ちないのか不思議である。


これがファンタジーか。


昼間なのに店の中は薄暗く良く見えない。


こんなことならエレナさんかギルド職員にでもお勧めのお店を聞くべきだったかと後悔している。




「ブヒブヒ?」(主、こんな店で武具を買うのか?)


おうパッシーいつの間にか起きてたか。


「まぁ、地図アプリでここで買うべしってなってるからな。」


自分で言ってて不安になる。


恐る恐る店内に入っていく。


「ぃらっしゃ~い」


声のするほうをみると店の奥のカウンターに人影が見えた。


そちらへ歩いて行ってみると、身長165センチくらいでオレも人のことは言えないが髪と髭がぼさぼさなお世辞にも接客には向かないおっさんがいた。


このおっさんに聞くしかないのか。


残りのお金は約金貨1枚と銀貨30枚ファルスの街についた後順調にお金が稼げるか分からないので銀貨50枚くらいで揃えたい。


「難しいとは思いますが銀貨50枚ほどで装備一式をそろえたいのですが、おすすめはありますか。」


「なんでぇ、貧乏人かぁ。そんな額じゃおすすめもなんもないわい。そっちの奥にある箱の中に中古品があるからその中から選びな。それなら一つ銀貨15枚でいいぜ。」


おう、銀貨50枚でそろえるのはムリがあるとは思ったけど、オレが金を持ってないからかおっさん全く接客する気ないな。


こんな店の外観、この接客でよく見せつぶれないな。


よっぽど腕がよくて金持ちの固定客でもいるのかな。


「分かりました。勝手に見させてもらいます。」


おっさんの指し示した箱を見てみるか。


碌な物がなければ別の店を探すしかないか。


「ブヒブヒ」(主、中古品なんか買うのか、武具はきちんとしたものを買わないと危なくないか。)


おお、パッシーから飯以外のアドバイスが出てきた。


「まぁ、掘り出しものがあればな。」


「ブヒブヒ?」(掘り出し物って主は武具の目利きができるのか?)


顔面器用さを発揮して頭の上にいっぱいハテナが浮いてそうな顔してくる。


「いや、目利きはできないが。今朝安全確保スキルが無くなった代わりに《直感》ってスキルを取得したのでなんとかなるかと期待してる。ムリならあきらめるさ。」


そう答えながら一つ目の箱を開けてみる。


これには武器が入ってるな。


元々両刃なのが片刃になった斧、槍の柄が折れた結果の短槍、折れたロングソードなど見るからにダメと分かるものがゴロゴロある。


「ブヒブビ。」(主、コレ中古って言うか。廃棄処理品じゃないか)


「まぁ、せっかくだから一通りみるよ。」


あきらめず探していると比較的まともなものがあった。


ちょっと刃の手入れが悪かったのか赤黒い手斧と弦がない黒い弓。


「おお、パッシーこの二つは使えそうだぞ!」


使えそうなのがあってよかった。


目利きは全く関係ないな、使えるか使えないかの判断だけだった。


「ブヒブヒ」(ま、まぁ。主が良いならいいけど。大丈夫どよな?それ。)


心配性だなパッシーは。


「大丈夫。大丈夫。次は防具だな。」




もう一つの箱を開けると予想通り防具関係が入っている。


こちらも似たようなもので、ほとんどが鎧が完全にそろっているものがほとんどない。


そろっていても大きな傷があるものがほとんだ。


その中で一つだけ鎧がそろっていて、傷も小さいものぐらいですんでいる皮鎧を発見した。


「パッシー、鎧もあったぞ。」


よかった。


これで最低限の武具がそろった。


「ブヒ。ブヒ。ブヒヒ」(ほんとに大丈夫だよな。主頼むぞ。主がいないとオレなんもできないからな。)


「分かってるよ。」


オレも死にたいわけじゃないからな。


直観レベル低いけど、安全確保のあとに取得したから有用だとは思うんだよね。


危険な感じがしないだからたぶん大丈夫だ。


「よし、金を払って宿にもどるぞ。」


「ブヒブヒ~。」(飯がうまいといいな~。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る