第1話 壁(13p)

と言ってスリッパと靴箱を手で示した。

 私は靴を脱ぎ、本院と同じデザインのスリッパに履き替えて靴箱に靴を入れた。

「あの、今日は……」

 私が言いかけると、サングラスの女性はニコリと微笑み「吉永様、こちらへどうぞ」と優しく言う。

 私はもう話すのを止め、黙ってサングラスの女性の後へ続いた。

 彼女に連れられ、観音開きのドアから続きの部屋に入る。

 そこは先ほどの部屋より少し広い部屋だった。

 部屋の雰囲気は初めの部屋と全く違っていて、壁紙はレモンイエロー。

 照明は小さなシャンデリア。

 部屋の真ん中には、赤いレザーの一人掛けのソファーと硝子製のテーブルが置いて有る。テーブルは足まで硝子で出来ている様で、こう言うデザインの物は見た事が無かった私は、思わずため息をついていた。

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